広島:空室率は過去最低水準を記録するも、 今後懸念されるマイナスの動き。
新型コロナウイルスの影響
シービーアールイー(株)の調査による、2020年6月期の広島市内中心部の空室率は1.7%と、対前期(同年3月期)比0.1ポイント低下となり、2001年の調査開始以来の最低値の水準となった。
ただし、今期以降、この低水準は緩和されていくことが見込まれる。その要因の一つには、紙屋町の2棟の大型ビル(ともに自社ビル)竣工の影響で、周辺の複数のビルで、空室が発生する予定であることが挙げられる。また、今期の空室率の数値に大きく影響は出ていないが、新型コロナウイルスの流行拡大により、出張禁止に伴う内覧の延期や、意思決定の遅れ、移転計画のキャンセルが相次ぎ、4月から5月にかけて、移転の動きがほとんどない状態が続いたことも懸念要因である。
6月になると、徐々に経済活動が復活する兆しとなり、移転計画を再開する企業も見受けられた。ただし今度は、コスト削減を目的に、それまであまり目立たなかった縮小移転や撤退等、マイナスの動きも出始めている。
働き方改革をきっかけに、オフィスの環境改善の動きがトレンドとなっていた昨今、リモートワークの普及で、その在り方自体が見直されるようになった。「広島駅南口」「紙屋町」エリアともに、大規模な再開発を控えるなか、広島の市場はどのような方向に進むのか、今後の動向に注目したい。
岡山:コロナ禍でテナントの動きが鈍くなっており、 今動ける企業は、オフィス戦略確立のチャンス。
岡山ではマイナスの動きが増加
岡山の中心市街地の空室率は、前期からほぼ変動がなかった。ただし、足元では、解約やオフィス床の一部返還等が出始めており、解約予告期間が終了する半年先には、市場に空室が顕在化してくる可能性が高い。
岡山では、これまで、解約予告期間中に後継テナントが決まることが多かった。しかし現在は、コロナ禍でテナントの動きが鈍く、前向きな移転は影を潜め、経費削減等を目的とした動きが増加している。「働き方改革」の名のもと、優秀な人材を採るためにハイグレードなオフィスを借りるという拠点戦略は昔話で、新型コロナと共存するために、一時使用できるビルを借りるなどの需要が出てきている。
賃料は、新規賃料・継続賃料ともにオーナー側のマインドが弱く、一部のビルでは交渉幅が広がりそうである。この時期の不動産戦略は、景気に逆張りできる企業にとってチャンスといえよう。
広島支店 荒田 晃輔 / 越智 昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
広島駅北 | 11,000円~16,000円/坪 | 昨年竣工のビルは満室稼働。築浅物件以外、ほとんど空室がない状況。 | |
広島駅南 |
10,000円~14,000円/坪 |
一部大型の空室があったが消化された。需要は引き続き堅調。 | |
八丁堀・紙屋町 | 11,500円~18,000円/坪 | ランドマークビルに大型空室が発生予定。成約賃料は上昇傾向。 | |
大手町 | 9,000円~12,000円/坪 | 小型テナントを中心に移転の動きあり。 | |
岡山桃太郎大通り | 9,500円~13,000円/坪 | 賃料相場の落ち着いたマーケットのため解約は少ないが、空室が出ると長期化する傾向。 | |
岡山市役所筋 | 11,000円~14,000円/坪 | 以前からくすぶっていた解約や一部床返還が、コロナ禍の影響により顕在化。 | |
広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500円~4,400円/坪 | コロナ禍での減額や解約はないが、契約について慎重に判断されることが多くなっており、検討に時間を要している。 | |
広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,300円~4,100円/坪 | 今年、来年の竣工物件はある。一部業種では在庫を増やす予定だが、双方の賃料に対する温度差は否めない。 | |
岡山倉庫・配送センター | 2800円~3,800円/坪 | 現状、中・大型の空室はほとんどない状況が続いている。大型物流施設の計画があり、二次空室含め来年以降の供給が期待される。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。