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金融支援の政府系金融機関として地銀と連携した地域活性化を目指す

日本政策投資銀行
都市開発部 調査役 吉田 幹洋
プロジェクトファイナンス部 副調査役 橘高 康朗

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日本政策投資銀行設立の意義

当行は、一般の金融機関が行う金融などを補完・奨励する政府系金融機関として、1999年10月に設立されました。地域経済の自立的発展、ひいては 経済社会の活力の向上および持続的発展を通じて、豊かな国民生活を実現することに資するため、「地域再生」、「技術・新産業創造」、「環境」をキーワード に、長期資金の供給などを行うことを主な役割としています。現在、北は釧路から南は鹿児島まで、全国18ヵ所に支店や事務所を設け、日々、地域の活性化に 尽力しているところです。

活動の規模としては、本年度予算として1兆1680億円が計上されており、今回のお話のテーマである地域再生については、約半分の5490億円が組まれています。

地域再生の具体的な方策としては、「地場産業の事業再生支援」および「ファンドの設立」、「自治体を含めた地元の資金調達用債権等のバックアッ プ」、「地銀との出資による連携」、「後継者問題を抱える企業へのM&Aを含めた支援」などがあり、その一環である地域への支援として、「都市再 生ファンド」が位置づけられています。

身の丈の開発が成功の鍵

地域再生という観点から見ると、現在の地方は、依然として厳しい状況が続いているといえるでしょう。ただ、不良債権処理が一段落したことで、製造業については、地銀も地力のある企業に対して資金提供を行えるようになり、一時の総崩れ的な状況からは脱しています。

しかし、大きな活力となるはずの建設業や不動産業を見ると、建設業では、民生にシフトできた技術力のある企業は何とか持ち直していますが、国の財 政が厳しい中、公共事業への依存体質から抜けられない会社の業績は軒並み悪化しており、引き続きリストラや統廃合、M&Aも数多く見られるといっ た状況です。また不動産業も、大阪、名古屋、福岡など一部の中核都市は活況を呈していますが、他の地域は県庁所在地クラスの都市であっても、今後も厳しい と言わざるを得ません。

こうした状況下、成功事例に共通しているのは、過大な投資をせず、事業内容に見合った適正な、いわゆる“身の丈にあった”展開をしているところで す。例えば再開発でいえば、以前は大規模に行うことが地域の活性化になるという発想で進められ、結果的に失敗して自治体の財政を圧迫するという悪循環があ りました。その反省を活かし、地元にあるネットワークや人材を活用して知恵を絞り、資金をあまりかけず無理せずできる範囲の取り組みをしているところが、 結局はうまくいっているようです。いわばアイディア勝負で、小振りの開発でも特色を上手に打ち出せれば集客は可能ということ。今は、こうした工夫が不可欠 な時代になったといえるのでしょう。

つまり、はじめに資金ありきではなく、事業ありきなのです。最近では、大規模開発の手段としてファンドの成功例を耳にします。確かに、ファンドに より地方にも資金が流れる道筋はできたといえますが、それは決して“打ち出の小槌”ではありません。逆に、従来以上に事業の収益性が問われるわけですか ら、むやみな大型化は利回りを下げ、結果的に失敗する可能性が拡大します。

私どもとしては、事業がどう成り立つのか、そのリスクの洗い出しから金融的にいかにスキームを組むかを重要視しており、資金投融資だけでなく、事 業健全化を目指したコンサルタント的なアドバイスも行っています。同時に、投資をする際は、もちろんリターンを前提にしていますから、本来の事業に必要な 規模を超えると思われる大型案件については、適正規模にシフトするように仕向けるケースが多くなっています。

投資の狭間を補うメザニンファンド

次に、都市再生の必要性が叫ばれる中、03年度に設立された「都市再生ファンド」について具体的に解説しましょう。当時は日本全体が沈滞化してお り、都市再生事業へ資金を注入し、動かせるプロジェクトをスタートさせようという視点で設立されました。その中でも、特に特徴的なストラクチャードファイ ナンスといえるのが、「都市再生プライベートメザニンファンド」です。

メザニンファンドとは、端的に言えば、事業資金の中でエクイティの出資金と一般金融機関のシニアローンとの合算で、不足する部分を補う投資資金のことです。詳細は、以下の事例に基づいてご説明しましょう。

