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賃貸オフィス・事務所の記事

東北 - 賃貸不動産市場 2017年12月期

築年数やエリアを問わず、大型面積の確保はより困難に。

築浅物件以外も空室消化

シービーアールイー(株)の調査による、2017年12月期の仙台市中心部の空室率は3.9%と、対前期(同年9月期)比マイナス0.8ポイントとなった。貸室面積では合計で約2,000坪の空室が消化されたことになる。

空室率低下の主な要因としては、物件の築年数やエリアにかかわらず、大型空室を抱えた物件において成約案件が多かったことが挙げられる。2011年以降、順調に空室が消化され、新規供給物件も少なかったことから、エリア全体において空室が少ない状態であった。特に、築浅物件で大型面積の確保が難しかったため、築年数を経ていても大型空室のある物件に需要が集まり、これらの成約が空室率の低下として表れたものと考えられる。

このように、まとまった面積の確保がより一層難しくなってきている状況だが、昨年竣工した「野村不動産仙台青葉通ビル」以降、現時点でオフィスビルの新築計画は発表されていない。テナントの移転ニーズは、人員増による増床や、設備改善目的の移転等、前向きな理由での移転が大半を占めており、空室率は引き続き低下が進むものと予想される。

賃料相場は底上げ傾向

オーナーサイドの動向としては、現入居テナントに対し、賃料増額改定を目指した動きが増えてきている。新規募集賃料を見直す動きもあり、マーケット全体で相場の底上げが感じられる。優良物件においては、空室が発生しても、テナントが数社競合するなどして、早期に空室消化につなげた物件も多く見受けられた。また、築年数を経た物件では、立ち退きや、定期借家契約への切り替えを行うケースも出てきている。これらにおいて建替や開発が進めば、貴重な新規供給物件となり、マーケットに大きなインパクトを与えるものと考えられる。テナントサイドは、移転計画において優良物件を確保するためには、情報の収集とともに、状況に素早く柔軟に対応する必要があるだろう。

仙台以外の東北主要都市については、新規供給がなく、安定したマーケットが続いているが、拡張移転や新規出店に伴うテナントの動きも出てきている。一部の地域においては、耐震物件を中心に、空室を消化しているケースも見受けられる。ただし、仙台同様、まとまった面積の確保は困難となっている。

仙台支店 岩城 和利

相場表

種別 賃料(共益費込み) 需給の動向 空室率
推移
仙台市中心部 13,000円~16,000円/坪 空室率は前期から大幅に低下した。また、すでに大型空室の消化が見込まれていることを踏まえると、さらに大型面積の確保が困難なマーケットとなる予想。各テナントの移転動機は人員増による拡張、業務効率化を図った拠点の集約、立地改善など前向きな理由が多くを占めている状況下で、具体的な新規供給計画はない。引き続き、全体的に需給がタイトな状況が継続するものと予測される。 やや低下
郡山市 9,000円~13,000円/坪 小規模な空室については、需要もそれほど多くなく、需給バランスを保っているが、大規模な移転を検討する場合には、対応できる物件が限られている。 -
盛岡市 9,000円~11,000円/坪 エリア外からの移転や増床などにより、空室消化は好調に進んでいる。特に大型空室は希少性が増してきている。 -
倉庫・配送センター
既存
3,000円~5,000円/坪 中・小型倉庫の空室消化が目立ち、空室の枯渇が加速する状況となっている。昨年竣工したマルチ倉庫も大型ニーズの受け皿となっており、引き続き、多くの企業が検討している。 -
空室率推移凡例:  上昇 上昇 やや上昇 やや上昇 横ばい 横ばい やや低下 やや低下 低下 低下

※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。

文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。

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上記内容は BZ空間誌 2018年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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