広島:空室率は過去最低の1.8%に低下するも、 懸念される新型コロナウイルスの影響。
プラスの移転要因で空室を消化
シービーアールイー(株)の調査による、2020年3月期の広島市内中心部の空室率は1.8%と、対前期(2019年12月期) 比0.1ポイント低下となり、前期に続いて過去最低値の水準を更新した。昨年竣工した2棟の新築ビルが順調に空室を消化したことに加え、新規出店や人員の増加による拡張移転等、プラスの要因により、空室消化がさらに進んでいる。一方で、紙屋町に新築ビル(自社ビル)が竣工する影響で、周辺の複数のビルで空室が発生。他のオフィスビルでも潜在的な空室を抱えていることから、需給バランスのタイトなマーケットは、少し緩和される可能性がある。
今期の空室データには反映されていないが、2020年4月末時点で、新型コロナウイルス(COVID-19)が、広島のオフィスマーケットにも影響を及ぼしてきている。出張禁止に伴う内覧の延期や意思決定の遅れ、移転計画のキャンセル等が発生。また、ここ数年ではあまり目立たなかった、縮小移転や撤退等のマイナスの動きも出てきている。一方で、BCP対策が改めて見直されており、コワーキングスペースやビル内のフリースペースを活用できるビルが、注目されている。
数年後に大型ビルの新規供給を控える中で、広島の市場はどのような方向に進むのか、今後の動向に注目したい。
岡山:賃料の値ごろ感が企業誘致のポイントに。 新型コロナの影響とは別にニーズ減速。
岡山の空室率はやや低下
今期は、岡山の中心市街地の空室率がやや低下した。年初に動きのあった新規開設企業や、館内増床等が主な要因だと言えよう。
しかし今期後半は、新型コロナウイルスの影響で失速し、動きが全く止まってしまっている。もともと空室率が低く、移転したくても移転できない状況下で動きが見られないところに、さらに動きがなくなった状況である。今後この影響が長引けば、撤退する事業所も出てくると考えられる。4月末現在、すでに人材派遣業者が解約を出したビルもある。また、リモート勤務が増え、オフィスを構えない動きも出る可能性がある。しかし、ビジネスはFace to Faceが基本であり、コミュニケーションを取ることができるオフィスはなくならないと考える。
岡山では、新築オフィスビルの供給が11年間見られない。最新スペックのスタイリッシュなオフィスが、岡山でも新規供給されることを切に望みたい。
広島支店 柴﨑 雅史 / 越智 昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
広島駅北 | 11,000円~16,000円/坪 | 昨年竣工のビルは満室状態。築浅物件以外にも、ほとんど空室はない状況。 | |
広島駅南 |
11,000円~15,000円/坪 |
満室が続いていた築浅物件に、大型の空室が発生。需要は引き続き堅調。 | |
八丁堀・紙屋町 | 11,500円~17,000円/坪 | 引き続きハイグレードビルに空室が少ない状況。成約賃料も上昇傾向。 | |
大手町 | 9,000円~12,000円/坪 | 中心部に空室が少ないことから、当エリアの需要が増加し、空室が消化されている状況。 | |
岡山桃太郎大通り | 9,500円~13,000円/坪 | 旧耐震でも、立地の良いリニューアルしたビルは、賃料の値ごろ感から新規開設企業を誘致している。 | |
岡山市役所筋 | 11,000円~14,000円/坪 | 新型コロナウイルス流行の影響とは別で、解約予告が出始めている。動きのない今が狙い目。 | |
広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500円~4,400円/坪 | 倉庫不足は慢性化しており、将来を見越しての大型面積の検討も必要になると思われる。 | |
広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,300円~4,100円/坪 | 2020年12月に、近年注目されてきた東広島市志和に約8,000坪の配送センターが竣工予定で、物流エリアの拡大が進みそう。 | |
岡山倉庫・配送センター | 2800円~3,800円/坪 | 中・大型物流施設は依然として不足している。今後大きく需給バランスが変化することはないと思われる。賃料相場も高止まり傾向。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。