CASBEE:日本における環境認証のナショナルブランド
日本ではSDGs以前から既にこうした地球環境問題に関する社会的要請を背景に、不動産においても建物の環境性能を測定し、評価するシステムが求められた事から、2001年に国土交通省支援のもと産官学共同プロジェクトとして評価研究委員会が設立され、CASBEE(建築環境総合性能評価システム:Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency )が開発されました。
CASBEEの概要
CASBEEの評価項目は、図に示すようなBEEの分子側Q(建築物の環境品質・性能)と分母側L(建築物の外部環境負荷)に分類されます。そして、QはQ1:室内環境、Q2:サービス性能、Q3:室外環境(敷地内)の3項目に分けて評価し、Lは、L1:エネルギー、L2:資源・マテリアル、L3:敷地外環境の3項目で評価します。
また、CASBEEの特徴として、建築物の環境性能(Q)のみの評価にとどまらず、環境に与える負荷(L)とのバランス(=環境効率、BEE)を評価する事で、より実効性の高い多面的な評価システムとして機能する点が挙げられます。
CASBEE SDGs対応版、環境性能評価から社会的課題対応の説明ツールとして進化
CASBEEは本年7月15日の改訂でSDGs対応版と称し、CASBEEの評価結果とともに、建築/利用のフェーズにおけるSDGsの各ゴールへの対応状況に関する評価が追加※されています。
SDGs対応版での運用が普及すれば、CASBEEを活用する事で、オフィスビルの環境性能のみならず、その建物が建築/利用された際のSDGsの視点からの取り組みについても評価/説明が容易になり、社会的課題に対応する企業の姿勢が説明できる、更に利便性の高い評価システムとして活用されていく可能性があります。
※SDGsチェックリスト評価部分はオプション扱となり、環境認証であるCASBEE評価の範囲には含まれない旨の記述があります。
評価結果シート:(CASBEE-建築(新築)SDGs試行版
出典:岐阜県立森林文化アカデミー https://www.forest.ac.jp/academy-archives/morinos-archi51/
LEED:米国発の環境認証のグローバルレーティングシステム
LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)は非営利団体 U.S. Green Building Council (USGBC)が開発と普及活動を行い、Green Business Certification Inc. (GBCI)が第三者認証と認定資格の運用業務を行っている建物の環境性能評価システムです。1998年に米国で始動したLEED認証は、2014年初めには世界150ヶ国以上でプロジェクト登録が行われるまでに普及(登録申請済みのプロジェクトの45%は米国外のプロジェクト)しており、地域別にみるとアジア地域において急速に普及が進んでいます。
認証システムは様々なプロジェクトタイプに対応できるよう、大きく分けて6つ用意されています。
認証システムは、いくつかのクレジットカテゴリー(必須条件と選択項目の集まり)で構成されています。
それぞれのクレジットカテゴリーには、グリーンビルディングとして絶対に達成しなければいけない必須条件とLEED認証のレベルを決める上で必要なポイントを取得するためのいくつかの選択項目があります。
LEED認証には4つのレベルがあり、プロジェクトが獲得するポイント数で、どのレベルになるかが決まります(4つのLEED認証レベルとそれぞれに必要なポイント数は以下の通り)。