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物流業者の武器に

競争力ある 物流事業者が、さらに成長する"武器"に

船井総研ロジ株式会社
代表取締役 菅 重宏

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物流業界が使いやすい法律が成立

「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法)」は、物流業務の効率向上により国際競争力をアップさせること、また、京都議定書に定められたCO2排出量削減などが目的とされています。加えてそこで示された認定メリットや優遇措置は、全国各地の物流事業者の方に大きなチャンスをもたらす法律だと言えるでしょう。

これまでにも、物流業界の進展を目的とした優遇策は多々ありましたが、残念なことにほとんどのスキームは、中小物流事業者にとってあまり使い勝手のよいものではありませんでした。企画から申請、稼働までに要する時間が長いうえ、融資決定までの期間も長く、さらにその審査は慎重。現在の低金利下では享受できるメリットが少ないといったことから、実施例は極めて限られたものとなっています。また、これまでの共同化事業では、パートナーを見つけ説得し、根回しをするといった独特の難しさがあり、物流事業者主導でこれを行うことは非常に困難なものでした。これらの施策は、どちらかといえばメーカーや卸業者向けといった側面が強く、それが積極的な活用に至らない一因だったと言えるのではないでしょうか。

今回の物流総合効率化法は、物流事業者、特にサードパーティーロジスティクス(3PL)事業者の立場に立った法律に改正されており、使いようによっては物流事業者の成長に向けた強力な武器になるものだと考えます。全国約6万5000社の運送業者は、その大半が小規模な零細企業。期待先行なのかもしれませんが、「路線事業者並の競争力を持てるかもしれない」との期待の声が、多方面から出てきているようです。

現在の認定実績は17件と聞いていますが、やや出足は鈍いといった印象でしょうか。行政サイドから案内されているパンフレットや書類、ホームページだけを見ると、ハードルが高そうなイメージであることは否めません。私どもでも、複数の企業からこの法律に関しての相談を受けていますが、申請から認定までの具体的な手続きを、実際、どのように進めればいいのかが明確になっていないように感じます。持ち込まれる相談は、大部分が申請書の書き方や、このケースでは認定されるのか否かといった基本的な質問です。例えば「インターチェンジから5kmという距離は、直線距離なのか実走距離なのか」など、細かな運用面での疑問が多々あります。これは、認定事例が少ない現時点ではしかたのないことですし、今後、事例が次々と出てくれば、詳細な認定基準や運用の許容範囲など、徐々に見えてくるものと思います。

不可欠なプロジェクトリーダー地域ナンバーワン企業が有利に

この法律により、市街化調整区域に物流施設が建てられる可能性が出てきたことは、3PL企業、特に中小企業にとって非常に大きなメリットです。ことにインターチェンジ付近への立地は魅力的でしょう。また、分かりにくさが残っているとは言え、物流効率化という認定基準は、荷主を含めたすべての企業にとって必須なものであることから、取り組みやすく門戸は大きく開かれていると言えます。極端な話、どのように施設を手に入れるかについての選択肢が広がったという見方もできます。土地が安く仕入れられるのは物流事業者の競争力の向上につながるはずですし、荷主にとっても、バランスシートにのらない便利な物流拠点をリーズナブルに活用できるようになるのですから、結果として競争力を持つことになります。ただ、荷主と3PL事業者との契約は短期間であることが多く、詳細な計画書作成中に計画変更といったことが起こり得ます。欲を言えば計画書ではなく事業企画書レベルで認可されるのであれば、さらに活用しやすくなると言えるでしょう。

もちろん、自前で物流拠点を持ちたいと考える企業にとっても、大きな追い風です。逆に、不特定多数のテナントに対して物流施設を提供するデベロッパーは、今回の施策の恩恵を受けることができません。マルチクライアント方式の最新鋭の物流施設など、物流効率化の観点からは最適な施設であるのですが、この法律は、あくまで物流事業者サイドの業務効率に基づいており、まず事業計画がなければ始まらないのです。かえって、荷主や物流事業者がハイグレードな施設を低コストで構築できるようになるわけですから、国内外のファンドに代表される物流投資家にとっては、あまり喜ばしいものではないのかもしれません。

では、物流事業者にとってすべてがハッピーかというと、そうとも言い切れません。この法律は、業界の二極化をさらに推し進めるといった側面も有しています。つまり、実力のある企業はさらに成長し、そうでないところはさらに競争にさらされるということです。

