東京への一極集中が叫ばれて久しいが、では東京のオフィス街は、近年、どのエリアでどのくらい拡張したのか。各エリアのオフィス床のボリュームと、その増加率を見ていくことにする。比較したのは2000年初頭と2011年末における賃貸オフィスビルの貸床総面積。グレーの部分が2000年当時の面積を示しており、それが2011年末にどれだけ増加したのかを黄色の部分で示した。
赤字の%が約12年間における増加率である。誌面上の図は、エリア別の面積比やグレーと黄色の増加面積比を反映しており、ビジュアルとしてエリアの床ボリュームとその増加イメージが把握できるものとなっている。改めて説明するまでもないが、貸室面積の増加には、新たに新規供給が行われるケースと、既存ビルの建て替えにより大規模化・高層化が図られるケースとの2パターンが考えられる(自社ビルの賃貸化等もあるが、割合としては極めて少ない)。
建て替えにおいても、旧ビルと新築ビルが同規模の場合には貸室増とならないことを加味してご覧いただきたい。増加率200%以上とオフィス街が倍以上に拡張したエリアは、2003年の六本木ヒルズや2007年に東京ミッドタウンが竣工した六本木と、2003年品川グランドコモンズのオープンと新幹線新駅の開業で一気にビジネス街のポテンシャルが上昇した品川(品川駅東口側)である。逆に、虎ノ門や浜松町、池袋といったエリアは、2000年から現在まで1割程度の拡張しかなされていない。
先に記したように建て替えが全く行われていない訳ではないのだが、オフィスボリュームとしては変化の乏しいエリアと言える。また、この地図から改めて思い知らされるのが、丸の内・大手町の地域ポテンシャルだ。2000年時点のストックも最大かつビジネス街として日本一のバリューを有しながら、以降1.6倍近くも貸床を増やしている。しかも、今後の開発計画も多く、ここしばらくは同地の実力は揺るぎそうにない。