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賃貸オフィス・事務所の記事

オフィス計画(後編)世間一般のオフィスは何㎡ <オフィス計画編>

オフィス計画において「世間値」をどのように位置づけるべきか

施設計画を行う際の共通言語として、「世間値」の重要性を説いたのが、前編である。しかし現実には、オフィスの在り方は企業毎に異なり、一概に世間 値を当てはめることは不可能である。使い方を誤ると、施設計画は頓挫を余儀なくされるであろう。今号の後編では、世間値をどのように位置付け、またどのよ うに使用すべきであるか、引き続きパワープレイス株式会社の小谷 江氏に寄稿していただいた。

「オフィス計画 オフィス標準の導入と世間値」の際には情報システム部門や人事部門などとの整合が肝要であり、関係者間での共通認識づくりが不可欠 であることを述べた。 そのためには、「世間値」(注)を参照することを提唱したが、必ずしも世間値は万能ではない。組織にも人間のように個性があり、実 際にはいずこの企業のオフィスも世間値とは異なっているように、当社(パワープレイス株式会社)でも、顧客毎に異なるオフィスを設計・コンサルティングし ている。 では、オフィス計画において世間値はどう使われるべきなのだろうか。

(注)世間値:
オフィスを語るうえでの共通言語で、施設計画において施設管理者が比較対照の指標として扱うことのできる数値。オフィスの面積に関するデータは、公的に入 手できるアンケート調査結果をはじめ世の中にいくつかあるが、パワープレイス(株)では、顧客企業に対する設計事例から用途別面積などのデータを採取し、 独自の「施設面積データベース」としてまとめている。

文 パワープレイス株式会社 マーケティング部室長 小谷 江

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オフィスの在り方は千差万別

「施設面積データベース」を説明する際によく見られる反応は、「でも、ウチの会社はちょっと特殊なんです。世間値と言われても・・・」というものである。

確かに業種、職種により企業のオフィスは異なっている。例えば、SIベンダーの多くはセミナー・研修室を世間並み以上に持つ一方、外出の多いSE 職のオフィスはフリーアドレスを採用して省スペース化していることが多い。また、製造業の設計・研究部門では作業スペースが充実しており、通常、広いデス クや付帯設備を持っている。コールセンターでは、レイアウトそのもののほかに、ロッカー・休憩室といった生活支援スペースも、一般的オフィスとは大きく異 なっている。

しかも、同じ業種、同じ職種であっても、企業の文化、過去の経緯、IT化の進展度、使われているツールなど様々な要因により、オフィスは異なって くる。例えば、同じコールセンターのオペレータでも、受発注担当とテクニカルサポート担当では、デスクのサイズや形状、収納庫の位置や数は大きく異なる。 また、営業職のオフィスでも、訪問型の営業をしている部門と来社型の営業をしている部門では、応接、商談スペースの在り方は異なっている。

これらは、「世間値」では表現しきれない。業種別の世間値をもってしても同様である。無理に世間値を適用した場合、企業(業務)の特殊性は損なわ れ、使いにくいオフィスになってしまうことは目に見えている。世間値をそのまま施設計画に適用してはいけないのである。施設計画とは、やみくもに世間値を 楯に取り、面積削減を図ることではない。企業戦略をいかに施設に反映させるかが大切であるため、むしろ「ウチの会社はちょっと特殊」とは、何をもって判断 するのかが問題となる。「ちょっと特殊」の「ちょっと」はどのくらいで、「特殊」なのはどの部分なのだろうか。これを判別する比較対象が必要なのである。

「世間値」の使い方には、次の2通りがある。

  • 現状との格差を表現する比較対象としての使い方
  • 目標の数値としての使い方

前者こそ、施設計画における世間値の本来の使い方であり、特殊性を「どのスペース」における「どのくらい」の格差として、具体的に把握することができる。そして、その格差の妥当性を確認する行為こそが、戦略的施設計画の鍵である。

現状の面積を比較するための注意点

「一人当たり面積」と「一席当たり面積」

一般的には「一人当たり面積」が用いられるが、当社では「施設面積データベース」にも採用しているように、「一席当たり面積」を用いている。「一人 当たり面積」とは、ワーカー一人に対するオフィス面積を指すわけだが、テナントビルの場合は賃料を、自社ビルの場合には建設費や維持費、土地取得費など (もしくは部門への課金)を掛け合わせると、ワーカー一人に対するオフィスコストを反映する数字となる。このため、財務的に判断する場合には、「一人当た り面積」は、ある程度「一人当たりのオフィスコスト」の指標としての意味を持つこととなる。ただし、賃料や建設費、土地取得費は物件や地域により異なり、 また、オフィス移転の際には移転前後の家賃が多くの場合異なることから、コスト指標としての精度は決して高くはない。

