2015年の実質GDPは前年比約1%成長の見込み
日本経済研究センターによるESPフォーキャスト調査によれば、2014年の日本経済については当初、実質GDPの成長率1.68%がコンセンサス予想であった(2014年1月時点)。これに対して2015年1月時点の直近の予想成長率は0.14%で、当初の予想成長率を大きく下回る見通しである。4月の消費税増税後の個人消費が、実質賃金の低迷とも相まって想定以上に長引いたことが主因とみられる。実質GDPは第2四半期(4-6月期)に続いて第3四半期(7-9月期)もマイナス成長となった。結果として2014年通年では、マイナス成長となる個人消費を、企業設備投資ならびに公共投資が相殺し、わずかながらもプラス成長となる見込みである。
一方、2015年は、消費税再増税の延期や実質賃金の上昇期待から個人消費がプラスに転じることが予想されるとともに、企業の設備投資、および純輸出の増加が貢献して前年比約1%の成長が見込まれる。
企業の設備投資は2014年第3四半期に実質ベースで前期比0.4%の微減となったものの、基調としては緩やかな増加傾向にあるとみられる。設備投資の先行指標である機械受注は前期比ベースで第1四半期(1-3月期)まで4期連続で上昇し、第2四半期は下落したものの第3四半期は再び+5.6%と上昇した。今後は、円安に加えて2014年半ばからの原油価格の下落が企業業績の向上を後押ししよう。
2014年はマイクロソフトによるウィンドウズXPのサポート終了(4月)前の駆け込み等の影響で第1四半期を中心に過去平均を上回る伸び率となったものの、2015年は概ね過去平均並みの伸び率に戻る見込みである。円安を背景に、製造業でも国内生産比率を引き上げるなど「国内回帰」の事例がみられ始めており、今後このような動きが本格化するか注目される。
個人消費は消費税増税前の駆け込み需要の反動のほか、物価上昇を加味した実質賃料の低迷を背景に、2014年中は弱含みで推移した。ただし、7月以降は小売業販売額も前年を上回る水準で推移するなど、回復の兆しは見られている。円安ならびに原油価格の下落は、業績の後押しを通じて企業の賃上げ余力を高めると考えられるため、今後は消費の回復も明らかになってこよう。雇用環境についても、2四半期連続で実質GDPのマイナス成長が続いた2014年も就業者数は増加となる見込みである。雇用需給のタイト化という観点からも、賃金の上昇、消費の押し上げが期待される。