大阪 都市データ
西日本の最大の都市である大阪は、南北に伸びる地下鉄御堂筋線沿いを中心にオフィス街が形成されている。なかでも梅田、淀屋橋、本町等は、日本を代表するビジネス街と言っても過言ではないだろう。
オフィス市況は10%を超える空室率となった2003年を底に順調に回復を見せており、直近では半分の5%台まで回復した。特にSクラス・Aクラスのハイグレードビルではほとんど空室がない状況となっており、賃料は上昇傾向にある。今後、北ヤード、阪急ビルの建て替え等、中心部において大型開発が目白押しであり、市況の活性化が期待される半面、供給増による需給バランスの悪化が懸念されている。
大阪 都市データ | |||
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順位 | 調査項目 | 調査結果 | 凡例 |
3 | 人口 (最新9月1日調査) |
2,643,366人 [過去5年間の増減率:+0.9%] |
各市発表の平成19年9月1日人口 過去5年間の増減率は、平成14年9月1日の人口との比較 |
2 | 企業数 | 199,848社 [H13→H18 増減率:-13.4%] |
平成18年事業所・企業統計調査より事業総数 増減率は平成13年同統計調査との比較 |
2 | ワーカー数 | 2,139,315人 [H13→H18 増減率:-7.4%] |
平成18年事業所・企業統計調査より従業者総数 増減率は平成13年同統計調査との比較 |
2 | 大企業数 (従業員300人以上) |
626社 [H13→H18 増減率:-0.6%] |
平成18年事業所・企業統計調査より 従業員数300人以上の事業所数 増減率は平成13年同統計調査との比較 |
3 | 有効求人倍率 | 1.75倍 | 平成17年度、各市内公共職業安定所における取扱数より |
6 | 大学数 | 22校 | 平成17年5月、文部科学省学校基本調査より |
9 | 大学生数 | 33,402人 | 平成17年5月、文部科学省学校基本調査より |
2 | 銀行店舗数 | 384行 | 平成17年末、銀行協会発表より |
2 | 総預金高 | 30兆2645億円 | 平成17年末、銀行協会発表より |
1 | ワーカー1人当たり 商品販売額 |
2222万円/1人 | 平成16年商業統計調査より 従業者1人当たりの小売業年間商品販売額 |
12 | ワーカー1人当たり 製造品出荷額 |
2518万円/1人 | 平成16年商業統計調査より 従業者1人当たりの製造品出荷額等 |
2 | オフィス店舗ビル 棟数 |
54,704棟 | 平成18年1月1日、各市固定資産概要調書より 事務所・店舗の建物総棟数 なお事務所・店舗とは、事務所、店舗、銀行、百貨店の計 |
2 | オフィス店舗ビル 総床面積 |
11,974,732坪 | 平成18年1月1日、各市固定資産概要調書より 事務所・店舗の総床面積 なお事務所・店舗とは、事務所、店舗、銀行、百貨店の計 |
- | 東京からのアクセス | JR新幹線のぞみ:新大阪駅まで2時間33分 空路:羽田空港-伊丹空港1時間5分 |
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- | 空港 | 関西国際空港(関空) 大阪国際空港(伊丹) |
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- | 都心から空港までの アクセス・所要時間 |
関空 JR特急はるか:新大阪駅-関西空港駅45分 JR関空快速:大阪駅-関西空港駅1時間3分 直通バス:大阪駅前から約50分 伊丹 阪急・大阪モノレール:梅田駅-蛍池駅-大阪空港駅16分 直通バス:大阪駅前(梅田)周辺から約25~30分 |
※ 順位は、17政令指定都市(札幌・仙台・新潟・さいたま・千葉・川崎・横浜・静岡・浜松・名古屋・京都・大阪・堺・神戸・北九州・福岡)に東京都区部を加えた18都市によるもの。
※ 調査時点で政令指定都市になっていない都市は順位からのぞいている。
※ 銀行店舗数及び総預金高は、さいたま、千葉、川崎、新潟、浜松、堺を除く12都市中の順位。
新大阪
新幹線の発着駅として栄えてきた新大阪は、北側の宮原地区が大型ビル街となっており、開発が比較的新しく築年数の浅い優良大型ビルが多数存在している。反面、南側の西中島地区は古いビルが目立つ。近年、大型ビルの供給によりエリアポテンシャルが上昇。梅田、淀屋橋、本町といった旧来のオフィスゾーンと遜色ない人気を誇っている。
梅田・堂島
西日本最大のターミナルである梅田駅周辺は、人材派遣、教室、金融機関店舗など、集客を目的としたテナント需要が高く、賃料も人気も大阪で最も高いエリアとなっている。今後、北ヤード、JR新ビル、阪急新ビル等、多数の供給が予定されており、さらなる発展が期待されるが、半面、供給過多による需給バランスの悪化が懸念され始めている。
肥後橋・西本町(ヒゴバシ・ニシホンマチ)