一方、オフィスの広さ感覚として見た場合はどうだろうか。通常、オフィスには予備席や空き机、アルバイト用の席など、ワーカーが座っていない席が 少なからず存在する。その量は経験的には2割程度が平均的で、無論ユニバーサルレイアウトでは少なく、伝統的な部課毎の島型レイアウトでは多い傾向があ る。また、フリーアドレスオフィスのように、席数が人数未満のオフィスもある。これらについて広さ感覚を「一人当たり面積」で見ることができるだろうか。

これに対し、「一席当たり面積」は、ワーカーが座っていない空席、予備席をも含む、執務席一席に対するオフィス面積を指す数字(共用端末などの用 途の限定された作業席、ミーティング席は執務席数に含まない)であり、オフィスの広さ感覚(デスクの広さ、周囲の広さ)をより的確に示しているため、当社 「施設面積データベース」では「一席当たり面積」を用いている。

しかし、「何の」「一席当たり面積」かは、資料により異なるのでご注意いただきたい。「有効面積(テナントの賃貸面積に相当し、執務スペースに会 議室、食堂などを含む)」の「一席当たり面積」と「一般執務面積(通常の執務を行うスペース)」の「一席当たり面積」は4割程度も数値が異なるためであ る。

ただし、オフィスの狭隘度を示す指標としては「一席当たり面積」も完全ではない。同じ「一席当たり面積」でも、使っているデスクの大きさや収納庫 の数などで、身の回りの空間のゆとりや、通路の幅が異なるためである。そのため、より正確な指標として、空間の充足率や、着席時の周囲への視距離による評 価など、様々なアプローチが行われているが、今のところ余白面積率が最も現実的な手段である。

施設規模による違い

施設規模による利用効率の差も、見逃すことができない。「施設面積データベース」の平均としては 9.4m2 /席だが、規模による差はある。小規模なオフィ スでは、オフィス面積に対する席数効率が下がるため、一席当たり面積は反比例的に大きくなり、 10 席未満の規模では一席当たり 20m2 を超えてしまうこと もままある。この規模の場合、ビル形状が大きな変動要素となる。逆に、施設規模が大きい場合は建物形状に対するレイアウト効率や、会議室などの共 用施設の利用効率が上がる一方、ワーカー数に対する役員人数が減少するためオフィス面積の席数効率は向上する。ただし、その傾向は緩やかである。 「施設面積データベース」では、 50 席を下限としてデータ収集しているのは、これらの理由からである。

エリア格差

当然のことながら、地代、家賃は「一席当たり面積」に影響する。賃料坪 5 万円の高級テナントビルと賃料坪 5 千円のテナントビルでは、賃貸面積を含むオ フィスに対する投資の考え方は大きく異なる。これらを同列に語ることは難しい。そのため、ある程度のレンジに絞って比較することが望ましい。

自社現状面積の計測

次にするべきは現状の面積を正確に計測することである。 通常、企業で把握しているオフィスの面積は、テナントビルであれば賃貸契約面積、自社ビル であれば建築図面の面積だろう。一般的に、どちらも壁芯による計測(壁の厚み、柱も面積に含む)である。これは、日本建築学会が壁芯による計測方法を採用 していることもあり、日本では標準的計測方法である。しかし、オフィスを設計する際に当社が用いているのはそのどちらでもなく、再度計測し直す手間をかけ ている。

なぜなら、使い勝手を考えながらオフィスをプランニングする必要があるにもかかわらず、壁芯による面積計測では、使うことのできない壁の中や柱の中、窓周りのペリメーターカバーの中などを含んでしまうからである。

また、オフィスの中央と窓周りを比べた場合、同じ面積を想定したとしても、設計の立場としては外気、外光の影響の大きい窓周りの方にゆとりを持た せたいにもかかわらず、実質的に有効な面積は、逆に窓周りの方が柱や外壁、ペリメーターカバーにより小さくなってしまうという不公平さがある。数字は一人 歩きする危険性を持つものであるからこそ、使用できない面積、公平性に欠ける面積を設計で扱うことをできるだけ避けるために、再計測する必要があるのであ る。

さらに、不動産の賃貸契約面積は、オーナーにより基準が異なるケースがある。空調機械室やパイプスペース、給湯室、エレベーターホールなど、コア 周りの空間を含むかどうか解釈が異なっている。我々の経験では、バルコニーまで含まれていたケースさえ見受けられた。当然ながら、多くの場合、世間値は比 較対象としての使用を前提としているため計測範囲が定義されているので、これに合わせた計測が必要となる。

