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埼玉県の活用手法

埼玉県における企業誘致状況と物流総合効率化法の活用手法

埼玉県産業労働部企業誘致推進室物流振興担当
主査 佐川 浩一

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立地ポテンシャルは高いが、県内の事業用地は不足

物流総合効率化法の活用事例として、埼玉県初、全国でも市街化調整区域における初の開発許可となった東松山市におけるビックカメラの案件は、非常に注目されているのではないでしょうか。その背景となった埼玉県の企業誘致の状況と取り組み、そして物流総合効率化法との関係についてご説明したいと思います。

埼玉県は、東京から放射状に延びる東北・関越・常磐の各自動車道が県内に集結しており、東日本全体をカバーする広域物流の拠点となる立地条件を備えています。また、最大の消費地・東京に隣接しており、東日本全体と東京の両方を睨んだオペレーションも可能です。加えて、都心部と比べ広大な敷地が安価であることも魅力の一つ。今後は、本県内で先行的に整備が進む首都圏中央連絡自動車道沿線地域が、物流拠点の立地先として非常にニーズが高まってくるのではないかと考えております。

本県の企業誘致活動は、2005年1月に産業労働部内に立ち上げた企業誘致推進室を中心として実施しております。また、同時に策定した「埼玉県企業誘致大作戦アクションプラン」により、2007年3月までに企業誘致件数100件を目標として取り組みを進めております。このアクションプランでは、個々の企業ニーズに応じてきめ細かな誘致活動を展開する「オーダーメイド誘致」、企業ニーズに迅速に対応する「クイックサービス」、並びに各種行政相談などを一括して行う「ワンストップサービス」などの基本方針を定め、それに基づいた個々具体的な施策を掲げております。おかげさまで昨年1年間に86社の誘致、立地を達成することができました。このような企業誘致活動の実施や、経済が回復基調にあり企業の設備投資意欲が高まっていることなどから、現在、県内工業団地の売れ行きは非常に好調です。86件の誘致件数のうち、50件以上が工業団地等に立地が決まったものですが、逆に、売ることができる区画が残りわずかとなってしまい、ご紹介できる土地が少なくなり困っている面もございます。

ところで、最近の物流施設は、物流業務の一層の効率化のため、施設の再編・集約が行われ大型化する傾向があると思います。必要とする土地の面積が5,000坪、1万坪といった、非常に大きな面積のご要望もいただいております。また、企業では、施設を立地させようとする場所や地域を事前に想定しています。土地があるから買うということは全くなく、関係会社の拠点や配送先との距離、位置関係及び交通アクセスなど、企業戦略に基づいて立地場所や地域を探しています。

我々とすれば、工業団地のように、分譲するためにすべてのものが整備され、企業側のニーズに合う地域にある土地であれば紹介が行いやすく、素早い対応が可能となります。

一方、もともと工業団地の区画数は限りがありますので、民有地を探して企業にご紹介することも併せて行っております。ちなみに、こうした、民地情報の収集については、本県では宅建協会と協定を結び情報をいただく他、銀行や個々の不動産業者などのご協力をいただいております。

このように、企業にご紹介することのできる土地をいかに確保していくかは、どんなに不動産情報が増えたとしても、さらに県として行っていく必要があると感じています。と言いますのは、先に述べたような面積の土地をすぐに紹介することは、豊富な情報量がなければ難しいところがありますし、面積をはじめ、企業が求める土地への要望は非常に多種多様であるからです。また、民有地であれば、地権者の意向もあります。土地自体の面積、形状、所在地、交通アクセスなど、これだけ条件がそろうこともなかなか難しいのですが、例えば、土地を売るのか貸すのか、買うのか借りるのか、たった一つの条件が加わるだけで企業と土地のマッチングができなくなります。86件の企業誘致ができたと申し上げましたが、実は、これまでにはその件数の倍をはるかに超える企業からの立地希望をいただいておりまして、その対応に苦慮しているところでもあります。

こうした中、物流総合効率化法が成立・施行されたことは、企業誘致を進める立場からは、物流施設の立地促進につながるものでもありますので、非常にありがたいと感じています。特に、立地要件としてインターチェンジ等からの距離制限がございますが、そのエリア内においては、これまでは開発許可が認められなかった市街化調整区域内における物流施設の立地について、可能性が開かれたことには意義があると思っています。

