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R&D【研究・開発】拠点の新設・移転ノウハウ

R&D拠点設立の勘どころ

シービーアールイー株式会社
プロジェクトマネジメント ディレクター
黒田 主悦

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企業によって異なる施設ニーズ共通項は「安く・早く・きれい」

―― 近年、R&Dセンターや研究施設の設立が増えているようですが?

黒田 業種に関しては、特に偏りはありません。ただ、当社への依頼では外資系企業の研究施設設立の案件が目立っており、直近では半数以上が外資系からのニーズでした。国内大手企業は自社の遊休地や工場施設内に自前で開発することが多いのですが、外資系企業は基本、日本に資産を持てない、あるいは持たないことを希望するため賃貸施設に入居するケースがほとんどです。

―― 設立のタイミングは?

黒田 新設の場合の多くは、企業の経営戦略や商品開発に基づいたものですので、傾向といったものはあまり見られません。某国内メーカーは、現本社の老朽化により本社および工場の移転に伴う拠点の再配置を実施し、R&Dセンターを新築したうえで分散・移転させました。移転の場合は、既存の施設が手狭になった、または新部門設立に伴い全体の効率化を図ろうとするケース。なかでも比較的多いのは、既存施設の契約期間切れに起因する移転です。大型の研究施設はオーナーに建設してもらい、そこを10年~20年の長期契約で賃借するいわゆる「注文建築」が多いのですが、契約期間満了時に再契約を断られることがあります。研究施設を開設した時代から、経済状況や産業構造、施設の周辺環境が大きく変化しているため、オーナーが自社使用を希望し、他用途で活用した方が資産価値の向上が図られるといった理由からです。オーナーサイドのファンド化やM&Aに伴い、資産活用の戦略変更ということもよく目にします。いずれにしても、初期の賃料設定が廉価であることが多いですから、長期契約の契約終了時がきっかけになりやすいことは確かです。

―― 移転には、どんな立地が選ばれるのでしょう?

黒田 1つはクライアント企業の近く。これは自動車関連などに多いのですが、完成品ではなく部品を製造するメーカーは、研究施設で作製した試作品をいち早くクライアントに見せて打ち合わせをしたいという要望があります。特に外資や生産拠点が海外にある企業は、そこで試作品を作って国内に運ぶとタイムロスが多くなります。顧客の「すぐ見たい」「触れたい」というニーズに応えることは受注にも直結しますから、アクセスが重視されるのです。もう1つは本社の近くです。いわゆる立地改善で社内コミュニケーションを向上させるためにも、移動時間の無駄を少しでも省きたいのでしょう。特に中小規模のメーカーにはこの傾向が強いようです。ただし、食品関連業種はオフィスビル内でR&Dが設立可能な場合もありますが、化学系や機械系など、騒音や排気ガスなどに規制がかかる業種は用途地域に制限がありますので、オフィス立地への設立は難しくなります。その意味では、横浜市にあるGIP(ジャーマンインダストリーパーク)のように、敷地内にオフィス棟とラボ棟が併設されている施設は人気があります。また、研究施設を集めた川崎市のキングスカイフロントなども注目されていますね。移転の場合、研究者人材の離職を防ぐために既存施設の近隣が求められます。研究者はスペシャリストであり、ベテランほど市場価値が高くなりますから、彼らの通勤事情が立地選択に大きな影響を及ぼします。逆に新設の場合は、競合他社の研究所がある地域を狙い撃ちすることもあります。これはヘッドハンティングが目的で、それほど研究者の存在が重要であるということです。

―― 賃貸物件の施設面で求められる要件は?

