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賃貸物流倉庫・大型貸し倉庫の記事

3PL事業者の手法

株式会社ハマキョウレックス 代表取締役社長 大須賀 正孝氏

物流施設は"資産"ではなく、あくまで"道具"
適所で得れば、後はアイデアと交渉力で勝負。

株式会社ハマキョウレックス
代表取締役社長
大須賀 正孝

買うか借りるかはどちらが安いかで判断する

物流センターを新設する場合に、土地や建物を購入して自社所有にするのか、それとも第三者から借りるのか。どのような判断をされているのでしょうか。

我々にとって土地や建物というのは"資産"ではなく、サービスを展開していく上での"道具"でしかない。買ったほうが安いのか、借りたほうが安いのか。それを判断して、あくまで安いほうを選んでいるだけ。

物流業というのは、コストの無駄をなくして収益を上げていける会社しか生き残れない。いくら立地がよくても、コストを無視して物流センターを建てたのでは競合に勝てないし、赤字の原因を作ってしまうことになる。

高いか安いかの判断には、色々な要素があると思いますが。

ウチの物流センターは、償却期間を15年に設定して判断している。土地を購入しても、15年地代を払っているのと同じという考えで、それでペイするかどうかということ。賃貸物件の中での高い安いは、その地域の家賃がいくらか、といった相場感が一番重要だろう。

ただ、既存の建物を借りて使うのは、使い勝手はあまりよくないね。やはり自前の施設を建てたほうが、使い勝手はいい。

では、建物を借りるという選択肢はあまりないのでしょうか。

それはあるよ。安けりゃどこでも買うというわけではない。例えば地方の田舎町で、お客さんからの依頼でどうしても物流センターを開設する必要がある とする。そのお客さんとの取引が永続的に続くということはあり得ないから、すぐに次のお客さんが見つからないような田舎では、絶対に買わない。ただし、京 阪や中京、関東圏などには需要があって、新しい取引をすぐに始められるから、安ければ買うね。

世の中の流れは非常に速いから、3年先はわからない。お客さんの工場の状況も生産量も変わっていくから、いつ取引が打ち切られるかわからない。初めのうちは調子よくても、変化は急にやってくる。

賃貸のほうが高くついても、リスクを取って買わない選択をするわけですね。

次の取引が見つからなくて、施設が不良資産になってしまう方がもっとリスクが大きい。要は、そこのところを的確に見切って、施設を作っていくということだ。

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サービス展開の"道具"として適した土地があれば購入する

藤沢センター(神奈川県藤沢市)のケースでは、土地を購入して自社施設を建設されていますね。

既存のお客さんの取り扱いが増加し、物流センターの新設準備を進めていたところ、非常に良い場所を坪単価13万8000円という格安で4,700坪購入できた。そこに延床面積3,600坪の物流センターを建設し、2005年8月にオープンさせた。今年になって、たまたまその隣の土地5,000坪を坪単価14万9000円で購入することができたので、5,000坪の物流センターを建設した。タイミングよく隣接する土地が購入できたのも、縁があったからだと思う。

藤沢という立地を選択した理由は?

選んだというよりも、道具として適した土地がそこにあったというだけ。関東一円でサービスを展開するのに、東京周辺であれば藤沢であろうと八王子であろうと大した差はないね。これが神奈川県内に特化したサービスを行うのであれば、立地を吟味する必要があるだろう。

立地に関して言えば、藤沢はいい場所だよ。インターに直結する片側2車線の道路が目の前を通っていて、来年3月には開通する予定だからね。

今は、関東地方ではこの藤沢センターの他に綾瀬(神奈川県綾瀬市)にも5,000坪の物流センターがある。関東地方では物流センターのニーズが高く、今でも10件ほどの引き合いがあるから、これから5,000坪規模の物流センターがあと三つは必要だ。

大都市周辺であればOKとはいえ、顧客から見た立地の良し悪しというのもあるのではないでしょうか。

お客さんの方は、立地の判断などしないよね。物流業者がお客さんのところまで荷物を取りに行くわけだから、物流センターの場所なんて、コストが安くて確実に荷物が届けば関係ない。さらに言えば、東京の業者だろうが、浜松の業者だろうが、関係ないだろう。

藤沢センターのように土地を購入してしまうと、撤退が難しくなったり、不良債権化してしまうというリスクがあるのではないですか。

そういう場所は買わない。もし当社が土地を購入して、自社施設を建てた場合でも、撤退するとなれば貸して欲しい売って欲しいというところがたくさんある。そういう魅力ある立地しか買わないし、逆にそういう場所には、取引もたくさんある。結果として、撤退することはないよ。

場所はいいけれども、時とともに施設の使い勝手が悪くなってしまったようなケースなどは?

ウチは3PLを手掛けてからまだ間もない企業だから、旧態依然とした多層階の古い倉庫は所有していないよ。建てる時も、当初から2階建より多層とな る施設は建てない。3階建以上になると、とたんに使い勝手が悪くなるからだ。年月とともに施設が陳腐化するのは、まあ仕方ないことだが、階層といった基本 的な仕様は、先を見越しておかなければならないことだろう。

都市部の倉庫は、面積を取りたいばかりに300坪の5層とか500坪の3層などが多く、エレベータで荷の上げ下げを行い、苦労される企業が多いようですが。

当社は3PL業者だから、効率をまず考える。荷揚げのロスだけでなく、3層にすると柱ばかり多く、レイアウトにも無駄が生じてしまうので、建物の効率も悪い。

現在、賃借物件と自社購入物件の割合は?

