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R&D【研究・開発】拠点設立ケーススタディ キングスカイフロント

首都圏最大級の研究施設集積ゾーン「キングスカイフロント」の拠点形成


川崎市 臨海部国際戦略本部
臨海部事業推進部 担当課長
山川 浩己

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ライフサイエンスに特化して長期的な成長を目指す

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世界的に競争力を持つ製品やシステムを生み出す研究開発施設は、その企業のみならず、国益や立地するエリアの活力にもなるだけに、国や地方自治体にとっても重要な拠点と言える。だが、実際に企業が単独で施設を開発するには、計画立案にはじまり土地の選定や取得、設計、建設を経て完成するまでには、少なく見積もっても3年程度の年月を要する。また、既存のビルや建物を借りるにしても、特殊な大型機械や設備を導入しなければならないケースが多く大規模な改修が必要となり、なかなか物件が見つからない。さらに、騒音や排出ガスのほか、扱う薬品や物質によっては、地域住民はもとより施設のオーナーも良しとしないこともある。それだけ、時間やコスト、条件面で難しいのが研究開発施設なのである。

こうした中、川崎市が拠点形成を進める首都圏最大級の研究施設集積ゾーン「キングスカイフロント」が注目を集めている。同ゾーンがあるのは川崎市川崎区殿町。多摩川を隔てた対岸は羽田空港、首都高速川崎線殿町出入口の目の前という、京浜工業地帯の中心エリアだ。いすゞ自動車工場跡地約40haのうち約23haについて、UR都市機構と川崎市を施工者とした土地区画整理事業を行い、2011年から順次、土地利用および施設立地を進めた。

キングスカイフロントの最大の特徴は、誘致する研究施設を新しい医薬品や医療機器、難病治療などの研究開発を行う企業や機関に特化した点だ。川崎市は計画当初から、高度な医療ニーズに対応する「ライフ」、地球環境問題解決に寄与する「グリーン」、高齢化社会の課題に向けた福祉製品を創出する「ウェルフェア」の、3つのイノベーションの推進を通じた国際貢献と産業創出を目的として掲げてきた。

京浜工業地帯、川崎臨海部というと重化学工業のイメージが強いが、それはすでに過去の話。現在では、血液中のアミノ酸濃度のバランスから健康状態が分かるアミノインデックス技術の研究開発や、iPS細胞の培地を製造する味の素、手術用縫合針などの高機能性ステンレス製品を開発した日本冶金、DDS(ドラッグデリバリーシステム)で知られる日油をはじめとして、医薬品関連製品や部材、機器を開発する高機能系企業が数多く存在している。こうした企業を含めた、一大医療系イノベーションエリアを構築しようという目論みがうかがえる。

「日本は高齢化が進む中、医療費の増大や医薬品および医療機器の輸入超過など、大きな課題を抱えています。こうした状況を踏まえ、30年後を見据えた長く持続可能な成長性の高い分野の企業に立地してもらい、将来的な地域の発展につながることを期待しての成長戦略として打ち出したのが、ライフサイエンスの研究拠点でしたそう語るのは川崎市臨海部国際戦略本部臨海部事業推進部で担当課長を務める山川 浩己氏だ。

ちなみにキングスカイフロントの「キング(King)」はKawasaki INnovation Gatewayの頭文字と「殿町」の地名に由来したものであり、「スカイフロント(SkyFront)」は羽田空港の目の前という立地やこのエリアが世界につながっていることを表している。

LiSE

市のこうした戦略が評価され、運用開始直後の2011年12月には「京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区」に指定され、2014年には国家戦略特区にも指定された。また、これに先駆け2011年7月には「実験動物中央研究所」の運営が開始され、2012年には厚生労働省管轄の研究機関「国立医薬品食品衛生研究所」の進出が決定するなど、これを引き金に民間企業が続々と進出に名乗りを上げ、今日に至っている。

広大な敷地内に様々な研究施設が林立

MAP

23haにもおよぶ広大な敷地には、現在建設中の建物を含め、いくつもの研究施設が林立している。すでに運営中の建物の1つが「川崎生命科学・環境研究センター(通称LiSE)B」。4階建のこの建物は民間企業の活力を活用するため、PPP(Public Private Partnership)により大成建設が管理している。1階には会議室のほか、キングスカイフロント全体をマネジメントする川崎市キングスカイフロントマネジメントセンターがある。さらに2階、3階には市の健康安全研究所と環境総合研究所がそれぞれ入居し、4階はレンタルラボとして民間企業など数社が活用している。

