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株式会社ビームスホールディングス

ケーススタディ

2015年7月9日

全国約150店舗のバックヤードとして、約80万点を取り扱うBEAMSの物流拠点。
作業効率と顧客視点を両立させた自社物流構築の優位性とは。

時代を先取りして新たな価値を提供するセレクトショップとして、物流面ではエリアごとに異なる顧客ニーズに合わせ、多品種小ロットに対応した独自のシステムを構築してきたBEAMS。物流の使命であるコスト削減の要請に応じるのはもちろんのこと、ファッション・カルチャーのブランドとしての競争力を高めるため、あえて自社物流にこだわり勝負している。合理化や効率化にとどまらない、物流が生み出す価値とは何なのか。同社のロジスティクス部門を担当する竹川誠氏に話を聞いた。

ロジスティクス本部兼物流促進部 課長
竹川 誠

多品種小ロットを全国配送する、独自の物流システムを構築

倉庫内

時代の先端を切り取り、常に日本のファッション界をリードしてきたセレクトショップ「BEAMS」。1976年、東京・原宿に開いたわずか6.5坪の小さな店からスタートした同ショップは、今では全国に約150店舗、香港や台湾などに9店舗を構える一大カルチャー企業に成長した。

BEAMSが取り扱うのは、世界中から選りすぐられたインポート商品、および自社企画のオリジナル商品である。数あるセレクトショップの中でも、アイテムの種類の豊富さでは群を抜く。メンズからウィメンズ、ベビー服、さらには雑貨やインテリア、音楽まで生活を彩るあらゆる分野をカバーする。しかも、全国に展開する店舗は、それぞれがその街に合った商品ラインアップを用意しており、どれ一つとして同じ品揃えの店はない。エリアごとに異なる顧客ニーズに対し、BEAMSならではの価値をきめ細かく提案できるのが同社の強みでもあるのだ。

こうした“BEAMSらしさ”を裏で支えるのが、同社独自の物流体制である。通常、多品種小ロットの物流は、煩雑かつ困難を極めるものだが、同社は形や大きさの異なる商品を管理し、かつ必要なときに必要な商品を必要な店舗へ配送する仕組みを構築してきた。その中核を担うのが、2004年から東京・江東区新砂で稼働する「BEAMS WARE STATION」だ。延床面積約5,000坪、4階建の物流センターで、当時2ヶ所に分散していた拠点を集約する形で誕生した。

取り扱いアイテム数は約80万点。旬を逃さず市場に届ける仕組み

外観

このセンターの特長は、在庫型物流センター(DC:ディストリビューションセンター)と、通過型物流センター(TC:トランスファーセンター)の両方の機能を併せ持つことだ。つまり、店舗のバックヤードとして在庫を一時保管しながら、その一方で、入荷した商品の即時出荷にも対応する。「我々は“流行”を生業にしていますから、今売れるもの、旬なものを、いち早く店舗に届ける必要があります。入荷した商品を物流拠点で滞留させず、店舗ごとに仕分けしてすぐに配送する一方で、売れ行きに応じて店舗へ商品を供給するためのストック機能も求められます。この両方の機能をバランスよく持つ物流拠点を目指したのが、このセンターです」(ビームスホールディングス ロジスティクス本部兼物流促進部 課長 竹川誠氏)。

実際にこのセンターでは、毎日およそ2万点の商品が入荷され、そのうち約4割は、全国各地の店舗に即日出荷される。残りの約6割は一時保管され、翌日以降、店舗からのリクエストに応じて発送される。センターが常時抱える商品は実に約80万点にも上るが、それら膨大な数の商品を滞留させることなく、旬を逃さず市場に届けているのだ。これこそが、時代の流れを先取りしてきたBEAMSの物流の真髄といえる。

トラック
荷物

こうした高精度の物流が可能であるのは、綿密な入出庫管理と、徹底した庫内作業の効率化が行われているからだ。同社では、年間52週の週ごとに仕入・販売計画を立てているが、計画に沿った入出庫管理を実現するために在庫管理システム(WMS)を活用。加えて、各店舗への商品を自動的に仕分ける「リニソート」や、ハンガーにかかったままの商品を高速で仕分ける「ファッションソート」などの装置を導入し、機械化による作業効率化を図っている。センター開設時に導入され、当時は最新だったこれらの機器は、センターが稼働して10年が経つ現在も業界の先端を行く。「当時に比べて商品の取り扱い点数は倍以上に増えましたが、庫内で働く従業員の数はほとんど変わっていません」(竹川氏)という言葉からも、その実力の一端が垣間見える。

