みなとみらいで大型空室消化、市全体の空室率は3.7%に低下。
大型空室は確保困難
シービーアールイー(株)の調査によると、2018年6月期の横浜市オールグレードの空室率は3.7%となり、対前期(同年3月期)比1.2ポイント低下した。対前年同期比では、0.8ポイントの上昇となっている。
エリア別に見ると、「横浜駅周辺」エリアの今期の空室率は対前期比0.1ポイント低下の2.0%となった。今期は、100坪に満たない空室が散見されたものの、館内での拡張ニーズや、同エリアへの新規開設、またオーナー自らがビルを利便施設として使用するなどで空室を消化した。同エリアでは、 100坪を超える即入居可能な空室が限られており、テナントの解約予告が出ている“空室予定”床も限定的であるため、大型のまとま った床の確保は難しい状況が続いている。
「みなとみらい」エリアの空室率は1.9ポイントと大きく低下し、4.9%となった。今期の空室率低下の主な要因は、「OCEAN GATE MINATO MIRAI」でコワ ーキングオフィスが多層階を賃借したことが挙げられる。他にも、増床や立地改善による移転など、前向きな動きが散見されている。横浜駅周辺およびみなとみらいエリアでは、2020年まで新規供給が予定されておらず、引き続き空室率は低水準で推移するものと思われる。
川崎で大規模再開発着工
「関内」エリアの今期の空室率は3.7%となった。所有者変更に伴い、今まで募集をしていなかったビルが空室募集を開始した一方、郊外からの移転や拡張ニーズなどで空室が消化されたビルもあり、空室率は前期から横ばいであった。
「新横浜」エリアの今期の空室率は1.8%。同エリアでは100坪以上の空室を確保するのが難しく、また新規供給も予定されていないため、大型需要を取り込みにくい状況にある。
「川崎」エリアの今期の空室率は1.6%となった。空室は増加したものの、駅周辺には引き続き空室がほとんどないことから、新横浜同様に逼迫した状況が続くと見られる。JR東日本が、「川崎駅西口開発計画」の工事着手を5月に発表した。オフィス棟とホテル棟からなる複合施設で、2021年春の竣工を予定している。オフィスの総賃貸面積は約20,000坪の規模となり、今後同エリアのオフィスマーケットに大きな影響を与えるだろう。
横浜支店 髙橋 秀男
- 現在募集中の横浜市の賃貸オフィス
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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横浜大規模ビル | 16,000円~25,000円/坪 | みなとみらいエリアで空室率が低下。横浜駅周辺は、引き続き大型空室が少ない状況が続く。 | |
横浜中小規模ビル | 11,000円~15,000円/坪 | 空室が顕在化する前に後継テナントが決まり、空室率に大きな変化なし。引き続き空室は少ない。 | |
関内大規模ビル | 9,000円~13,000円/坪 | 貸し止めしていた空室が新規募集となったものの、新規需要もあり、空室率に変動なし。 | |
関内中小規模ビル | 8,000円~10,000円/坪 | 空室率に大きな変動なし。 | |
新横浜大規模ビル | 10,000円~13,000円/坪 | 空室率が低下傾向。必要面積の確保が難しくなっている。 | |
新横浜中小規模ビル | 8,000円~10,000円/坪 | 空室が少なく、選択肢が少ない状況が続く。 | |
川崎 大規模ビル | 15,000円~18,000円/坪 | 一部のビルで空室が顕在化するも、エリア全体では引き続き空室が少ない状態で推移。 | |
川崎 中小規模ビル | 11,000円~15,000円/坪 | 空室が少なく、選択肢が少ない状況が続く。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。