名古屋 都市データ
中部圏の中核都市である名古屋のビジネスゾーンは、JR名古屋駅の東側に伸びる広小路通、錦通、桜通の3本の大通り沿いを中心とした中村区と中区に広がっている。空室率は景気低迷期の2003年をピークに、その後、製造業を中心とした経済の好調さを背景に、回復の動きを見せている。
近年、主に投資家による不動産開発事業の増加が著しく、2007年~2008年にかけてのオフィス新規供給量が、バブル期以降最高水準となり、需要を牽引しながらも、新築ビル間のテナント募集競争を激化させつつある。郊外には自動車、陶磁器、繊維産業、工作機械等、第2次産業の大手企業とその工場が散在しており、都心部に立地する企業であっても、営業上、車の依存度が高い。
名古屋 都市データ | |||
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順位 | 調査項目 | 調査結果 | 凡例 |
4 | 人口 (最新9月1日調査) |
2,236,432人 [過去5年間の増減率:+2.3%] |
各市発表の平成19年9月1日人口 過去5年間の増減率は、平成14年9月1日の人口との比較 |
3 | 企業数 | 128,414社 [H13→H18 増減率:-7.7%] |
平成18年事業所・企業統計調査より事業総数 増減率は平成13年同統計調査との比較 |
3 | ワーカー数 | 1,384,280人 [H13→H18 増減率 : +1.6%] |
平成18年事業所・企業統計調査より従業者総数 増減率は平成13年同統計調査との比較 |
4 | 大企業数 (従業員300人以上) |
330社 [H13→H18 増減率:+11.1%] |
平成18年事業所・企業統計調査より 従業員数300人以上の事業所数 増減率は平成13年同統計調査との比較 |
1 | 有効求人倍率 | 1.89倍 | 平成17年度、各市内公共職業安定所における取扱数より |
3 | 大学数 | 28校 | 平成17年5月、文部科学省学校基本調査より |
4 | 大学生数 | 85,855人 | 平成17年5月、文部科学省学校基本調査より |
3 | 銀行店舗数 | 320行 | 平成17年末、銀行協会発表より |
3 | 総預金高 | 18兆1155億円 | 平成17年末、銀行協会発表より |
3 | ワーカー1人当たり 商品販売額 |
2031万円/1人 | 平成16年商業統計調査より 従業者1人当たりの小売業年間商品販売額 |
9 | ワーカー1人当たり 製造品出荷額 |
2873万円/1人 | 平成16年商業統計調査より 従業者1人当たりの製造品出荷額等 |
4 | オフィス店舗ビル 棟数 |
25,065棟 | 平成18年1月1日、各市固定資産概要調書より 事務所・店舗の建物総棟数 なお事務所・店舗とは、事務所、店舗、銀行、百貨店の計 |
3 | オフィス店舗ビル 総床面積 |
6,395,915坪 | 平成18年1月1日、各市固定資産概要調書より 事務所・店舗の総床面積 なお事務所・店舗とは、事務所、店舗、銀行、百貨店の計 |
- | 東京からのアクセス | JR新幹線のぞみ 名古屋駅まで1時間40分 | |
- | 空港 | 中部国際空港(セントレア) 県営名古屋空港 |
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- | 都心から空港までの アクセス・所要時間 |
セントレア 名古屋鉄道:名鉄名古屋駅-中部国際空港駅28分 直通バス:名古屋駅バス乗り場から55分 県営名古屋空港 直通バス:名古屋駅から18~23分 |
※ 順位は、17政令指定都市(札幌・仙台・新潟・さいたま・千葉・川崎・横浜・静岡・浜松・名古屋・京都・大阪・堺・神戸・北九州・福岡)に東京都区部を加えた18都市によるもの。
※ 調査時点で政令指定都市になっていない都市は順位からのぞいている。
※ 銀行店舗数及び総預金高は、さいたま、千葉、川崎、新潟、浜松、堺を除く12都市中の順位。
丸の内
官公庁街に程近いビジネスゾーンで、都心型マンションも混在する職住近接エリア。平成元年の地下鉄桜通線開通以降に発展した、比較的新しいオフィス街である。フロア面積が100坪以下の中小築浅ビルが多く、弁護士事務所や官公庁外郭団体などの入居が目立つ。伏見に次いでオフィスビルの大量新規供給が予定されている。
名駅
名古屋の玄関口として、また海外と直結する「中部国際空港」へも30分圏内という、交通の要衝。近年高さ200m級の超高層ビルが次々と竣工したことに加え、周辺ビルの建替計画も進んでおり、ビジネスゾーンとしての業務集積がより一層高まった。同時に、金融や高級ブランド店、有名飲食店の出店も相次ぎ、市内随一の複合エリアとして注目を集めている。
名駅西
かつては闇市が立ち、駅周辺が整備された以降も、商業施設の建設が少ないゾーンであったが、受験戦争の激化に伴い大手予備校が多数進出し、若者街として発展してきた。他にビジネスホテルや飲食雑居ビルが混在し、オフィス集積度は低いが対個人向けサービス企業の比率は高い。名駅と比較すると賃料に割安感がある。
