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三菱地所|グローバル物流戦略

  • 2025年2月12日

開発に有望なエリアを見極め、最適解のアセットを。総合デベロッパーならではの海外成長戦略。

1972年以来、子会社の設立やM&Aを駆使して海外にネットワークを広げ、グローバル事業を積極的に展開してきた三菱地所株式会社。オフィスや商業施設、住宅、物流施設と幅広いアセットを持つ同社にとって、海外における物流施設の開発とはいかなる意味を持つのか。また先進国と新興国とで進出手法の違いはあるのか。事業の最先端にいるメンバーに、物流施設進出のスタンスと、今後の展望を訊いた。

三菱地所株式会社 海外業務企画部
総合企画ユニット兼投資審査室
担当部長 ユニットリーダー 室長 岡田 勝之
副主事 北村 成

欧米マネジメントユニット兼投資審査室
主事 大山 達也

東南アジア・オセアニア・マネジメントユニット
副主事 冨岡 怜央

日本屈指の総合デベロッパーとして、海外にも積極進出する三菱地所

三菱地所は1937年、三菱合資会社の不動産・建築の両部門が分社して設立されました。以来、オフィスビルや商業施設、ホテル、物流施設の開発・賃貸・運営管理をはじめ、海外事業、投資マネジメント事業、空港事業、設計監理や不動産仲介、エリアマネジメントなど多岐にわたる事業を展開、特に大手町・丸の内・有楽町の「大丸有」エリアで数多くのビルを手掛けたことから、“丸の内の大家”とも称されています。

当社の海外進出は、1972年に三菱地所ニューヨークを設立したことから始まります。その後1990年にロックフェラーグループ社に資本参加し、本格的なアメリカ進出の土壌ができたことになります。

また、欧州においても1986年に英国に進出し、三菱地所ロンドン社を通じ、ロンドンの中心エリアで約40年にわたってオフィスビルを中心とした不動産賃貸・開発事業を進めています。さらにフランスのパリ、スペインのバルセロナ、スウェーデンのストックホルムにも物件を所有しており、欧州全体に当社グループのプレゼンスを高めています。

さらに2008年、シンガポールに三菱地所アジア社の設立以降、ベトナムやタイをはじめとする東南アジア・オセアニアにおいても事業を展開。 2021年にはオーストラリア支店を開設しています。また中国や台湾などの東アジアにおいても現地法人にて不動産事業を推進しています。

こうした海外進出を進める要因の一つはリスク分散で、日本市場だけでなく異なる特性を持ち、人口増加も期待できる海外のキャピタルマーケットにも進出する必要性があったから。もう一つはノウハウの相互融通で、日本の知見を海外へ、また海外で得た知見を国内に持ち込むことで、より相乗効果を高めたいと考えているからです。

2012年スタートの物流施設開発、エリアで異なるグローバル展開

物流事業について見てみると、国内においてはグループ会社の東京流通センター(TRC)のように、50年以上前から流通の変化を支える都市型物流センターを構築・運用してきました。 2012年からは物流施設の開発事業に本格参入、自社施設ブランドを「ロジクロス」として掲げ、すでに24棟(2024年11月時点、共同事業含む)の開発を進めています。

海外に目を向けると、米国においては、もともと買収していたロックフェラーグループ社には、全米にこれまで多数の物流施設開発実績があり、主要マーケットで培ったソーシング力と開発力からデベロッパーとしての確固たる地位を確立しています。また、世界的にコロナ禍の影響により、どの国においてもECの拡大は顕著であり、そのために物流施設に対するニーズは各エリアで拡大していることは間違いありません。その意味では、当社としても投資に対して安定的なリターンが期待できるアセットタイプとして位置付けています。

とは言え先進国と新興国では、投資に対する考え方を変える必要があると考えています。例えば米国では、当社にとってはロックフェラーグループ社などの、M&Aで獲得したビジネスの土台があること。そして開発した物件を売却して、その資金をまた次に投資するという、いわゆる回転型ビジネスを行いやすい。つまりキャピタルマーケットが成熟しているので、継続的なビジネスがしやすいと言えます。

一方、アジア新興国については特にコロナ前における各国の成長の勢いは、著しいものがありました。しかしアフターコロナにおいては、国ごとに回復度に差異があるため、エリアをしっかりと見極めつつ、狙いを定めてしっかり投資していくというスタイルを考えています。その意味では、基本的には先進国に重点的に投資するというのが、現在における当社の基本スタンスになっています。

