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様々なパターンでのコスト削減移転 ケーススタディ

移転を実施するにあたり、まず必要なのが空いている物件(スペース)です。実は10年ほど前には、このあまりにあたりまえの条件がマーケットで成立していませんでした。その頃の需給構造は、自社物件や注文建築が主流。そのため、2,000~3,000坪クラスの空き倉庫を探すこと自体が至難の業でした。大小あらゆる面積が確保可能な今の市場は、当時を思うと隔世の感があります。もう一つ、施設立地に関して、以前までは東京を見据えたベストな立地である江東区から、物流機能を犠牲にして例えば習志野へと移転するといったことは考えられませんでした。これを可能としたのが、昨今の時間距離の短縮です。高速道路の延伸、一般道も高架化等が進み、リードタイムを保ったまま賃料相場が廉価なエリアへ移転できるようになりました。現在は、物件、エリアの両面から選択肢が増え、様々なパターンでの移転が実施できるマーケットが整ってきたといえます。

コストメリットや合理化を最大限に発揮する移転が、集約・統合であるのは疑問の余地のないところです。施設費用の経費削減のみならず、例えば、①総務機能やセンター長、パート・アルバイトといった複数拠点で重複する経費・人件費の削減。フォークリフトの使用台数といった点も無視できません。②多層階の非効率部分やデッドスペースの減少等、大型化によってスペース効率が向上します。③拠点間の移動や出入庫トラックの運用といった面で、横持ち費用・時間が削減されます。④各拠点で重複した在庫を持つ必要がなく、ストック自体が低減します。このように極めて有効性の高い物流拠点の集約・統合ですが、実施となると一筋縄ではいかないのもまた事実。社内調整や物件探し、移転イニシャルコスト捻出の難しさはもちろん、契約・使用状況もバラバラな旧拠点の処理、協働する物流会社との調整、新たな庫内ワーカーの確保等、クリアすべき課題は多岐にわたります。

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賃料単価引き下げ

様々なパターンでのコスト削減移転 ケーススタディ:賃料単価引き下げ

月額賃料:1,300万円→700万円
年間賃料:1億5,600万円→8,400万円
賃料単価減率:46%
面積減率:0%

某食品関連企業のケース。取扱量に大きな変化はないものの、デフレ市況下で業績は減益傾向。固定費削減を目的に、比較的賃料の安い千葉湾岸エリアへ移転。
千葉湾岸部の都心への交通アクセスが向上(国道357号線高架化等)してきたため、取引先への影響も軽微であった。

面積縮小

様々なパターンでのコスト削減移転 ケーススタディ:面積縮小

月額賃料:2,600万円→1,200万円
年間賃料:3億1,200万円→1億4,400万円
賃料単価減率:7.6%
面積減率:50%

某日用雑貨卸のケース。大口取引先が競合に奪われ、新規営業活動による新規顧客の獲得も進まないため思い切って面積を半減。利便性を考慮し現状の近隣で縮小移転を実施する。4階建から2階建となったため、作業効率の向上も図られる。

ワンフロアで効率化

様々なパターンでのコスト削減移転 ケーススタディ:ワンフロアで効率化

月額賃料:1,625万円→1,200万円
年間賃料:1億9,500万円→1億4,400万円
賃料単価減率:7.6%
面積減率:20%

某3PL業者のケース。立地を評価する荷主からのコスト削減要請。賃料単価の引き下げにも限界にきており、業務効率化を目的に、箱形4階建倉庫からマルチクライアント型施設のワンフロアへと移転。箱形に比べ面積効率が向上し、一定の賃料引き下げと500坪(20%)の面積削減に成功する。

複数拠点を集約

様々なパターンでのコスト削減移転 ケーススタディ:複数拠点を集約

月額賃料:2,820万円→2,150万円
年間賃料:3億3,840万円→2億5,800万円
面積減率:16.6%

某小売業のケース。横浜、川崎の2拠点に分散していたが、開設時から出店エリアが千葉、茨城エリアに広がり神奈川湾岸に拠点を置く意味が薄れてきた。また、パートを含む人件費も派遣社員に頼る割合が増えており、雇用環境の良い駅近物件、多層階ではなくワンフロア運営が可能なランプウエイ型施設に移転する。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2010年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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