作業効率のさらなる向上を目指し、2012年からは、同年に誕生した新レーベル「B:MING LIFE STORE(ビーミングライフストア)」においてRFIDの先行導入を行った。RFIDとは、商品に付けられたICタグを無線で読み取り、管理を行う仕組みのこと。商品を1点ずつバーコードでスキャンすることなく一括で読み取ることができるため、入出庫管理や棚卸し作業など物流オペレーションの大幅な効率化が可能になる。先行導入では、1店舗当たり延べ30時間要していた棚卸し作業を3時間に短縮した。つまり、90%の時間短縮を達成したのである。今年2月からはすべての物流システムをRFIDタグ対応に変更し、創業40周年を迎える2016年2月には、BEAMS全店でのRFID化を計画している。次世代の物流システムの構築に向け、着実に歩みを進めている。

自社物流の実践により、店舗の支援部隊の役割を果たす

ストック
ハンガー

同社の物流のもう一つの特長は、物流を外部に委託せず、すべてを自社で行っていることだ。センターで働く従業員は約180名、うち約80名がシフト管理により常時勤務に就くが、これらすべて自社雇用のスタッフである(社員96人、パート・アルバイト85人)。都内近郊地区への配送も自社で行うほか、社内のロジスティクス部門が全社の在庫を管理する。

自社物流にこだわるのは、物流を単なる商品の配送や保管ではなく、店舗とダイレクトにつながった支援部隊と捉えるからである。そして、売り場をすぐ裏で支える役割は、洋服が好きで、BEAMSの服に愛着を持つ自社スタッフにしか務まらないと考えている。「自社スタッフであれば、店舗へ商品を配送する際にも、本部がなぜその商品を供給しようとしているのかを理解した上で配送作業を行うことができます。また、お客さまの存在を身近に感じていれば、お客さまが求めるスピード感で商品を届けようと考えるはず。これが他社との差別化につながる要の部分であり、外部委託では難しいのではないかと思います」(竹川氏)

仕分け

自社ブランドを愛するスタッフが、その能力とやる気を最大限に発揮できる環境づくりにも工夫が必要だという。「以前、作業の効率化を狙って、作業別に担当を分けたことがありますが、スタッフのやる気を削いでしまったようで定着率が下がりました。今はブランドごとの担当制に変え、『自分の担当はこのブランド』という意識で仕事に取り組んでもらうことで、自社物流の強みをより生かせるようになりました」(竹川氏)

物流拠点がフロント機能を担い、BtoC強化に貢献する

外観

最近は、成長著しいECチャネルへの展開にも力を入れている。同社は現在、ZOZOTOWNやアマゾンなど10サイトを通じて商品を販売。実際にはこれらのECサイトに商品在庫を預け、運営管理を委託している。

ECへの対応は、多くの流通企業にとって課題の一つといえる。ECを始めようとする多くの企業が、即日配送への対応を含めた物流の構築に頭を悩ませているのではないだろうか。その一方で、「ECの進展により物流の価値が見直されており、この流れは逆にチャンス」と竹川氏は話す。「これまでの物流は、取引先と店舗を結ぶ拠点でしたが、ECにおける物流は、お客さまと直接つながる場所になります。これまで店舗がお客さまに対して担ってきたフロントの役割を、物流が担うことで、BtoC機能を強化することができるのです」

物流拠点におけるBtoCの強化に向けて、同社は来年にも自社ECサイトの自社運営を検討中だ。BEAMS WARE STATIONの在庫、倉庫在庫をサイト連動するとともに、顧客がウェブ上で在庫を確認できる体制を整えたいという。その準備として、昨年はセンター内に撮影スタジオを設けた。商品撮影を内製化することで、画像クオリティを向上させるほか、二次使用を可能にしてブランディングの統一や強化を図る。

トラック
荷物

また、現在は外部に運営委託している10サイトについても、将来的には窓口は外部サイトに置いたまま、自社の物流拠点での在庫管理および配送が行える体制を整えたい考えだ。「各ECサイトの在庫を集約することで、販売機会ロスの抑制につながるのはもちろん、『BEAMSから商品が届く』ことでブランド構築に直結する物流体制を構築したい」と竹川氏は抱負を語る。

10年前にBEAMS WARE STATIONを開設したとき、「この先20年はこのセンターを拠点にするつもりで移転した」(竹川氏)というが、会社の規模拡大のスピードが予測を上回り、すでに浜松と船橋にも新たな物流拠点を開設済みである。今後、ECチャネルでの物量が増すにつれ、顧客と直接つながる物流拠点の重要性も高まっていくだろう。前述のRFID運用の確立も含め、より進化した物流システムを構築しようとするBEAMSの新たな挑戦に期待したい。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2015年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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