当社の「施設面積データベース」における面積計測は、貸室内は内法(柱、ペリメーターカバーを除く)、貸室内を仕切る壁は壁芯にて行われている(図参照)。

現状の妥当性を評価

現状のオフィスと世間値との格差を把握できたところで、次に行うのは、格差の評価である。すでに述べたように、オフィスの在り方は千差万別であり、 一概に世間値を当てはめることはできない。しかし、改善・改革を図るならば、単なる現状追認では意味がない。どの程度の格差が最適なのかを検討するべき だ。それには、下記の要素を考慮しながら世間値と比較することにより、最適値を見つける作業を行う必要がある。そのためには、場合によっては、現場のワー カーに格差を提示し、理由を求め、共に考えるステップも必要となるだろう。この作業により、自社にとっての最適なオフィスが生まれる土台がつくられる。

  • 企業戦略
  • 現状の業務内容、業務形態、業務ツール
  • 改善ニーズ(例:会議室が足りない、デスクが狭い)
  • 改革内容(例:モバイル化、レイアウト変更費用の削減)

以下、主要な面積分類毎に、現状の妥当性を評価するうえでの観点について説明する。

役員面積

企業の方針、事情を色濃く反映するスペースとして、役員面積が第一に挙げられる。役員人数や役員の待遇は企業毎に異なり、面積格差、世間事情が影 響する余地は少ない。役員面積の世間値はあるものの、改善・改革を望むならばむしろ「どう変えたいのか」による目標設定が先行しなくてはならない。

生活支援面積

生活支援面積には、食堂、更衣室、休憩室などが含まれる。待遇、厚生要素が強いだけに、これらスペースの削減は配慮なしに行えば、待遇悪化のマイ ナスイメージを生むことになる。このご時世、福利厚生の悪化のみを理由に離職するワーカーはごく少ないだろうが、モチベーションを下げる要因にはなり得る ため、削減の際は現状の格差を十分に意識しつつも、機能の見直し、統合などにより徐々に行うことが望ましい。逆に、世間値よりも劣る格差を持つならば、増 加の方向性を経営に問う材料に加えることも考えられる。

ただし、食堂や休憩室では、近隣の飲食店の充実度といったエリアの事情の影響が大きい。また、更衣室については廃止している企業も多いことから、必要性の再考が求められるとともに、世間値は低めに出ている点を考慮して、現状の妥当性を評価しなくてはならない。

一般執務面積

事務室や大部屋と呼ばれ、業務支援面積とともに、ワーカーが最も要望を出しやすい
(出してくる)スペースであり、改革の具体策が大きく反映されるスペースである。

ただし、業務の多様性は無視できないが、近年のIT化の進展により多くの業務がPCを通して行われるようになった結果、業務における使用ツールは PCに集約されつつある。しかも、ディスプレイの液晶化が進みつつあることで、従来のようにCRTの奥行きの深さに起因する設置場所、デスクサイズの制約 が少なくなり、OA化以前のデスクでさえ(配線処理は別として)PCの設置が不可能ではなくなってきている。このことは、多岐にわたる業務の大部分を、少 ない種類のデスクやレイアウトで包含できる可能性が高くなったことを意味する。ユニバーサルレイアウトの普及が進むのには、この事実が大きな背景となって いる。

さらにこれは、一般執務室については、世間値適用の可能性が広がりつつあることを意味する。ぜひ、世間値と比較して格差が妥当なものか、それとも世間値に近づけるべきものか、もしくは逆に今の方向性に一層特化すべきものか、再考していただきたい。

業務支援面積

会議室や倉庫、受付やコンピューター室など、業務に関係の深い支援スペースであり、その範囲は広い。

会議室や倉庫の場合、「狭い、少ない」といった改善要望がワーカーから出やすいのだが、戦略性や、施設全体から見たバランス、部署間の公平性と いった点から見た施設管理者によるコントロールが重要とされる。当然、会議室や倉庫の多寡はコストと利便性のトレードオフの側面を持つため、世間値比較に よる格差の把握と妥当性の評価は有効である。

一方、コピー室やコンピューター室は、収容される機器の大きさや台数、増設予定などの仕様が空間を規定する要素が大きい。個別に仕様が規定されている空間では、世間値よりも仕様が優先される。

世間値の適用場所は?

ここまで述べると、世間値を目標として適用するスペースはほとんどないように思われるかもしれない。しかし、面積格差の棚卸しをしてみると、実際には多くのスペースにおいて明確な根拠はなく、過去の面積の差し引きで施設計画が成されていたことに気づかれるだろう。

施設計画では、前述のスペース毎の検証が必要な一方、オフィス全体での面積評価も必要となる。根拠の薄いスペースがあれば、世間値を適用・考慮することで補完しながら、オフィス全体の構成を整えてゆけばよい。

「オフィス計画の共通言語」というサブタイトルの意図はここにある。

世間値はベストプラクティスではなく、推奨値でもない。自らのオフィスを再認識していただくためのツールなのである。

パワープレイス「施設面積データベース」のサマリレポートは、パワープレイス社のホームページ(http://www.powerplace.co.jp/)から入手していただくことができる。この機会に是非、オフィスを見直してみてはいかがだろうか。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2004年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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