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株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン | 成長ベンチャーに訊く

ケーススタディ

2020年1月27日

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン 代表取締役社長 石坂 信也氏

時代に先駆けてフリーアドレスを導入。
時間や場所にこだわらない働き方と、
ベンチャースピリットを体現する
オフィスを、今後も模索していく。

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン
代表取締役社長  石坂 信也

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン

留学中に考えたビジネスプランが
「ゴルフ場ネット予約サービス」起業の種

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン

1997年、前職の三菱商事時代に金融手法を学ぶため、ハーバード・ビジネススクールに留学しました。当時のアメリカはインターネットの成長期で、自分も航空券や宿泊のオンライン予約をするエクスペディアの利用者だったこともあり、ネットビジネスに興味を持ち研究を始めました。また、両親の影響で子どもの頃から好きだったゴルフも調べてみると、当時の日本のゴルフ場会員権ビジネスは行き詰り、早晩社会問題になると予測されました。そこで、ネットを活用したゴルフ場予約ができれば面白いのではないかと思いつき、これをテーマに卒業論文を書いたことが、後の起業につながりました。

留学から帰国後は三菱商事に戻り、金融企画部に配属されましたが、2000年になると企業の大型破綻とともに、不良債権化したゴルフ場経営が原因の破綻も始まりました。そのような状況を目前にして、留学中に思いついたビジネスプランの実践を考えるようになったのです。同年1月に三菱商事を退社し、5月にはゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)を設立。ゴルフ雑誌のゴルフダイジェスト社からブランドネームの貸与と出資を受け、ゴルフ場オンライン予約サービス、ゴルフ用品のeコマース事業、ゴルフに関連する情報提供と広告事業の3つの事業を柱にスタートしました。その後、設立4年目の2004年、東証マザーズへの上場も果たすことができました。

最初の愛宕のオフィスは、40件ほど探し歩いた末に出会って、「ここだ!」と直感的に決断。雑居ビルの2階(33坪)で、窓からは外の木々の緑が見えました。オフィスを借りて真っ先に買ったのは、真っ白なソファと小さなステレオコンポです。「疲れたらソファに座って、音楽を聴きながら仕事ができる」ことが、起業した際の楽しみでした。もう1つ、会議室には丸いテーブルを置くことにもこだわりました。上座や下座がない丸テーブルは、年齢や役職に囚われないフラットな関係を象徴するアイテムであり、そのフラットな関係こそ僕が考えるベンチャースピリットです。

フリーアドレスを時代に先駆け導入
社内連携と自由な働き方を試行錯誤

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン

この愛宕にいた6年で売上は41倍、従業員は11倍と急成長し、最終的には2つのビルで6フロアを借り増しし、200坪に130~140人が執務している状態で限界でした。打ち合わせスペースも十分に確保できず、社内コミュニケーションにも問題が生じたり、業務に支障が出ていました。

不動産業界の友人に本社集約移転の相談を持ち掛けたところ、「虎ノ門再開発までの期間限定でビルを建てるから借りないか」と1棟借りの話がまとまりました。普通のオフィスビルでフロア借りして移転する選択肢もありましたが、社員が伸び伸びと働ける環境を作るため1棟借りできる建物を探していたので、とてもありがたい話でした。5年間という契約期間を条件に600坪のビルを借り、2006年3月に虎ノ門へ移転しました。

移転の1年半前から社内でプロジェクトを組み、新オフィスでどんな働き方をしたいのか議論を重ね、理想の働き方を実現するために必要なオフィスについてビル側に要望を伝えたところ、9割方は実現に至りました。

虎ノ門オフィスで導入したのが、当時はまだ先進的だったフリーアドレスとペーパーレスです。フリーアドレスは、従業員数よりも席数を少なくしコスト削減を図るのが一般的な考え方ですが、僕らの場合は違いました。150人の従業員に対して200席以上、つまり人数分以上の席を設け、必要な時に必要な人たちと座って話せる環境にすることで、社員同士の意思疎通を促し、生産性の向上を図ったのです。言葉にもこだわり、フリーアドレスではなく「フリーデスク」と名付けました。ただし、移転当時は今のようにコミュニケーションツールが十分ではなかったため、メンバーの所在が把握できないという事態が起こったりもしました。トライ&エラーをくり返し、現在はグループごとに決められた場所に座るゾーン制に落ち着いています。

虎ノ門オフィスには、室内ゴルフ練習場も設けました。それまではゴルフメーカーと当社バイヤーが狭い会議室にこもってゴルフ商材の商談を行っていましたが、実際にシューズを履きながら、ボールを打ちながら商談できる場があれば盛り上がるだろうと思ったのがきっかけです。それを来場者も目にする受付の後ろに堂々と設置することで、ブランディング効果も生まれます。室内のゴルフ練習場は、現在のオフィスにも引き継がれています。

どこでも働ける時代に
オフィスの場所はそれほど重要ではない

株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン

虎ノ門のオフィスが手狭になり、向かいのビルへの増床で対処するようになったため、2016年11月、現在の東五反田のビルに移転しました。3フロア1,000坪は、以前の約2倍の広さです。この移転を当社の「第二の創業」と捉え、「ゴルフで世界をつなぐ」という僕らのミッションを実現するためのオフィスづくりを意識しました。

日々の業務の中で、新しいオフィスに必要な物は何かを各部門からヒアリングし、意匠的な部分は二の次とし社員が求めているもの、実業務に必要なものを優先し設計、デザインしました。

場所には特にこだわりませんでした。これからの働き方は、オフィスか自宅かにこだわらず、またオンとオフの境界もなくなる「非連続な働き方」が主流になってくるでしょう。当社でもサテライトオフィスを実験的に始めていますが、「どこでも働ける」時代にオフィスの場所は重要ではありません。いずれ社内のフリーデスクにも再度挑戦したいと思っています。場所へのこだわりがあるとすれば、将来はゴルフ場のそばに本社を構えたいですね。都市への一極集中が通勤地獄を生み出し、働き方だけでなくライフスタイルにも悪影響を及ぼしていることを考えると、地方にオフィスを構えること で、本質的な課題解決に近づけるのではないかと思っています。

このところゴルフ人口が減少し、業界として頭打ちだと言われていますが、ゴルフ練習場をもっと魅力的な場所にして、デートなどで気軽に楽しめるようになれば、ゴルフ人口はまだまだ増えるはず。誰もが楽しめるエンタメ性の高いゴルフ体験の創造に、僕らはチャレンジしていきます。

上記の記事の内容は BZ空間誌 2019年冬季号 掲載記事 掲載当時のものです。

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