拡張・新規ニーズは引き続き活発。 新築ビルはほぼ満室で竣工。
成約賃料の上昇が継続
シービーアールイー(株)の調査による、2020年3月期の福岡主要オフィスゾーン空室率は、前期(2019年12月期)から0.3ポイント低下し、0.4%となった。前期に目立った、新築オフィスビルへ移転する企業の二次空室等が消化されたことが、低下の要因と思われる。依然として、二次空室は市場に募集が出る前に、館内テナントの増床移転によって消化されている。引き続き、企業のオフィス拡張や新規開設の需要は活発で、既存の空室も堅調に減少している。
想定成約賃料は、前期から1.7%上昇し、16,450円/坪(共益費込)となった。博多駅や天神駅至近の大通り沿いの大型オフィスについては、平均単価20,000円/ 坪以上の成約事例も増えてきている。引き続き、博多・天神エリアを中心に、成約賃料の上昇が見られ、福岡市全体の賃料相場上昇に、大きな影響を与え続けている。
ただ、以前までは競争力の高いビルに空室が出ると、ビル側が優位に募集条件を決め、空室も早期に解消されていた。しかし、福岡エリア全体の賃料が上昇した結果、空室状態が以前より長期化しているビルも出てきている。テナントも、慎重に移転や開設を検討している様子がうかがえるため、 ビル側は、よりマーケットの動きを的確にとらえ、募集を行う必要が出てきていると思われる。
新型コロナの影響は予測不能
今年竣工した「D-LIFEPLACE呉服町」「九勧承天寺通りビル」は、ほぼ満室の状態で竣工しており、募集した貸室は、それぞれ20,000円/坪以上で成約している。今後竣工が予定されているオフィスビルの賃料にも、影響を与えると思われる。また、2021年竣工の「(仮称)天神ビジネスセ ンター」は、天神ビッグバンプロジェクトの中で、最初に竣工を予定しているオフィスであり、今まで福岡にはなかった施設が含まれているため、テナント・オーナー双方の注目度が高まっている。
今年も、福岡エリアのオフィスマーケットは、堅調であると予測されていた。しかし、現在猛威をふるっている新型コロナウイルスの影響がいつまで続くのか、予測できない状況である。政府の緊急事態宣言を受け、県側から一部業種に休業要請が出されるなど、直接的な影響を受けている業種・企 業が出てきており、今後、不動産市場にどのような影響をもたらすのか、注視する必要がある。
福岡支店 羽田 裕太
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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博多駅前 | 17,000円~21,000円/坪 | 新築オフィスはほぼ満室。相変わらず空室率は低く、引き続き賃料上昇傾向。 | |
博多駅東 | 15,000円~17,000円/坪 | 駅前エリアより割安感のある状況だが、全体的に賃料上昇傾向にある。 | |
呉服町 | 15,000円~17,000円/坪 | 新規空室動向は横ばい。エリア全体では賃料上昇傾向にある。 | |
天神 | 19,000円~22,000円/坪 | 立ち退きテナントによる需要が堅調。引き続き賃料も上昇傾向にある。 | |
赤坂大名 | 14,000円~16,000円/坪 | 大型空室が消化された。中心エリアの空室が少ないため、需要が流れてきている状況。 | |
北九州小倉 | 9,000円~11,000円/坪 | テナント動向は停滞。賃料についても横ばい。 | |
中・大型倉庫 市内 |
2,800円~3,200円/坪 | 大型倉庫は変わらず満床。新規LMT の計画も散見されてきている。中・大型ニーズは引き続き多い。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。