2 期連続でオールグレード空室率が上昇。 グレードA の賃料相場が3 年半ぶりに下落。
名駅以外のエリアは空室率上昇
当社調査による、2020年6月期の名古屋オールグレードの空室率は、対前期(同年3月期)比0.4ポイント上昇の1.4%となった。また、想定成約賃料は、前期から変わらず13,900円/坪となった。今期竣工した新築ビルが空室を抱えたままスタートとなったほか、売却されたビルがリニューアル後に賃貸ビルとなったものの、テナントが決まらず、まとまった空室が発生した。
グレードAの空室率は、前期から横ばいの1.2%。想定成約賃料は、対前期比0.2%下落の28,150円/坪で、2016年12月期以来、3年半ぶりの下落となった。今後、空室の消化に時間を要するビルでは、募集賃料を引き下げる可能性も考えられる。
また、グレードBの空室率は、対前期比0.3ポイント上昇の0.9%。想定成約賃料は、前期から変わらず、14,150円/坪となっている。
エリア別の空室率を見ると、「名駅」は、前期から0.8ポイント上昇し2.0%、「伏見・丸の内」は、対前期比0.2ポイント上昇し1.1%、「栄」は、対前期比0.1ポイント上昇し0.6%、「名古屋東」は、対前期比0.4ポイント上昇し1.8%となった。各エリアで空室率の上昇が見られている。
新型コロナウイルスの影響
コロナ禍の影響により、30坪程度の小規模区画に入居するテナントを中心に、拠点集約等の理由で複数の解約が見られた。一方で、感染防止対策として、いわゆる“三密”を避けるための分室ニーズも見られ始めている。
今後も引き続き注視すべきは、新型コロナウイルス感染拡大の動向である。今期時点では、小規模区画にいくつか解約が見られたが、大規模区画については解約等の動きはほとんどない。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、リスク回避のためリモートワークを推進する企業が、ここ数ヶ月で急増している。そのため、オフィスのレイアウト変更や減床をする企業が複数見られた。今後、より具体的な動きが出てきた場合、小規模区画のみならず、大規模区画でも解約が出てくるかもしれない。今後の企業のオフィスの在り方や働き方の動向を、より注視し、早期に情報を収集していくことが、必要になってくるだろう。
名古屋支店 立松 誠二
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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名駅 | 17,500円~32,000円/坪 | 今期1棟の新築ビルと、既存ビルのリノベーションにより空室が供給されたため、エリアの空室率が若干上昇した。 | |
名駅西 | 13,000円~16,500円/坪 | 新幹線からの利便性が高く、名駅(東)からの滲み出し需要も強い。新規のオフィスビル開発計画が増加傾向。 | |
伏見 | 12,500円~17,000円/坪 | 築浅物件に限らずマーケット全体でタイトな状況だが、館内減床や撤退に伴う解約が小規模ながら出始めている。 | |
栄 | 12,500円~16,000円/坪 | 新型コロナに起因する契約キャンセルもあったが、空室率はほぼ横ばい。駅周辺の開発計画にはエリア活性化の期待が寄せられている。 | |
丸の内 | 12,000円~16,000円/坪 | 桜通沿いの築浅物件はほぼ空室のない状況だが、一部空室が長期化する物件も見られる。 | |
周辺都市(岐阜) | 8,000円~13,000円/坪 | 30坪以下の小規模区画がマーケットに多くあるが、大規模な空室はほとんどない状況。 | |
周辺都市(三河) | 9,500円~13,500円/坪 | 新型コロナの影響から引き合いは減少。拠点閉鎖まで至る事例はまだ見受けられないが、今後、一部減床の動きが出る可能性もある。 | |
周辺都市(三重) | 8,000円~11,000円/坪 | 近鉄四日市駅・津駅周辺ともに新規供給や新規募集物件が少なく、安定した状況が続いている。 | |
周辺都市(静岡) | 9,000円~12,000円/坪 | 新型コロナの影響か、拠点閉鎖による空室の発生と、移転計画停止による解約延期が見られる。 | |
倉庫・配送センター | 2,900円~3,800円/坪 | 新型コロナの影響で一時的な空室消化の鈍化は見られたものの、需要は底堅く、供給も少ないままのため、需給がタイトな状況は継続している。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。