東京都中野区「中野サンプラザ」の民営化で、国が所有する同施設を約60億円で民間に売却する際、地元である中野区がその獲得に乗り出しました。 しかし、議会で承認されている予算は、約60億円のうちわずか2億円程度。残りの全額を、従来型の銀行借り入れでカバーするなど到底不可能なことでした。 そこで、不足分となる資金(メザニン資金)について利用されたのがメザニンファンドです。

メザニンファンドの特性は、ミドルリスクミドルリターンであること。シニアローンを提供し第一順位の抵当権を持つ銀行は、仮に投資先が予想収益を 下回っても、破綻さえしなければ予定したリターンを得られます。ただし、逆に収益が高まったとしても、貸し付けですからもちろん利回りは一定です。一方、 エクイティ出資は、収益が低くければ無配当も有り得ますが、上がればその分、大きなリターンとなって返ってきます。メザニンファンドとはその中間。収益が 下がればリターンも減り、上がればそれに応じたリターンが得られるといった仕組みなのです。

 問題となるのは、どのようなリスクに対して、どの程度のリターンが期待できれば適正なのかということ。つまり、リスクを見切りながら、それに準じ たリターンを計りつつ融資や投資をしていくわけです。場合によっては、リスクを最小限にするため、ある程度エクイティに準ずる采配を取ることから、「疑似 エクイティ」と呼ばれることもあります。

必要な資金をすべてエクイティで調達しようとすると、リターンは少なくなり投資家を集めにくい。メザニンファンドがエクイティのリターンを高めるためのレバレッジとして機能することで、資金が回りやすくすることも狙いの一つといえます。

もちろんノンリコースローンなので、中野サンプラザのケースでは、中野区は区民に対して、2億以上は1銭もキャッシュアウトしないということができます。その意味では、少ない自己資金で事業をしたい人には有効な手法といえるでしょう。

こうした資金の投入は、先に述べた“身の丈の開発”と相反するように見えるかもしれません。しかし、メザニンファンドとは、あくまでも事業内容と 収益性の分析から適正規模を判断しつつ投資されるため、かえって事業規模のフレキシビリティが増すといえるのです。結果として、シニアローンにとってもエ クイティにとっても、ベストといえる事業規模にすることが大きな目的。先に述べたこととは逆になりますが、はじめに事業ありきで無理に小振りにすること で、収益機会を逃すことを防止しているわけです。

特に地方では、こうした投資資金があることで株主やシニアローンが集まりやすくなり、動き出すと思われるプロジェクトは多いと思います。今後は、利用される機会も増えてくるのではないでしょうか。

地銀の活力が地方活性化の呼び水

今日では、利回りの低いプロジェクトには投資家からの資金が集まりにくくなっています。地方でのプロジェクトの難しさはここにあるのですが、本来、 こうしたファイナンスは地銀の役目だといわれてきました。ただ、現在はリスクとリターンの見切りが難しく、容易には手が出せないのが実状なのです。

そこで私どもが、地銀を含めた金融機関の投資機会を設けるために、こうしたファンドを設立し、彼らから資金を調達し運用を代行しながら、審査やリ スク・リターンのバランスといったノウハウを提供しているのです。ファンドや金融機関が協調して、特定の事業に出資するシンジケートローン、知的財産権等 を評価した担保融資、PFI、PPP等々、新金融手法を駆使し、そのプロジェクトの中に地銀、第二地銀、信金といった地元金融機関を巻き込むことで、地方 に対して資金が行き渡る仕組みを作る。さらに、彼らがその中からノウハウを吸収することで元気を取り戻し、地域再生のメインプレイヤーになっていかなけれ ばならないでしょう。

そのためのステップとして、当行は93行の地銀と業務協力協定を締結し、個別の守秘義務契約に基づきながら、新金融手法を具体的な案件の中で使っ ていこうという約束になっています。そして現在、この協定に関連する案件の総数は約150件に達しています。その成果としては、例えば、市川市立中学校に ケアハウスなど介護施設を併設するPFIに、千葉銀行が自らアレンジャーとなりリレーションシップバンキングを行うなど、先進的な事例も出始めています。

最後に、きちんとした事業性と地元金融機関の資金という両輪が回り始めれば、地方活性化の動きは見えてきます。そのサポーターとして、新金融手法を駆使したスキームをさらに進化させていくことが、当行の使命だと考えています。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2005年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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