空室率は過去最低値を更新中。 100坪以上の受け皿不足が深刻化。
空室確保にテナントが競合
シービーアールイー㈱の調査による2018年3月期の札幌市の空室率は、前期(2017年12月期)から0.1ポイント低下して0.3%となった。全国主要都市の中でも、札幌市の空室率は際立って低水準であり、テナントにとっては、オフィススペースの確保が非常に厳しい状況が続いている。
今期の空室率低下の要因としては、IT系企業の立地改善や設備改善を目的とした移転、メーカー系企業の自社屋売却に伴う移転等で、中小規模の空室消化が進んだことが挙げられる。
近年、100坪以上のまとまった空室を必要とするニーズが非常に増え、品薄状態が続いている。これらの大型ニーズは、解約予告期間中の潜在的な募集区画の段階で成約するケース、オフィスエリア外の物件が需要の受け皿となるケースなど、空室率の変動に表れない動きとして確認されている。
また、依然として旺盛な200~300坪クラスの大型移転需要は、マーケットの空室不足により、行き先がないため移転を一旦断念し、館内増床や付近での分室等で対応する動きが見受けられる。中長期的な移転を視野に入れ、オフィス動向の情報収集を続けるなど、継続的に潜在需要を抱えているテナント企業も多い。
札幌では、深刻な空室不足により、優良物件をめぐって複数のテナントが競合することが非常に増えている。こうした状況下では、テナント企業は迅速な意思決定が求められるため、常にオフィスマーケットを注視し、将来的な市況予測を踏まえ、早期に拠点戦略を立てておくことが重要と思われる。
新規供給の状況
今年5月末に竣工した「さっぽろ創世スクエア」では、竣工時期が近づくにつれ、テナントからの引き合いがより一層強まり、内定した区画も多かった。来年以降の供給予定としては、基準階面積約300坪、貸室総面積約2,000坪の大型供給となる「(仮称)南大通ビル北一条計画」が、2019年5月に竣工を予定している。
しかし、旺盛なテナント需要を受け入れるためには、依然供給は十分とは言えない。新築、建替計画、再開発事業といった新規供給動向に加え、それらの供給に伴う二次空室がどの程度発生するのかなど、今後のマーケット動向が注目される。
札幌支店 眞田 基
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
札幌中心部 | 13,500円~16,500円/坪 | テナント需要は多く、大型空室が非常に少ない状況が継続しているため、中小規模の空室で消化が進んだ。 | |
地下鉄西11丁目 | 9,500円~11,500円/坪 | 札幌中心部で空室が品薄なため、需要が流入し、一部のビルで空室消化が確認された。 | |
創成川東 | 10,000円~12,000円/坪 | 大型空室が少なく、中小規模の面積を中心とした動きが見られた。 | |
札幌駅北口 | 12,000円~15,000円/坪 | 依然として空室が少ないエリアであり、需要の受け皿不足が続いている。 | |
琴似 | 7,000円~8,000円/坪 | エリア全体として新規需要は少なく、目立った動きは見られなかった。 | |
白石 | 7,500円~8,500円/坪 | エリア全体として新規需要は少ないが、一部のビルで空室消化が確認された。 | |
倉庫・配送センター 既存 |
2,000円~3,000円/坪 | これまで大型空室不足が続いていたが、大型マルチ倉庫の竣工により、大型テナントニーズが顕在化しつつある。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。