物流総合効率化法の"キモ"は、なんといっても、まず荷物ありきだということ。市街化調整区域での認定第一号にしても、まずビックカメラというベースがあり、その効率的なロジスティクスをどうするかが次のステップ。その段階で、東松山インターチェンジそばに物流拠点があれば物流の効率化が図れるという結論が導かれ、それでは拠点を建設しよう、ということになります。

ところが、通常の物流事業者がこれと同様に進められるかというと、かなり厳しいと言えるでしょう。荷主と物流事業者との関係は、明らかに主従です。3PL企業からの提案には、強力な調整能力・企画力が必要となります。荷主サイドでこの法律を熟知しているとは思えませんから、その調整段階で頓挫してしまうケースは少なくないでしょう。また、事前の準備も万全にしなければなりません。関係各所の調整を進め申請したものの、「許可が出ませんでした」となれば、時間とコストはすべてムダになってしまいます。逆に、このムダを受け入れられるだけの"余力"が必要だと言うことです。

さらに、認定を受けるための必要条件として、荷主、行政との調整能力に長けた人材が会社に在籍していなければなりません。企画、融資、許認可など、文書を書くことも多いですし、ネゴシエーターとしての力量も必要です。荷主をも引っ張りこみ、プロジェクトリーダーとしてやっていける能力を持ち、経営者の右腕となってプロジェクトを進められる人物。時には旗も振り、ルール上有利にしていくにはどうしたらよいかという先見性も必要です。また、あくまでクライアントは荷主なのですから、そこに対して納得のできるプレゼンテーションができるかという能力も問われるところです。

これは中小企業にとってかなり難しい課題です。必要な人材が育っていない、という企業では誰がこのプロジェクトを推進するのでしょうか。零細企業にも可能性はあるでしょうが、それなりに規模や人材がないと難しいということもお分かりいただけると思います。また、効率化というのはある程度の事業ボリュームがなければメリットが出ませんし、効率化そのものもできません。その意味でも、ある程度の事業規模が必要になってきます。ですから、既設倉庫業者や大手クライアントをがっちり掴まえている運送業者にとても有利なのです。

この法律を有効に活用できるのは、やはり、域内の優良企業。その区域のナンバーワン企業に有利に働くと言えるのではないでしょうか。

企業拡大の起爆剤に

では、具体的にメリットを享受できる「大規模な区域事業者」とはどのようなところでしょうか。運送業者で言うと、売上で年商7億円から30億円、トラック台数で言えば50台以上といったところが挙がってくると思います。こうした企業は、同法を活用して、自社がカバーしている圏内(県内)拠点の再配備を行うこともできるでしょうし、インターチェンジ付近に物流拠点を構えることで県外からの進出に対して楔を打つという戦略も採れるでしょう。逆手にとって県外に攻めて出ることなど、チャンスは多いと言えます。

私どもでは、物流事事業の成長のステップを「3・7・15の法則」という区切りでセグメント化しています。年商ベースで、3億円、7億円、15億円、30億円、70億円・・・・という規模に、業績拡大の「壁」がそれぞれあるわけです。そして、この壁を越える時に、何らかのアクションが必要になる。新ビジネスを展開する、新エリアに展開する、社内のマネジメント体制を刷新するなどです。例えば、年商15億円の運送業者が30億円、70億円を目指すためには、既存の営業圏内の事業だけでは限界があります。圏外に出ることが不可欠ですが、その時に大きな力となるのがこの法律でしょう。もちろん、年商3億円以下、トラック30台未満の企業にとっても、ハードルは高いとは言え、大きなチャンスであることは間違いないところです。

この制度を活用して何かを展開していきたいと考えている企業は、すでにかなり綿密な調査を行っています。やはり既存の顧客を持つ企業は強いのですが、その顧客をライバル会社が低コストを武器に奪う可能性もあるわけです。物流拠点を安価に調達できるのであれば、物流企業としての競争力は格段に上がり、荷主企業との関係もより強固になる可能性があるのです。

物流総合効率化法への率直な見解は、現時点で3年先を見据えた事業計画を持っているところ、つまり、既存事業を固め、優秀な人材を持つ会社に扉が開かれたという点に尽きます。資本や設備を持つ大企業に、局地戦で対抗できる可能性が現れたのです。あとはそれを活用し、自らが成長するか否か。有効に使うことによって、自社がもう一歩大きくなるための起爆剤になるのではないでしょうか。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2006年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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