PORT 460(アメリカ)PORT 460(アメリカ)

総事業費500億円超の大型開発、先進国を対象に積極的な事業展開

直近におけるその代表的な例が、現在進行中の「PORT 460」です。これはロックフェラーグループ社と米国東海岸のヴァージニア州の地元の有力デベロッパーが推進する大規模物流施設開発に、当社、大成建設、中央日本土地建物が参画するプロジェクトとなっています。場所はワシントンDCのやや南側、全米の船便が充実している主要港であるヴァージニア港にほど近いエリアで、主要高速道路にも近い物流適地となっています。その恵まれた約243エーカー(約100万㎡)の敷地に、総延床面積22万㎡となる5棟の大型物流施設を開発する計画で、総事業費は約500億円という大規模なものとなっています。

当社グループとして取り組む米国の物流施設事業は、一般的には50~60億円規模の開発が多いので、資金についても規模についても、ここまで大きなプロジェクトは稀有なものと言えます。ですが現地にデベロッパーとして50年の歴史と社員約300名を抱える子会社を持つ当社だからこそ、他の投資家の方にも安心していただけるプロジェクトに仕上げられたと自負しています。

また先進国では、オーストラリア・メルボルンにおける、敷地面積約12.1ha、有効面積約7haという4棟構成の規模の大型物流施設開発にも参画しました。オーストラリアでの開発事業は、三菱地所のみならず、日系総合デベロッパーとして初進出となっています。

Logicross Hai Phong(ベトナム)Logicross Hai Phong(ベトナム)

アジア新興国では重要拠点となるベトナム、2拠点開発で拡大ニーズの受け皿に

一方、アジア新興国の中で、今、物流施設の開発として最も注目しているのがベトナムです。米中貿易摩擦といった地政学上のトレンドを背景としつつ、ベトナムはその政治的安定性と比較的安価かつ質の良い労働力を武器に、製造業の外国からの移転による直接外国投資が急激に拡大しています。また安定的な人口増加と都市化の進行に支えられ内需は堅調に拡大しており、ECをはじめ消費スタイルのさらなる近代化の余地も鑑みれば、ベトナムにおける物流需要は中長期的に成長していくものと考えています。そのような見通しのもと、当社では下記の通り、南北ベトナムにおいて二つのプロジェクトの開発を進めています。

一つは北部最大の国際貿易拠点であるハイフォン港に近接する「Logicross Hai Phong」。数多くの外資企業の製造・物流拠点が所在するディンブー・カットハイ経済区に位置する工業団地内において、敷地面積150,968㎡、延床面積約88,300㎡のマルチテナント型施設を開発します。経済特区における税制優遇をフックに、周辺は高精密機器メーカーや自動車関連産業が集積しており、それらの製品保管・流通のための倉庫需要を見込んでいます。

もう一つは、ベトナム最大の商業都市ホーチミン市に隣接するロンアン省に位置する「Logicross Nam Thuan」です。ホーチミン市中心部およびタンソンニャット国際空港から約1時間の優れたアクセス性を有する工業団地に立地し、ホーチミン市における旺盛な消費需要を背景に、消費財の流通やEC等の配送ニーズが見込まれます。

このベトナムでの開発の最大の特徴は、自社の「ロジクロス」というブランドを、初めて海外で導入した点でしょう。これまでの開発は現地の優良なパートナーとの共同事業がほとんどでしたが、ベトナムに関しては初めて、単独での開発となります。言い換えれば日本仕様の先進設備を備えた、きめ細かなサービスを提供するジャパン・クオリティを提供するというメッセージと言えます。

そのほか、台湾においては日系総合デベロッパー初となる「(仮称)桃園市楊梅プロジェクト」に参画するほか、インドでは日系総合デベロッパーとしては初めて、既存物流施設2物件に投資しています。

Logicross Nam Thuan(ベトナム)Logicross Nam Thuan(ベトナム)

海外事業は成長ドライバー、マーケットを捉えた優良案件獲得へ

今後の物流戦略という点で、足元のEC需要の高まりなどに鑑みれば、当社グループの中でも重要な成長ドライバーの一つと位置付けられ、収益性が高い優良な案件をより多く獲得したいと考えています。ですが、総合デベロッパーという立場から言えば、物流施設開発がすべてではありません。各地域における市場の成熟度を考慮したうえで、各エリアで培った目利き力を活かし、最も収益性の高いアセットへの投資を継続していきたいと考えています。

上記内容は BZ空間誌 2024年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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