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コストシミュレーションの盲点・留意点

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2010年12月4日

物流施設の集約・移転に伴うコストシミュレーションにおいては、見かけの賃料単価だけではなく、対象となる面積や税負担、物件にかかる付帯経費に対しても厳格なチェックを行うことが大切です。"格安"な賃料単価に惹かれ物件を選定し、実際に移転を行った後に「あちらの物件を選んでおけば...」と後悔しても後の祭り。以下、3つの例を挙げて説明しましょう。

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各物件で異なる契約面積

コストシミュレーションの盲点・留意点:コストシミュレーションの盲点・留意点

契約面積には建物のどの部分が含まれているのか? 賃貸物流施設を比較する時には、まずこのポイントに注意する必要があります。同じ2,000坪の貸床面積でも倉庫有効率はここまで差があり、賃料コストに換算するとこんなにも違います。

同じ2,000坪の契約をしても、庇・塔屋を契約に含むか含まないかで100坪の違いが出てきます。倉庫有効率の差5%、月額賃料単価を4,000円/坪として換算すると200円/坪の差額が生じます。月額では40万円、年額では480万円の差です。移転候補物件のコストを比較する時、その差を考慮せずに適切な選択はできないといえます。

思いのほか高額な事業所税

年間600円/㎡の事業所税の負担があった場合
延床面積 2,000坪(約6,600㎡)
事業所税 600円×6,600㎡=396万円
月額換算 33万円(坪当たり165円)

オフィスビルを賃借する際にも発生する事業所税ですが、大抵のオフィスは都心部に集積し事業所税の適用市区町村にあるため、移転の際の候補物件比較で気にされるテナントはあまりいないでしょう。ただし物流施設の場合、同税が適用されない立地の物件もあります。また面積に応じて生じる税金のため、広い面積を使用する物流施設では高い負担といえます。賃料勘算すると坪当たり165円程で、思いのほか高額であることに気が付きます。

東京湾岸部を例に挙げると、千葉県浦安市は事業所税の適用外地域です。逆に、近接する東京都江東区や江戸川区、千葉県市川市・船橋市で物流施設を賃借した場合は事業所税がかかります。仮に2,000坪の物件で坪当たり165円の差額を考えると、月額33万円、年額では約400万円のコスト差が発生。浦安市の物件と近隣エリアの物件とで150円/坪の賃料単価の差があっても(浦安の物件が高くても)、その差は考慮する必要がないといえます。

事業所税が適用される市区町村(平成22年12月1日現在)
  • 東京都(区部)
  • 地方自治法第252条の19第1項の市(19市)
    札幌市、仙台市、新潟市、千葉市、さいたま市、横浜市、川崎市、相模原市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、
    堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市
  • 首都圏整備法及び近畿圏整備法に規定する既成市街地を有する市(8市)
    川口市、武蔵野市、三鷹市 守口市、東大阪市、尼崎市、西宮市、芦屋市
  • 人口30万以上の政令で指定する市(48市)
    旭川市、青森市、秋田市、郡山市、いわき市、宇都宮市、前橋市、川越市、所沢市、越谷市、市川市、船橋市、松戸市、柏市、
    八王子市、町田市、横須賀市、藤沢市、富山市、金沢市、長野市、岐阜市、豊橋市、岡崎市、春日井市、一宮市、豊田市、
    四日市市、大津市、豊中市、吹田市、高槻市、枚方市、姫路市、奈良市、和歌山市、倉敷市、福山市、高松市、松山市、高知市、
    久留米市、長崎市、熊本市、大分市、宮崎市、鹿児島市、那覇市
※倉庫業の登録を行っており、当該賃借部分に営業倉庫の登録を行うことで可能であれば、事業所税が3/4免除される特例もあります。

物流施設特有の設備点検費用

コストシミュレーションの盲点・留意点:物流施設特有の設備点検費用

物流施設の賃借物件は一棟貸しの物件も多く、オフィスビル賃貸借では共益費に含まれるエレベータ(EV)や電気、消防設備の点検費用等がテナント負担になるケースがみられます。加えてこういうポイントはテナント募集の際にしっかりと提示されないことも多く、候補物件選定においては借り手サイドからの積極的なリサーチが必要となります。

ここで昇降機の点検費用を取り上げてみます。都心部において容積率を有効に利用した3~4階建の物流施設をよくみかけますが、こうした施設の特徴は、上層階へ荷物を効率良く入出庫するためEVが多数設置されていることです。もちろんEV数が多ければ多いほど効率的に運用できますが、一方でEVの点検費用はその数に応じた負担となります。また、EV自体以外にも、シャフトのスペースやEV前に運ぶための仮置き場、通路など、数によっては保管効率を下げる要因の一つにもなっています。

例えば、4階建2,000坪の賃貸物件に乗用EV1基+貨物用EV3基+垂直搬送機2機を設備として備え、その点検費用をテナントが負担している場合、概算で年間760万円の費用が賃料とは別にかかります。この費用を月額坪単価に割り戻すと約317円。EV点検費用の負担だけで300円/坪以上賃料単価が変わり、これに電気設備、消防設備等その他の設備負担も加味すると相当の金額になることがお分かりいただけると思います。移転候補物件のコストを比較検証する時にチェックする、大事な項目といえるでしょう

これだけ違うコストシミュレーション

コストシミュレーションの盲点・留意点:コストシミュレーション
  前提 シュミレーション内容
立地 江東区 千葉湾岸
賃料 6,500円 4,300円/坪
面積 2,000坪
(有効面積1,900坪)
1,900坪
※有効面積は1,900坪で変化なし
  • 現在、2,000坪分の賃料を支払っているが有効面積は1,900坪。
    そのため移転先は1,900坪の拠点を確保。利用面積を変更せず、契約面積を100坪減少。
  • 現拠点の江東区は事業所税の適用地域。移転先の千葉湾岸は適用外のため、事業所税600円/㎡削減。
  • 現拠点はEVや垂直搬送機、消防、電気設備等の費用がテナント負担。
    移転先は既存居抜物件で、法定点検費オーナー負担の交渉を行い設備点検費用を削減。

上記の例で原状回復、移転コスト、諸経費を考慮した詳細なシミュレーションを行うと、2年目前半で現拠点の累積コストを逆転。その後も、5年で3億円、10年で7億円と非常に大きなメリットが出ます。これを賃料差だけの概算ではじくと、10年で5億円と詳細版より2億円も低く見積もられてしまいます。どちらのシミュレーションでも移転メリットは出ますが、そのメリットの大きさをきちんと把握するには、やはり賃料以外の費用項目をきちんと把握していく必要があります。

シービーアールイー営業本部は、こうしたお客様の声にお応えするサービスを提供しています。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2010年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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