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AI inside株式会社 | 成長ベンチャーに訊く

ケーススタディ

2019年4月23日

立地や建物スペックは気にしないが
どこにお金をかけるかは大切なこと。
社員に気持ちよく働いてもらうためなら
オフィス投資は決して高くはない。

AI inside株式会社
代表取締役社長CEO 渡久地 択

AI inside株式会社

エレベータのない歴史的な建物のビルで 指紋認証を導入し最新セキュリティを確保

AI inside は2015年8月設立の新しい会社で、AIの画像認識技術を活用して業務を自動化するサービスを提供しています。当社が目指すのは、職場の生産性向上。例えば、銀行業においては、口座振替依頼書などの書類に記入された手書きの情報は、これまでスタッフが手作業で入力していました。我々のプロダクトを使えば、これらの入力作業を自動処理することができます。

僕が起業したのは、2004年にさかのぼります。最初から「AIを使って社会貢献したい」という気持ちは強かったのですが、当時はAIをやるには高スペックなマシンが必要で、起業したばかりの人間が買えるはずもありません。しかし「このままでは本当にやりたいことができない」と思い、2012年、AI研究開発に特化した会社を立ち上げたのです。貯金を切り崩しながらの研究開発は楽ではありませんでしたが、この頃からAIへの期待が高まり始めたので、「絶対に何かできるはず」という確信はありました。その中で生まれたのが、現在我々が提供するAI-OCR(光学式文字読取装置)の仕組みです。

オフィスは当初から、今と同じ渋谷に構えていました。前の東京オリンピックの頃からあろうかという歴史的な建物の5階で、エレベータはなく毎日階段で上り下り。社員10人に対して18坪ほどのオフィスを利用していました。

2015年8月、このオフィスでAI insideを設立し、AIによる手書き文字認識サービスを開始。難しいプロダクトだったため、お客様の求める水準に達するまで1年以上かかりました。その間は社員を増やさず少数精鋭で取り組んでいたのですが、本格的なサービス展開の少し前、社員が15人に増えた頃にスペースが不足し4階を借り増しました。セキュリティレベルを上げるため、5階を社員の執務スペース、4階を来客や会議用のスペースとして使用していました。

このオフィスでは、当然お客様にも4階まで階段をご利用いただいていましたが、当時から入退室管理には指紋認証を導入していましたので、エレベータの有無や執務スペースの広さに関係なく「安心できる会社だ」と思っていただいていました。

その後さらに社員が増え、近くにサテライトオフィスを借りてしのいだものの、20人になる頃には限界に達しました。採用面からもオフィス環境の改善は必要だと考え、2017年10月、現在の渋谷第一生命ビルに移転したのです。当時、第一生命保険様に出資いただいたご縁でご相談したところ、ちょうど空きが出た近隣の建物をご紹介いただいたというわけです。

部門を越えた対話を促す仕掛けと リラックスして仕事ができる空間

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現在のオフィスは、ワンフロア約120坪です。一気に3倍の広さになり、最初はガラガラでしたが、すぐに人が増えて埋まるだろうと思っていました。予想通り、社員が60人に増えた今は、すでにオフィスは手狭になりつつあります。

最も人数が多いのはプロダクトの開発者で、20人います。主な顧客に大手金融機関が多く、情報の取り扱いに細心の注意が求められることから、開発者が外で仕事をすることは基本的にありません。そのほかに営業が10人、カスタマーサポートが10人、残りは管理部門とアルバイトという人員構成です。

とにかく、活発なメンバーが多い会社だと思います。社員が机に向かって黙々と仕事をしている、という光景はまずないですね。仕事の相談や打ち合わせをしていたり、営業がウェブ会議やテレビ会議をしていたり。今朝も僕がフリースペースでとテレビ会議をしていたら、周りがにぎやかでよく聞こえないんです(笑)。

でもこれは、いいことだと思っています。プロダクトは開発者一人では作れません。普段からお客様の声を聞いている営業やカスタマーサポートのスタッフと話し合ってこそ、お客様にとって価値あるサービスを提供することができます。対話しやすい環境を作るため、オフィスに仕切りを設けないのはもちろんのこと、フリースペースやソファなどを設置し、ちょっとした打ち合わせが気軽にできるスペースを確保しています。

僕自身、自然が好きなので、オフィスには緑を多く取り入れています。本当はオフィス内に池や川をつくりたかったくらいです。もちろん、これはビル側の許可が得られず、実現しませんでしたけれど(笑)。ただ単に会社に来て、働いて、帰って寝るだけの生活は味気ないじゃないですか。リラックスしながら、楽しく仕事ができるような会社にしたいと強く思っています。

お客様のオフィス案内では必ずサポートスタッフに引き合わせる

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就職を希望する方やお客様には、必ずオフィスの中を案内しています。面接にお越しいただいた方にとってオフィス見学は珍しいことではありませんが、お客様が取引先のオフィスを見る機会は滅多にないので驚かれますね。オフィスや仕事風景を見ていただくことで、ベンチャー企業である我々に対しても安心感を抱いていただくことが一つ。もう一つは、サポートセンターのスタッフと引き合わせるのが狙いです。長期間のお取引があるお客様の場合、サポートセンターのスタッフと何度もやり取りしながら、お互いの顔は知らない状態です。実際に対面することで親近感が湧きますし、今後も安心してサービスをご利用いただくことができると思っています。お客様がいらっしゃったときは、社員全員が立って挨拶をします。それでよく、「ベンチャーらしくないね」と言われています。

起業以来ずっと渋谷でオフィスを構えていますが、渋谷はどこへ行くにもアクセスが良いのが利点です。かといって、立地へのこだわりは特にありません。実は先日、当社のことをネットで知り、ぜひ一緒に働きたいというシンガポール在住の方から連絡をいただき、今年3月から来てもらうことになっています。本当にいい会社なら、どこからでも人は来てくれると思っています。

建物のスペックや築年数もあまり気にしていません。大事なのは、どこにお金をかけるか。オフィスに関しては、価値あるサービスを提供するためのセキュリティ環境と社員が快適に働ける環境かどうかが大切だと思っています。そうした環境を実現することを考えれば、オフィスコストは決して高くないと思うんです。今後もお客様、社員が増えていくなかで、よりゆったりと働ける環境を整えていけたらと思っています。

上記の記事の内容は BZ空間誌 2019年春季号 掲載記事 掲載当時のものです。

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