その目の前にあるのが「実験動物中央研究所D」だ。実験用動物の研究開発では世界的に有名な機関であり、ヒトの病気の解明や新しい治療法の開発に役立つ実験動物を作り出してきた。その中には、ポリオワクチン用の安全性試験用マウスや、創薬におけるがん原性試験用マウスなどで国際標準として使われるようになった実験動物も多い。さらに、マーモセット(小型の霊長類)の実験動物化・遺伝子改変にも成功し、ヒト神経難病のモデル動物として活用できるようにした。現在は、このマーモセットを使ったヒトiPS細胞による脊髄損傷の再生医療の病態モデルの確立を目指している。

「ジョンソン・エンド・ジョンソン 東京サイエンスセンターG」は、高度な医療機器の安全使用のための実践的なトレーニング施設であると同時に、アジア圏における同社のR&D機能の拠点にもなっている。羽田空港から近いことがメリットで、国内外から年間2万人ほどの医療従事者が研修に訪れるという。

「iCONM(ナノ医療イノベーションセンター)C」は、ナノ医療技術の権威である東京大学・片岡一則教授を中心に、東京工業大学などの大学、富士フイルム株式会社・株式会社ニコンなどの企業、国立がん研究センターなどの研究機関による、困難とされてきた病気の治療・予防を行うナノマシンの研究開発を行っている。

神奈川県主導で整備された「ライフイノベーションセンターI」は、再生・細胞医療分野を中心に、研究開発から事業化までを推進する拠点で、今年4月にオープンしたばかりの施設だ。

運営が開始されている上記5棟に加えて現在、計画および建設中の施設が6棟ある。

「国立医薬品食品衛生研究所L」は医薬品や医療機器、食品等の品質、安全性ならびに有効性の評価に関する試験・研究を行う機関だ。厚生労働省の管轄の機関であり、国内の医薬品・医療機器メーカーに対する影響力も大きい。

そのほか、アイソトープ製品の試験や研究開発、供給関連業務等を行う「日本アイソトープ協会H」や、疾病診断に役立つ放射性医薬品の開発や、がん検査に用いるPET薬剤の研究開発を行う「富士フイルムRIファーマE」、東京大学発のベンチャーで、独自の創薬開発のプラットフォームシステム「PDPS」を用いた特殊ペプチドによる創薬の研究開発を行う「ペプチドリームJ」、自分の運動の意思に応じて動く装着型のロボットスーツHAL®など、最先端ロボット医療機器・医療福祉機器の研究開発を行う「CYBERDYNEF」、シリコーン製のカテーテルで名高い「クリエートメディックK」などがある。

各企業や研究機関が独自に建設したこれらの施設に加え、大和ハウス工業は、敷地内の4.6haを利用した大規模な開発を行っている。レンタルラボとして利用される研究棟に加え、カフェレストランを併設したホテルを計画。国内外の来訪者のための宿泊機能はもちろん、研究活動を活性化する交流促進機能、生活利便・リフレッシュ機能を導入することで、キングスカイフロント内の就労者だけでなく、外部にも開かれた環境を生み出すこととなろう。

施設紹介
施設紹介

世界最高水準の研究拠点として整い始めた環境

各社の研究施設の建設が進むとともに、市が主体で展開する、医療関連分野における世界最高峰の研究開発にふさわしいソフト・ハード両面の環境が整い始めている。

その1つが「慶應義塾大学殿町タウンキャンパス」の開設だ。慶應義塾大にとっては、新川崎、鶴岡に続く3つ目のタウンキャンパスであり、キングスカイフロントのポテンシャルを活かして研究・教育活動を展開し、イノベーションの創出および新産業創造の推進により、地域社会、研究、教育、産業の振興に貢献することを目的とするとしている。当面は、科学技術振興機構(JST)の「リサーチコンプレックス推進プログラム」を活用し、川崎市ならびに関連する自治体や企業などと連携し、異分野融合による共同研究開発および事業化、さらには次代を担う人材の育成を目指していく。

一方、ハード面で特筆すべきは「連絡道路」の整備だ。

2020年を目標に、キングスカイフロントと対岸の羽田空港跡地地区を結ぶ橋梁が計画されており、キングスカイフロントと「羽田空港国際ターミナル」をはじめとした羽田空港周辺地区が直結され、日本の空の玄関口である羽田空港へのアクセスの利便性は格段に向上する。

また、羽田空港跡地の第1・第2ゾーンには宿泊施設や産業交流施設などを有する開発計画が進んでおり、連絡道路の整備による一体的な拠点形成や連携強化による相乗効果が期待される。

「橋が完成し、羽田空港跡地の開発計画との相乗効果が高まれば、地域のポテンシャルもさらに高まりますし、日本の玄関口としてのバリューも上がるでしょう。これは市民生活にとっても大きな意味があると言えます。いずれキングスカイフロント発の革新的な医薬品や医療機器が登場し、市民にとって誇れる研究拠点に成長して欲しいですね」(山川氏)。

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上記内容は BZ空間誌 2016年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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