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千葉県立地企業の戦略

  • 2025年2月4日

世界基準の高品質を実現!
自然災害から人々を守る、超高強度金網のパイオニア

スイスに本社を置くGEOBRUGG AGの日本法人として、1999年に千葉県柏市で事業を開始したジェオブルッグジャパン株式会社は、超高強度の金網やネットを使用した防護システムを手がける企業だ。同社の製品は従来の技術では対応が難しかった落石や土石流、斜面崩壊などの自然災害から人命や重要施設を守る防護柵として、日本全国の自治体で採用されている。また、その高い技術を応用し、モータースポーツの最高峰と言われるF1のサーキットでも、安全性と視認性の向上で高い評価を得ている。2024年夏には業績拡大に伴い本社工場を千葉県柏市内で移転。製造スペースを3倍近くに増強した新拠点での事業展開について、ゼネラルマネージャーの西村信人氏に話をうかがった。

ジェオブルッグジャパン株式会社 
ゼネラルマネージャー 西村 信人氏ジェオブルッグジャパン株式会社
ゼネラルマネージャー

西村 信人

日本各地の自治体等で採用される、高強度・高品質の防護ネットシステム

ジェオブルッグは国土の70%を山岳地帯が占めるスイスで設立された企業です。当社が初めて自然災害の対策工を設置したのは1951年のことでした。雪崩を予防するスノーネットでしたが、雪解け後に石が留まっていたのをヒントに、落石防護柵を開発。それが世界中で認められ急成長しました。落石防護柵にとどまらず数多くの自然災害や安全に関わる製品を開発し、業界のパイオニア的存在として、今日では世界に展開しています。日本で初めて当社の製品が導入されたのは落石防護柵で1997年のことでした。当初は国内のパートナー企業が輸入で対応していましたが、その後の需要の高まりを見込んで、1999年にジェオブルッグジャパン株式会社を設立。翌2000年から国内での製造を開始しました。

日本市場に参入した当初、「高エネルギー吸収型」と呼ばれる、大規模の落石に対応できる製品は日本に存在していませんでした。道路脇で見かける一般的な落石防護柵の想定している衝突エネルギーは、20~70kJ程度ですが、当社の落石防護柵は2,000kJまで対応していました。その後も技術力を高め、現在では最高で10,000kJものエネルギーを吸収することができる落石防護柵があります。これは電車約1両分に相当する25tの落石に見立てたコンクリートブロックを、時速103kmで自由落下させても、受け止めることができます。〔写真1〕

〔写真1〕世界最大級の落石実験(スイス)〔写真1〕世界最大級の落石実験(スイス)

当社では安全性を向上させるため机上の計算だけではなく必ず実証実験を実施し、EUの認証機関による厳格な評価を受けています。

当社製品の特徴は、細いワイヤーでありながら高い強度を実現していることです。例えば、同じ金網の強度を実現するのに、一般的な金網では6~7mmのワイヤーが必要となるところ、当社のワイヤーは、わずか3mmです。これにより、重量を1/5程度に軽量化できるため、輸送コストの削減だけでなく、設置時の作業効率も大幅に向上します。特に道路脇での工事では、交通規制の期間を短縮できるといった利点があります。

さらに、当社の超高強度金網は100%リサイクル可能な鉄製品であるため、環境先進国の公共事業で重視されているEPD(環境製品宣言:製品の環境への影響を測定した第三者認証)のタイプⅢをどこよりも早く取得しました。コンクリート構造物と異なり、当社のネットは透過性が高く、時間とともに植物が生育することで周囲の自然に溶け込んでいきます。実際に、景観を重視されている自治体や国立公園での採用事例が多数あり、景観保護の観点からも高い評価をいただいています。〔写真2〕〔写真3〕

〔写真2〕自然と調和する防護システム(ニュージーランド)〔写真2〕自然と調和する防護システム(ニュージーランド)
〔写真3〕自然と調和する防護システム(オーストラリア)〔写真3〕自然と調和する防護システム(オーストラリア)