一つの事例を経験することで、様々な課題が見えてきた

東松山市に同法を活用した事例ができたことで、問題点や今後取り組むべき課題が色々と見えてきました。

認定までの流れは、(1)事業者からの申請、(2)大臣から県に対しての意見照会、(3)計画の認定、となるのですが、特に(2)の意見照会については、開発許可担当との調整のなかで「県としてどこまでをどのように記述していくのか」、「開発許可の見通しを回答すると言っても、開発審査会に答申しなければならず事前には許可の見通しは回答できない」、「法律の中にある、(許可に)配慮するとの規定のみでは、開発許可を与える根拠にはならない」などという意見がありました。

国土交通省では、物流総合効率化法の施行とほぼ同時に、「開発許可事務運用指針」の改正を行い、物流総合効率化法の対象である特定流通業務施設については、「都市計画法第34条第10号ロ」で対応できると位置づけられたところです。しかし、どのように運用していくのかは自治体の判断に任されているようなところがあり、開発許可担当部局は、慎重な態度を示しております。ある意味では自治体の裁量が可能な規定だと思いますが、本来、開発が抑制されている市街化調整区域において、「10号ロ」を活用して許可を行うと抑制がきかなくなる、という考えがあるわけです。

仮に物流総合効率化法に基づく認定が得られたとしても、立地に関する許可が得られなければ施設の建設はできず、計画は絵に描いた餅になってしまいます。このため、開発許可制度との調和を図り、物流総合効率化法を効果的に活用していくことができるよう、開発許可担当部局との調整を引き続き行っているところです。

市街化調整区域プラス、農地転用の調整も

東松山市のビックカメラのケースでは、一昨年にすでに農用地区域からの除外が行われておりましたので、農地に関する問題はありませんでしたが、市街化調整区域の開発許可とともに、開発エリア内に農地が含まれていると、農地転用も大きなネックとなります。さらに、その農地が農業振興地域内の農用地区域に指定されている場合は、調整が一層難しくなり、かなりの時間を要することになります。埼玉県では、インターチェンジ周辺などは集団的な農地であることが多く、今後、物流総合効率化法を適用しようとする場合には、農地転用の問題は必ず出てくるのではないかと思われます。

通常の企業誘致活動におきましては、農地が含まれる土地をご紹介することはないと思いますが、物流総合効率化法を活用し大型の物流施設を建設しようとすることになりますと、どうしても農地を含む計画となってしまうことが多くなると思います。そうなりますと、関連機関等に対し、農地転用に向けた調整が必要となってきます。

農地転用許可が必要な場合もできるだけのサポートをさせていただこうとは思っているところですが、現実問題としては、農業振興地域の農用地区域など、集団性が高く優良農地となっているエリアの農地転用は認められることはないと思います。そのため、優良農地を含まない形で進出地を考え、含むとしても、優良農地エリアの外縁部分にとどめるような場所を選ぶ必要があります。

東松山市のケースでは、もちろん農用地区域からの除外が可能な農地であったことによりますが、物流総合効率化法の認定申請及び開発許可申請以前にこの除外手続きが終了していたことが、法施行後の間もない時期の認定につながったと言えます。

このように、この法律を活用していただくためには、物流総合効率化計画の作成と並行して、開発許可担当部局や農地転用担当部局と事前に十分な調整を行っていただかなければならないと思います。企業誘致推進室からも具体的な案件について、関係機関等への調整を行いたいと考えております。同法のご活用を検討されている企業等におかれましては、早めに、当室にもご相談をいただきたいと思っています。

物流総合効率化法に基づく認定申請は、実際には、開発許可や農地転用許可の見通しが立たなければ受け付けないことになると思います。したがいまして、スムーズな認定申請を行っていくためには、各機関との十分な事前相談が必要となりますので、相談受け入れ態勢を整備し、相談者が相談しやすい環境をつくるとともに、各機関間の情報の共有化を進めていきたいと考えております。

昨今の土地の動きを見ていると、埼玉県にとって確実に有利な状況となっています。県としては、このチャンスを逃すことなく、一丸となって産業振興策、企業誘致、物流効率化を考えなくてはなりません。本県に進出をお考えの企業に対しては、積極的に協力し、お役に立ちたいと思っています。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2006年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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