広島:新型コロナウイルスの影響により、企業の動きは低調に。
空室率は前期から一転し上昇
シービーアールイー(株)の調査による、2020年9月期の広島市内中心部の空室率は1.9%となり、対前期(同年6月期)比0.2ポイント上昇した。
今春以降、広島においても新型コロナの影響が広がるなか、テナント企業の動きは移転・新設を含め低調である。以前は、人員増による拡張や環境改善が主な移転理由であったが、大企業を中心に出社率を抑えている状況が継続しており、移転需要自体がなくなっている。また、今後のオフィスのあり方を模索している企業が多く、全社の方針が定まらないなかでは、動きにくい状況が続いている。
一部のビルでは撤退による解約も出始めているが、小規模なものが多く、マーケット全体への影響は小さい。大型ビルでの空室の顕在化により、空室率のさらなる上昇も危惧されている。しかし、元々、広島では大型空室が少なく、新規供給もないことから、賃料相場の下落を招くほどの大幅な空室増加はないと予想される。
移転の動きが少ない一方、広島本社の企業や郊外立地企業が、分室やサテライトオフィス開設を検討する動きもある。アフターコロナを見据えた、新たな拠点戦略が求められている。
新型コロナ後の新築ビルとして、2022年竣工予定の「(仮称)広島駅南口計画」がある。ワンフロア400坪超、JR広島駅に直結する大型ハイグレードビルで、今後本格化するリーシングに注目が集まっている。
岡山:リーマンショック時の激震はないが、 前向きな移転ニーズは鳴りを潜める。
岡山の空室率は上昇傾向
岡山中心市街地の空室率は、今年の3月期から徐々に上昇している。営業所経済の岡山では、数人規模の場合、撤退かレンタルオフィスへの移転が選択肢に入る。また区画の一部返還や、高止まりした賃料に対し、これを機会に格安ビルへの移転を検討するなど、後ろ向きな話が一部で出ている。新型コロナ対策でオフィスを分散するため、館内増床をした企業も一部あるが、新規開設や立地改善、オフィス増床等の前向きな移転は鳴りを潜めている。ただし、リーマンショック時のような、既存テナントからの賃料値下げ交渉は、ほとんど聞かれない。
岡山のオフィス市況は、静かにコロナ禍が過ぎていくのを待っている状況だ。そんななか、現在計画されているビルは、ウィズコロナを見据えた工夫がなされており、その竣工に期待が高まる。
広島支店 山上 政文 / 越智 昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
広島駅北 | 11,000円~13,000円/坪 | 昨年竣工のビルは満床。引き続き、築浅物件には空室が少ない状況。 | |
広島駅南 |
10,000円~14,000円/坪 |
新規供給はなく、既存空室の消化が進む。賃料は横ばい。 | |
八丁堀・紙屋町 | 11,500円~18,000円/坪 | 自社ビルへの移転により大型空室が発生したが、賃料水準は変わ らず。 | |
大手町 | 9,000円~12,000円/坪 | 減床により大型空室が発生し、空室率は上昇。 | |
岡山桃太郎大通り | 9,500円~13,000円/坪 | 今まで満床だったビルも、小型の空室が顕在化し始めた。 | |
岡山市役所筋 | 11,000円~14,000円/坪 | コロナ禍とは関係なく、大手企業のオフィス見直しで、大型空室 が出ている。 | |
広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500円~4,400円/坪 | 500坪以下の面積帯の空室はほとんどない。新規供給は新築がメ インとなっている。 | |
広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,300円~4,100円/坪 | 春の入居を遅らせたテナントのスペースが若干ある程度で、空室 は少ない。 | |
岡山倉庫・配送センター | 2800円~3,800円/坪 | 依然、中・大型物件の空室はほとんどない。来年以降に完成する 大型物件による今後の動き(二次空室の発生等)が注目される。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。