金山(カナヤマ)
JR・地下鉄・名鉄が乗り入れるターミナル駅を中心に街が広がる。かつては乗換駅のイメージが強かったが、周辺にホテルや商業施設が充実し、中部国際空港開業以来その様相を一変させている。元来、鉄道や車の交通利便性が高く、にわかにオフィス立地として見直されており、業種問わず需要は高い。オフィスビルストックが少ないため、今後の新規供給に期待がかかる。
東桜・高岳(ヒガシザクラ・タカオカ)
栄に隣接し、ショールームや店舗、各種物販店の出店が進む一方で、緑も多く都市型マンションが散見される。オフィス立地としては、2005年に高層ビル「アーバンネット名古屋ビル」が竣工し、ビジネスエリアとしての認知度も高まった。都心高速へのアクセスなど車の利便性が高いエリアであるため、社用車を多く抱える企業が集積している。
新栄(シンサカエ)
栄に地下鉄で1区間という交通利便性に加え、割安な賃料によりテナントの流入が期待できるエリアである。しかし、設備水準が低く老朽化したビルが多く、また住居ゾーンや店舗ゾーンが混在したエリアとのイメージが強いため、賃料水準は低迷基調を脱しきれていない。
栄(サカエ)
表通りには、大型デパートやブランドの路面店が建ち並び、その地下には1駅以上続く巨大な地下商店街が存在する。また、金融証券街や、錦三(キンサン)の名で知られるナイトスポットも抱える、有数の繁華街でもある。近年は、商業色の強い開発が中心であったが、人材確保や来客型のオフィス立地として、依然強い需要が存在するエリアである。
伏見
大通り沿いに銀行が建ち並び、古くからビジネスゾーンとしての認知度は高い。ただし、一本脇道に入ると繊維問屋や劇場などの文化施設も多く、表裏の街並みの差が激しい地区でもある。近年はIT関係の大手企業と、その関係取引先が集積。新築オフィスビルの建設も目覚しく、2006年~2008年にかけて竣工するビルは10棟を超える。
金沢
人口 | 455,518人 | 企業数 | 27,016社(-6.7%) | ワーカー数 | 243,230人(+0.3%) |
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金沢は北陸3県(石川県・富山県・福井県)の中核都市として、支店・営業所レベルの拠点が数多く所在している。ビジネスゾーンとしては、武蔵町から南町・香林坊にかけての国道157号線(通称:百万石通り)沿線が中心となる。90年代にJR金沢駅周辺における複数の大型ビル竣工と景気後退の時期が重なり、以降、オフィス市場は低迷が続いている。そのため、オーナーサイドの供給マインドは冷え込んだまま新規供給は抑制傾向にあり、近年では2004年に「AUBE」「KCビル」の2棟が供給されたのみである。現在は、金沢駅周辺の大型ビル、竣工年の新しいビルを中心に需要が集まり、市況はやや回復基調にある。
静岡
人口 | 720,475人 | 企業数 | 38,166社 (-10.0%) |
ワーカー数 | 328,478人 (-5.7%) |
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静岡県は首都圏に近く、また東西交通の要衝になることから、オフィスだけでなく、メーカー企業の工場などインダストリアル施設の進出も多い。県の中心である静岡市は、静岡駅北口を中心として徒歩15分圏内にオフィスビルや商業施設が集中している。オフィス市場の大きな特徴は、近年のビル新規供給が非常に少ないこと。2003年に静岡駅南側に数棟の大型ビルが建ち上がったが、以降2010年まで大型開発の予定がない。そのため2010年竣工の紺屋町地区市街地再開発(JR静岡駅北口駅前)は、その動向が注目されている。本年は、パルコ、109が新規出店するなど、商業施設の新旧交代が話題となった。
岐阜
人口 | 423,062人 | 企業数 | 23,774社(-9.6%) | ワーカー数 | 190,753人(-2.6%) |
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岐阜は景気低迷期に拠点縮小や撤退等の動きがあって以降、景気回復期においても新規需要の伸びが鈍く、現在も市況改善が遅れている都市だと言える。ビジネスゾーンはJR岐阜駅北側から岐阜市役所周辺までが中心。比較的設備水準の高いビルが多く、需要を集めている。2005年にJR岐阜駅北口に駅直結の「大岐阜ビル」が満室竣工して以降、新規供給は抑制された状態が続いていた。2007年8月に地上43階建の「岐阜シティ・タワー43」の竣工を皮切りに、今後5年以内に岐阜駅前周辺の大規模な再開発が数棟予定されている。しかし、いずれの再開発も分譲マンション事業が中心のため、名古屋を中心としたオフィス集積地のベッドタウン化が、今以上に進むことが想定される。