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賃貸オフィス・事務所の記事

大阪 - 賃貸不動産市場 2020年6月期

空室率はほぼ横ばいで推移。 中心部は空室の少ない状況が継続。

空室消化スピードは鈍化

シービーアールイー(株)の調査による、2020年6月期の大阪グレードAの空室率は0.5%と、前期(同年3月期)から変動は認められなかった。大阪グレードBの空室率は、前期の0.4%から今期は0.6%となった。引き続き、低水準ではあるが、新年度がスタートしたばかりの今期に、空室在庫がわずかでも増えたのは、4月以降、新型コロナウイルスの影響により、リーシング活動がストップし、テナントサイドにおいても移転計画の検討を一時的に見合わせるなど、空室消化スピードを遅くする要因が見受けられたためである。

オールグレードの空室率をエリア別で見ると、「梅田」エリアは0.1%で、前期同様、空室は非常に少ない。「新大阪」「淀屋橋」「中之島」エリアも、前期からの変動幅は小さい。「本町」エリアは、前期の0.6 % から今期は1.1 %と、数値は低水準にあるが、変動幅としては、他エリアに比べて大きかった。

全体としては、「梅田」「淀屋橋」等大阪オフィスマーケット内の中心エリアすべてで、依然として空室在庫の少ない状況が続いている。なお、中心部以外においても、引き続き空室は限定的である。

コロナ禍の今後の動向

今期は、新型コロナウイルスの影響で解約情報が日を追うごとに増えた。今期に限って言えば、それらの多くは規模としては小規模なもので、新型コロナウイルスの影響を避けられない業種や、コロナ禍以前より、オフィスの縮小検討にあったテナントが、躊躇なく解約に踏み切ったケースなどである。

コロナ禍が長期化し、テナントサイドの縮小検討が、業種・企業規模を問わず影響を及ぼす可能性が懸念される。しかし一方で、withコロナでのオフィス環境整備として、リモートワークの導入に代表される働き方の多様性を前提としたワークプレイスの再検討も、同じように広がっていくことが予想される。コロナ禍以前よりあった、手狭感を解消するための拡張計画の前倒しや、コロナ禍での業務維持のための分室確保などはすでに今期確認された事例である。

2020~21年の新規供給は限定的だが、広がるワークプレイス構築実施の受け皿として、テナントサイドへアピールする機会が、多くなることが期待される。

関西支社 中家 貴博

相場表

種別 賃料(共益費込み) 需給の動向 空室率
推移
梅田
大規模ビル
25,000円~35,000円/坪 小規模面積ではあるが空室が外部募集となるなど、借手側が検討できる状況になり始めた。ただし、大規模な面積は依然として不足感が強く、賃料水準もこれまでの上昇一辺倒ではないものの、横ばいで推移する見込み。 横ばい
梅田
中小規模ビル
19,000円~24,000円/坪 来店色の強いビルを中心に空室が出始めてはいるが、検討テナントは継続して多い。 横ばい
淀屋橋・本町
大規模ビル
20,000円~30,000円/坪 梅田大規模ビルと同様の傾向が見られるが、梅田ほど優良物件の外部募集が多い状況にはない。そのため、空室に対する稀少性はまだまだ高い。 横ばい
淀屋橋・本町
中小規模ビル
15,000円~20,000円/坪 今後新規供給が数棟予定されており、マーケットに動きが見込まれる。 横ばい
難波・心斎橋
大規模ビル
16,000円~24,000円/坪 他エリアと同様に、小規模面積の解約は見られる。上昇を続けていた賃料もやや落ち着きを見せると予想される。 横ばい
難波・心斎橋
中小規模ビル
14,000円~18,000円/坪 空室消化のスピードはやや落ち着くと見られ、借手同士の競合で押し上げていた賃料も同様に落ち着くと見られる。 横ばい
周辺都市
大規模ビル
13,000円~17,000円/坪 中心部の賃料水準いかんが今後を大きく左右するが、現時点では大規模面積をメインに不足感があり、賃料は横ばいで推移。 横ばい
周辺都市
中小規模ビル
12,000円~14,000円/坪 中心部で空室が発生した影響から、賃料交渉の余地が生まれつつある。 横ばい
事務所兼倉庫
市内・北摂・東大
5,000円~7,500円/坪 コロナ禍の影響でテナントの動きが一部鈍化しているものの汎用性の高い物件に対する需要は依然として高いため、賃料は高止まりの様相。 横ばい
倉庫・配送センター
郊外
3,600円~4,400円/坪 LMTの大型供給があり一時的に空室率が上昇するが、特定物件での空室となるため、テナントの選択肢は限定的となり賃料下落圧力にはなっていない。 やや上昇
空室率推移凡例:  上昇 上昇 やや上昇 やや上昇 横ばい 横ばい やや低下 やや低下 低下 低下

※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。

文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。

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上記内容は BZ空間誌 2020年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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