広がりを見せるSDGsへの取り組み
SDGs、ESGというキーワードをメディアで目にしない日は無く、昨今では事業会社のビジネス戦略上でも配慮が欠かせない、世界的な社会的課題としての共通認識を得ています。
SDGsの設立経緯については既に多くの記述があるので、ここでは割愛しますが、以前のCSRの様な抽象度の高い取り組みと異なり、国連に採択され、具体的な施策、ゴール設定等が設けられており、SDGsへの取り組みに関する一般事業会社のメリットとして、1業績向上の景気、2ステークホルダーとの関係改善、3企業のブランディング向上への寄与、4資金調達面での優遇、等が挙げられております。日本では、政府や中央省庁、関係機関等多様なレイヤーでのSDGsの推進が進められており、外務省が2017年から推進するジャパンSDGsアワードも毎年200~300社程度の応募がある等、一般事業会社等の取り組み等も近年増加しております。
SDGsとESGの関係
また似た言葉としてESGがありますが、これは2015年のSDGs採択から9年さかのぼった2006年に、投資家が投資行為の中に環境/社会/企業統治に対する課題/責任を反映させるべく提唱されたイニシアティブであり、SDGsが一般事業会社が果たすべき課題/責任だとすると、ESGは投資家の投資活動においてこれを金融面からバックアップする手段であると捉える事ができます。
SDGs達成への貢献=「企業好感度」、「社会的評価」に繋がる、との見方が優勢
2020年6月に帝国データバンク社が1万1千社を対象に実施したSDGsに関する意識調査を実施しました。
現状のSDGsへの取り組みについては、全体の約1/4が「既に取り組んでいる」、「取り組みたいと思っている」と回答し、これら積極的な企業の属性は、大企業の中で35%、業種としては金融: 41.5%、製造業: 28.5%といった辺りが高い割合を占めています。
また、SDGs達成への貢献が、どの様な企業価値向上につながると思うか?という設問に対しては、「企業好感度」に関して企業の 53.3%が『そう思う』(「非常にそう思 う」と「ある程度そう思う」の合計) と考えています。さらに、「社会的評価」 が 50.4%で 5 割を上回るなど、SDGs に 取り組むことで社外からの見られ方 に好影響があるとする意見が強い結 果となりました。
出典:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200708.pdf
優秀な人材は、今後入社先選定の条件としてSDGsを重視?
東京大学の内部組織である、TSCP学生委員会 (UTokyo Sustainability) は「東大生のSDGs意識調査2020」を実施し、2021年2月、報告書を発行しました。
調査によれば、東大生のSDGs認知度は87%で、2018年調査の63%と比べて、24ポイント上昇したことがわかりました。
また「(就職されていない方へ)将来勤める企業を選ぶうえで、その企業がSDGsを経営戦略などに組み込んでいることを一つの判断基準として考慮しますか?」という問いに対しては、68%の回答者が考慮する、あるいは、少し考慮する、を選びました。学生のSDGsへの関心の高さは、優秀な学生を採用したい企業にとってもSDGsに取り組むインセンティブになりそうです。
出典:https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/z0508_00020.html