肥後橋・西本町の四つ橋筋沿いは、堺筋同様、御堂筋のサブマーケット的な機能であるが、開発は比較的新しい。そのため、堺筋と比較し築年数の浅いビルが目立ち、安定的な需要を保っている。しかし、今後、梅田や御堂筋で新規供給が進むと、需要が流出する可能性の高いエリアでもあり、需給バランスの悪化が懸念される。
心斎橋・難波(シンサイバシ・ナンバ)
心斎橋・難波は商業の中心であり、特に心斎橋は、通りの1階に有名ブランドショップが建ち並び、華やかな雰囲気を醸し出している。業務集積に関しては、来客型のオフィスが中心であり一般企業のオフィスは少ない。新規供給も複数予定されているが、やはり商業系が中心となっている。
淀屋橋(ヨドヤバシ)
古くからのビジネス街である淀屋橋は「住友村」と言われており、住友銀行(現:三井住友銀行)旧本店を始め、住友グループの企業の本社が集積している。また、日本生命等、日本を代表する企業の本社もある。近年は老朽化したビルが目立っていたが、建て替えにより新しいビルが供給され始めており、改めて人気を集めるエリアとなっている。
OBP
20年程前に誕生した比較的新しいビジネス街で、松下グループを中心に、竹中工務店、住友生命など、大阪を代表する大企業主導により開発されたエリアである。ロケーション的には、中心の御堂筋から遠く不便な面があり、営業系オフィスよりは、ソフト開発・コールセンターなど事務系のオフィスが比較的多い。
北浜・堺筋本町(キタハマ・サカイスジホンマチ)
北浜・堺筋本町の堺筋に沿ったビジネスゾーンは、御堂筋のサブマーケット的な存在である。古くから開発されてきたため、老朽化したビルが目立つが、近年、オフィス市況の回復に伴いビルの建て替えが始まっており、2008年には3棟の大型ビルが竣工する予定となっている。これらのビルは比較的順調にテナント誘致が進んでいる。
本町(ホンマチ)
古くから「船場」と呼ばれ繊維業を中心に発展してきたが、一時期、繊維業の不況により地盤沈下が進んだ。しかし、ロケーションの良さと大小のビル群の林立により、多業種の企業の集積が進み、人気が回復してきている。今後は、本町交差点の積水ハウスの開発をメインに再開発が多数予定されており、さらなる発展が期待される。
京都
人口 | 1,468,588人 | 企業数 | 77,110社 (-10.1%) |
ワーカー数 | 689,392人 (-0.6%) |
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ビジネス街の中心地は、四条烏丸やJR京都駅北側を筆頭に、烏丸御池、烏丸五条に形成される。なかでも四条烏丸は、昨今、新築供給もあり活況を呈している。またJR京都駅北側は、新規供給の予定がなく、まとまった空室の確保が難しい状態である。このところの空室率は6%台の水準を継続しているが、やや上昇傾向にある。商業エリアの中心は四条通りと河原町通り沿い。四条通りには、スーパーブランド店などの新規出店が目立つ。一方、市の新景観条例に伴う建物高さ規制やトランジットモール(交通規制)の導入検討など、行政主導の新しい街づくりが今後の市況にどのような影響を与えるか注目される。
神戸
人口 | 1,548,414人 | 企業数 | 71,468社 (-3.6%) |
ワーカー数 | 668,953人 (-1.2%) |
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ビジネス街の中心地は、三ノ宮、元町、神戸。なかでもJR、阪急、阪神、地下鉄、ポートライナーが乗り入れる三ノ宮への需要が他のエリアを圧倒している.神戸全体の空室率は11%台と依然として高水準である。一方では、今年、来年ともにオフィスビルの供給予定がないため、まとまった空室の確保が難しい状態でもある。商業店舗ビルは、旧居留地を中心に開発が複数進行中。ホテルは、今後3年間で6件が開業予定。昨今は震災後最高の観光客数を記録し神戸空港の開港効果も顕著。また、スーパーコンピュータの誘致成功、市は工場・流通分譲地の新たな造成を決めるなど、景気回復は着実に進んできている。
堺
人口 | 834,553人 | 企業数 | 29,444社 (-10.9%) |
ワーカー数 | 282,505人 (-5.2%) |
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2006年4月から政令指定都市に移行した堺市だが、中心となるビジネス街は堺東駅周辺と堺駅周辺の二つに分かれている。堺東エリアは市役所があり、オフィスゾーンの中心的な立地となっている。特に駅前には、銀行、証券会社、人材派遣、学校など、集客を目的としたオフィスが目立つ。また、その他の一般企業に関しては、堺東、堺ともに、大阪南部、場合によっては和歌山も含む南近畿全体を営業エリアとした支店・営業所が数多く存在する。堺のオフィス市況は近年回復基調を見せ始めているが、臨海部にシャープの工場建設が決まり(2010年完成予定)、関連企業の進出によりさらなる回復が期待される。