空室率は引き続き低下して3.2%。賃料増額改定の動きがさらに拡大。
既存ビル空室の二極化
全国の主要エリアと同様に、仙台市中心部の空室率も、引き続き低下の一途をたどっている。テナントサイドにおいては、物件確保の動きの加速や、集約・拡張を考えるものの、大型空室がないため、一時的な分室増床が見られる。オ ーナーサイドにおいては、新規募集区画の募集賃料の引き上げ、現入居者に対する賃料増額改定等が見受けられる。どちらも、空室率が一定以下の水準になった時に起こる現象である。
増額改定については、昨年の早い時期から、大型のハイグレードビルを中心に行われてきた。しかし、今年に入り、中規模のビル群においても、その動きが出てきている。全体的な賃料上昇基調の中、現入居ビルからの値上げを理由に、移転を検討するテナントも多少見受けられる。しかし、その場合、グレードを下げるか、立地が悪くなるかのどちらかの選択を迫られるため、実際に移転するケースは少ない。
現在の傾向として、市況の波に乗って新規募集賃料を高値で募集している、または築年数の経ったビルをリニューアルせずにそのまま放置しているといったビルには、空室がある程度存在するように見受けられる。前者には一定の需要があるので、期間をおけば、マーケットを理解した企業が名乗りを上げる場合が多々ある。しかし、後者の築年数を経たビル、特に旧耐震のビルについては、震災のイメージが未だ残る中、リーシングがうまく進まないようである。
2020年に待望の新規供給
振り返ると、仙台市内では、 2007~08年に、新規大量供給があった矢先のリーマンショックで、オフィス需要は激減。空室率20%超の高水準を記録した時期もあった。これらの苦い経験から、仙台における新規のオフィスビル建築には、非常に慎重になる向きが多く、なかなか具体化しなかったが、ついに待望の新築「(仮称)花京院プロジェクト」が2020年初めに竣工予定と発表があった。オフィスビルの新規供給としては、2017年春に竣工した「野村不動産仙台青葉通ビル」以来となる予定だ。
先述の通り、比較的築年数が浅い物件は、全体的に非常に空室率が低く、かつ高稼働となってきている。このような状況を鑑み、本案件が起爆剤となり、仙台のオフ ィスビルの新陳代謝が行われていくことに期待したい。
仙台支店 山本 和良
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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仙台市中心部 | 13,000円~16,000円/坪 | 空室率は今期も低下。マーケットはさらにタイトとなり、特に大型面積の空室は少なくなっている。当社への依頼は、拡張・新規開設・郊外から市内への移転という事例が多く、空室率はさらに低下していくことが予測される。また、築浅・大型物件の賃料上昇だけでなく、中規模ビルにも賃料上昇の動きが広がってきている。 | |
郡山市 | 9,000円~13,000円/坪 | 中・小規模テナントの動きがあり、若干の空室消化されたものの、賃料・空室率ともに大きな変動はない。一部で館内での動きも散見されており、引き続き一定の需要がある。 | - |
盛岡市 | 9,000円~11,000円/坪 | 目立った空室消化の動きはなく、前期同様安定した状況が継続。盛岡駅周辺を望するテナントが依然多く見られるが、駅周辺は空室が少ない状況が続いている。 | - |
倉庫・配送センター 既存 |
3,000円~5,000円/坪 | 中・小型倉庫の空室はほぼ消化され、再度空室が枯渇する状況が顕著とな っている。併せて、大型空室への引き合いも活発になってきており、情報収集を続けていた企業が活動を具体化させてきた印象。その稼働は将来的な話となるが、実現すれば大きな話題となることは間違いないと思われる。 | - |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。