賃借よりも、所有物件のほうが断然多い。ただ、荷主の物流センターに当社が入るケースもある。これは、購入でも賃借でもなく、請負という形での取引だ。もちろんそういう場合は、我々に物流センターに係るコストはない。

人材が集まりにくい場所では土地を買うべきではない

では、センターを開設して失敗したケースはありませんか。

川崎の東扇島は、安かったので借りたが、人が全然集まらなかった(東扇島は臨海埋め立て地)。今の物流業は、人がいないと仕事にならない。

あの場所で100人の人を集めるのは至難の技だよ。倉庫だけはたくさん集まっているけど、周辺に住宅が全くないからね。川崎市内で人材募集をしても、交通の便は悪いし通勤時間はかかるしで、なかなか人が集まらない。川崎までバスを何台も出したり、通勤手当を払うなどして集めてこないと。それに、帰りのバスが早い時間に終了してしまうから、仕事も早めに切り上げなくてはならない。正味の就業時間も短くなってしまう。

派遣社員を雇って対応しようとすると、人件費が高くつきますね。

派遣社員を雇うと高くつくということもあるが、人が頻繁に入れ替わるから、作業を一から教えなくてはならないというデメリットもある。教える手間が かかるし、仕事の質も下がるから非常に効率が悪い。100人のうち派遣社員が10人くらいならまだいいが、これがもっと多くなると、コストが高いどころか 仕事が回らなくなってしまう。

だから、人の集まりにくい土地は、いくら安くても絶対に買うべきではないね。

格安な地代で1万坪の土地を賃借柔軟な発想でビジネスを生む

長野県安曇野市では、1万坪の土地を借り、物流センターは自前で建設されています。

コンベアーブリッジ(地上部分)

これは、隣接するジュース工場のための物流センターとして、2005年に建設した。

ウチが入る前は、ジュース工場からいったん商品をすべて松本市近辺の倉庫に運び、そこで1週間保管した後、細菌検査を経て出荷していた。細菌検査まで1週間保管する義務があるから、倉庫が必要だというわけ。商品を倉庫に運ぶのに、1日200台ほどのトラックを使っていたから、その運賃だけで年間数億円かかる。

「それを私がなくしましょう」とジュース会社に提案した。すると、「なくなるわけがない」と言われたね。それでどうしたかというと、ジュース工場の隣に繊維会社が保有する広い土地が空いていたから、その土地を借りて物流センターを建てた。ジュース工場と物流センターの距離は230m。これを地下でつないだ。

この物流センターを使えば、出荷する商品をエレベータで地下に移動させて運ぶだけでいいから、トラックに積む手間が省けるし運送代もかからない。それに、これまでの倉庫は1万3000坪の大きさだったところを、当社の物流センターは間仕切り一つないレイアウトで5,800坪の大きさに抑えた。半分以下の坪数でも、商品は全部ここに入ってしまうから、倉庫代もかなり安くなる。これ以上省けるところがないくらいコストダウンを図っているよ。

この契約は30年だ。ジュース会社にとってみれば、この物流センターを使わなくなることは考えられないからリスクは低い。さっき、田舎では所有しないと言ったけど、ここでは、だから自前で建てたわけ。そうじゃなかったら建てなかった。

ジュース会社自身では、隣の土地を活用することを考えつかなかったのでしょうか。

たくさんの運送会社が入り込んでいたから、そんな発想は出てこなかったのだろう。それに、運送会社は何を考えるかというと、当時は松本周辺の倉庫へ 運んでいたけれど、もっと遠くへ運んで運賃を稼ごうとする。だから、それを私がなくしてあげると言ったんだ。これまで物流を請け負っていた運送会社には、 当社の物流センターからの配送を引き続きやってもらっているから、取引が全くなくなったわけではない。

土地を保有していた繊維会社と大須賀社長とは、以前に付き合いがあったのですか。

ないけど、直接訪ねて交渉ですよ。初めは、繊維会社が自分たちで倉庫を建てるから、それを賃借してはどうかと言ってきた。でもそれだと高くつくから、我々としては自社施設を建てたい。交渉の結果、土地を借りて、建物を作った。

長 野県へ建築許可申請に行った時も、ウチの県は「環境長野」を宣言しているから建設は難しいという話だった。私が「新しい物流センターは地下で工場とつなげ るから、毎日トラック200台分の排気ガスをなくすことができる」と説明しても、「そんなこと冗談でしょう」と半信半疑だったね。いったんは突っ返された んだけど、そうしたら翌日に電話が掛かってきて、来てほしいと。それですぐに許可が下りた。

実は、繊維会社の保有地に物流センターを建てる話をジュース会社に持ち込むのと同時に、繊維会社との土地賃借の交渉も進めていた。ジュース会社の物流の元受に話が漏れると、「うちもやるよ」と競争になってしまう。それを避けたかったので、先に押えておいたというわけ。

しかも、地代はかなり安く。

良いタイミングで、たまたま良い土地が空いていたということだと思う。

ここは、安曇野市に合併される前は堀金村といって、そ の時の村長が繊維会社を誘致したという経緯があった。村がなくなり、村長は辞め、繊維会社は、購入した広い土地に何かを建てるかというと、建てない。土地 を返却するかどうかという問題になっていた時に、私が交渉に行ったものだから、安く借りられたというわけだ。

非常にいいタイミングを捉えて、営業力と交渉力でコストダウンを実現された。

土地の取得だけに限らず、仕事なんていうものは、縁があればうまくいくし、縁がなければうまくいかない。交渉する時も、熱意を持って真剣に話をすれば、相手は聞く耳を持ってくれる。

それに、良い話があった時は、検討するなんてもんじゃなくて、即決していかなきゃ。それが縁をつかみ取るコツだよ。

物流のコストダウンを図るには、発想次第で様々な方法が考えられるんですね。
本日はありがとうございました。

あずみ野物流センター

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上記内容は オフィスジャパン誌 2006年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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