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オフィスワーカーの多様化が進む

2030年時点までに定年は70歳に?

日本全体の生産年齢人口(15-64歳)は2020年から2030年にかけて7%減少すると試算される*1。しかし、都心への人口集中が今後も進むとみられるため、東京の生産年齢人口は概ね横ばいで推移すると予想されている(Figure1)。さらに、東京におけるオフィスワーカーは、わずかながら増える可能性もある。というのも、2030年までの間に定年が延長される可能性があるからだ。2013年に施行された改正高齢者雇用安定法では、希望者全員を段階的に65歳まで雇用することが企業に義務付けられている。しかし人の採用が難しくなる中、70歳定年制度を検討している企業もみられている。

仮に2030年時点で定年が70歳になるとすれば、東京の生産年齢人口は、2020年に比べて8%増加することになる。このことは、オフィスで働くワーカーの世代の多様化が進むことを意味する。なぜなら、2030年までの間には、2011年から2015年の間に生まれたいわゆる「ポストZ世代」が、オフィスワーカーに仲間入りすることになる。定年が70歳まで延長されれば、1946年から1965年の間に生まれた「ベビーブーマー世代」の一部も、2030年時点でまだ現役としてオフィスに残っていることになるからだ(Figure2)。

*1 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」

Figure 1:東京都の生産年齢人口の見通し

Figure 1:東京都の生産年齢人口の見通し

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Figure 2:東京都の生産年齢人口に占める世代別人口割合(2015・2030年)

Figure 2:東京都の生産年齢人口に占める世代別人口割合(2015・2030年)

オフィスワーカーの多様化に伴い、オフィス選びの基準も変化する

「ミレニアル世代」は、その上の世代に比べてワークライフバランスの意識が強いといわれる。2015年にCBREが実施した、日本のミレニアル世代へのアンケート調査でも、回答者の74%が通勤時間の長さを懸念しているという結果がみられた。また、ミレニアルのさらに下の「Z世代」は、経済的・社会的な変革に加え、テクノロジーの急速な変化とともに育った世代である。他の世代に比べてプラグマティックで独立心が強く、形にこだわるより仕事を成し遂げることの方を重視する傾向が強いといわれる。

これらに加え、共稼ぎ世帯の増加ならびに高齢化の進展は、家事・育児・介護などの家庭生活と仕事との両立が、個人にとってますます重要な課題となることを意味している。

また、労働者の減少を抑えるという観点からは、女性の労働力率も、政策や企業のあり方次第でまだ上昇余地はある。日本の女性労働力率は、25ー29歳では81.5%と欧米の78.2%を上回っている。しかし、30-34歳は73%、35-39歳では72%と、米国の73.6%、74.1%、英国の79.0%、77.8%をそれぞれ下回っている状況だ*2。

今後、企業が必要な人材を確保・維持していくためには、多様な人材を受け入れることがこれまで以上に必要となる。それには、多様な働き方を可能とする環境を整えることが求められる。

これまではオフィスを選ぶ際の重視する項目として、会社としてのステータスの向上(立地やグレード)、営業効率の向上に資すること(交通利便性)、そしてコストが重視されてきた(Figure3)。そして、そのようにして決められたオフィスに、働き方を合わせることが従業員に求められた。しかし今後は、いわばオフィスを従業員に合わせていくことが必要となる。実際、この傾向は多くの企業でみられ始めている。CBREの「オフィス利用に関するテナント意識調査」においても、オフィス移転の際に重視する項目として、2015年に比べ「人材採用の優位性」や「快適性」の回答率が上昇している。同調査においてはまた、ワークプレイス変更の理由として、「多様な働き方への対応」、「生産性の向上」、「従業員の満足度向上」など、従業員の働き易さを重視する理由が上位に挙がっている(Figure4)。

*2 2016年時点(独立行政法人労働政策研究・研修機構)

Figure 3:オフィス移転をする際に重視する項目(複数回答)

Figure 3:オフィス移転をする際に重視する項目(複数回答)

Figure 4:ワークプレイスを変更した、もしくは変更する予定がある場合の理由

Figure 4:ワークプレイスを変更した、もしくは変更する予定がある場合の理由

ワーカー重視のオフィス選びがもたらす、オフィス立地の分散

Figure 5にみられるとおり、これまでは人口の集積地(=居住人口)と、従業員の集積地との間には大きなギャップがあった。従業員の数は東京駅を中心に半径10キロ圏内に集中しているのに対し、居住者の数は半径10キロ以上の外側に集中している。

職住近接を志向するミレニアル世代や、職住近接が生活上のニーズである子育て世代や高齢者をワークフォースに積極的に受け入れるために、このエリア間のギャップを埋めることを検討する企業は増加するだろう。都心に構えるのは本社機能あるいは管理機能の一部のみとし、営業拠点等は、より居住エリアに近い立地にサテライトオフィスを構えたり、コワーキングオフィスを利用するなどの方法で、今後オフィスを分散させることが一般的になる可能性がある。

都心では2030年にかけて、新駅の開業、鉄道路線の延伸や新線計画が目白押しである(Figure 6)。このようなインフラの変化や整備もまた、オフィス立地の分散を促進することになると考えられる。

Figure 5:東京駅を中心とした円商圏の人口と従業者数

Figure 5:東京駅を中心とした円商圏の人口と従業者数

オフィス立地の分散を支えるインフラ整備

Figure 5:東京駅を中心とした円商圏の人口と従業者数

Figure 6:都内主要インフラ整備計画

名称 開業時期
相鉄・JR直通線(羽沢横浜国大~武蔵小杉・新宿方面) 2019年11月
日比谷線新駅「虎ノ門ヒルズ」 2020年6月
山手線新駅「高輪ゲートウェイ」 2020年春暫定開業 2024年度本開業
相鉄線・東急直通線(羽沢横浜国大~日吉) 2022年度下期
環状2号線 2022年
リニア新幹線 2027年
羽田アクセス線 2029年
品川地下鉄(白金高輪~品川) 未定
都心直結線(押上~泉岳寺) 未定
京葉線延伸・中央線複々線化 未定
東海道貨物支線貨客併用化 未定
有楽町線支線(豊洲~住吉) 未定
大江戸線延伸(光が丘~東所沢) 未定

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