千葉県柏市の工場を同市内に移転

2000年に日本で製造を開始して以降、国内での認知度が高まるとともに売上が順調に伸び、工場がだんだんと手狭になっていきました。そのため4~5年前から新たな場所を探し始めましたが、日常業務に追われる中で頻繁に情報収集をすることが難しく、物件探しに苦労していました。そんな中、2023年にCBREをご紹介いただきました。当社の第一希望が賃貸であることをCBREに伝えると、早い段階で数件の物件を紹介してくれました。やはり、いい土地、建物を探すのであれば自分たちで探すのではなく、プロに任せると情報量が圧倒的に違うので効率的ですね。

新しい事業所を探す際に重視した点はいくつかあります。ひとつは通勤の利便性で、従業員の通勤を考慮し、前事業所から近い場所での移転を希望していました。また、重量のある鉄製品を扱うため、平屋を条件としていましたが、CBREから「床の耐荷重さえ確保できれば、必ずしも平屋でなくてもよいのでは」と提案を受け、選択肢を広げて検討することができました。他にも空港や、高速道路までのアクセスのよさ、製造時の音や夜間操業のため準工業地域以上が必須など、数多くの希望や条件がありました。

最終的に決断した現在の物件について、建物を工場として利用するにも、いくつかの課題がありました。特に2階の床の耐荷重が当初不明だったことや長物である金網を運搬できるエレベーターの確保、1階の間柱の間隔に当社の製造機がうまく収まるかなど、検討事項は多岐にわたりました。

これらの課題に対して、CBREは専門家チームを組成し、建物全体の構造計算や梁補強工事について検討を重ね、一つひとつ課題をクリアにしてくれました。また、消防法や建築基準法に関連する行政手続のサポートもありました。公共事業に関わる当社にとって法令遵守は絶対条件であったため、専門家による的確なアドバイスは非常に心強く感じました。加えてCBREからは事業所移転に関わる工事や当社の大型製造機移設工事の提案もあり、一気通貫でスムーズに移転を完了することができました。

2024年夏に移転が完了し、製造スペースは従来の約2.7倍となりました。これまで注文が集中する時期には、お客様をお待たせしてしまったこともありましたが、新事業所ではそういった課題を解消できるようになったため非常に満足しています。

総面積は従来の5倍強、新拠点から広がる未来への展望

製造スペースの増加に伴い、スピーディな出荷と需要に合わせた生産調整が可能になりましたので、今後は国内のみならずアジアのハブ工場として製造機を増やしていく予定です。当社の防護システムは落石や土石流など「動いている物を止める」のが主でしたが、まだ動いていない斜面の表層崩壊を超高強度金網で安定化させる「パワーネット工法」の需要が日本をはじめ、アジアでも急速に高まっています。これまでは不安定な斜面があるとコンクリートで覆うのが一般的でした。しかしコンクリートには、現場での品質管理や緑化の難しさ、リサイクルなどの課題があります。一方、当社の金網は二次製品であるため、現場での品質管理が不要です。しかも軽量で施工が容易なため、建設業界の人手不足や輸送の課題の解決に寄与します。また、超高強度金網は空間があるため全面緑化が可能で景観に優しいという利点もあります。さらに、コンクリートと違い、100%リサイクルが可能なため、環境問題の解決にも寄与します。信頼性においてもすでに、スイスで最大級の500tクレーンを使用して実際の斜面を再現した実験で実証済みです。〔写真4〕

〔写真4〕斜面崩壊の実証実験(スイス)〔写真4〕斜面崩壊の実証実験(スイス)

この「パワーネット工法」の需要が国内外で高まっている今、すばらしいタイミングで工場移転ができたことを、とても嬉しく思っています。

今後、気候変動に伴う自然災害の増加により、当社の製品への需要はさらに高まると予想しています。新事業所を拠点に、環境に配慮した安全・安心を提供し続けることで、社会に貢献してまいります。

新事業所外観新事業所外観
企業名 ジェオブルッグジャパン㈱
■新事業所 千葉県柏市十余二
製造面積 2,730㎡(827坪)
保管面積 2,020㎡(612坪)
■旧事業所 千葉県柏市小青田
製造面積 1,000㎡(303坪)
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新事業所内部新事業所内部
新事業所の会議室。壁はコーポレートカラーの青新事業所の会議室。壁はコーポレートカラーの青

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上記内容は BZ空間誌 2024年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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