黒田 端的に言えば、安く、きれいで、できるだけ早く入居できる、の3点です。研究施設の開発を土地取得から始めると、用地買収→設計→開発に最低でも2~3年程度の期間が必要なのですが、すぐにでも新商品を開発したい企業にとっては機会を逃すことになりかねません。そのため、コストとタイミングの両面で、賃貸施設の人気が高まっています。かつての研究所のイメージは、外観は灰色のコンクリートに小さい窓、中は個室がずらりと並んだ無機質なものでしたが、近年はクライアントが訪れることを考え、外観や内装を含め見た目にもこだわっています。予算を考えると倉庫物件も候補に挙がりますが、そのままではダメで、相当な改装を行うケースも多々あります。また、最近では知的生産性を高めるワークスタイルの実験の場として、コラボレーションがしやすいよう、施設の仕様や内装はもちろん、机や什器までこだわる企業も出てきています。しかしこれは稀なケースで、多くはある程度の見た目の良さがあって、研究施設を受け入れてくれるビルに収まります。それでも設立まで1年程の期間は必要ですし、そもそも、研究施設を受け入れてくれる物件そのものが非常に少ないのが現状です。

個別性が高いR&Dセンター設備の把握が第一条件

―― オフィスの移転と比較したR&D拠点での相違点は?

黒田 一言で言えば個別性の高さです。例えば面積についても、通常のオフィスであればベンチマークがあり、入居する人員に合わせておおよその面積が割り出せます。ですが、R&D拠点の場合は、はじめに開発や実験に関する機器ありきで、そこにどれだけの大きさが必要かは、企業によって異なるので、我々でも判断に迷うところです。また、その機器の必要要件が問題で、設置のため床に穴を開けなければならないこともありますが、オーナーがそれを許さず、思い通りの施設が作れないケースは多々あります。さらに騒音はもちろん、扱う物質によっても問題があります。例えば有機化合物などは、室内の換気や空調設備の増設が必要になりますし、危険物貯蔵庫が作れないこともあります。放射性物質は法定基準内であっても、オーナーが嫌うケースがほとんどです。また建物の安全性に対しても要求が厳しく、特に外資系企業は、グローバルで加入する保険等の関係で、スプリンクラーの設置を求められたりもします。これは、日本と欧米の消防基準の違いにもよりますが、現実には設置しなくても大丈夫なケースがあり、まずは保険内容を確認するなどの手順が必要です。予算と絡めて、本当に必要なのかどうかを見極めないと、すべてがコストに反映するからです。そのため、必要な要件を検証してビルを選定することが不可欠なのです。

―― プロジェクトマネージャーとしてR&D拠点設立で苦労する点は?

黒田 第一に予算の算出です。特に外資系企業の場合、はじめに予算ありきなので、最初に概算のコストを出す必要があります。ですが、移転を希望している既存施設を見ても、例えば壁の中にどんなダクトがあるのか、どんな設備が隠れているのか、設備敷設にどれだけのコストがかかるのか、一見しただけでは判断がつかないケースが多いです。オフィスと異なりコストの変動要素が大きく、移転先の建物の状態によっても異なることが多いからです。また、機器によっては製造したメーカーしか動かせないこともあり、それだけでかなりのコストがかかることもあるのです。こうした機器は、移転先で再稼働するまでに相当期間を要することもありますから、その点で、スケジュール管理も重要です。もう1つ、よくあるケースがニーズの変更です。賃貸物件であれ、移転計画開始から1年ほどの期間は必要とします。その間、企業サイドの経営戦略の変更で別の大型機器を入れたいといった要望が出ることがあります。そのために設計変更や設備における電気容量の変更など、オフィスとは異なる仕様変更が出てくるため、プロジェクトマネージャーにとっては頭が痛いところです。

専門性が求められるR&D拠点設立外部サポートの存在が成功の鍵

―― 最後にR&D拠点の開設や移転を考える企業に何かアドバイスは?

黒田 これまで述べてきたとおり、賃貸でのR&D拠点の設立は制約が多くなります。ですから自由度を高めるためにも、自社開発が望ましいでしょう。ですが、それが無理な場合、時間的な余裕があるならBTS(注文建築)で建設してもらう手があります。期間短縮のため、すでに建設が始まった物件でも、施工者と交渉して、早めに大型機器をはじめとする開発・実験機器関係を組み入れてしまったケースもありました。また、食品系や飲料系など業種は限られますが、居抜きの物件を狙うという方法も可能でしょう。いずれにしても、一般企業でR&D拠点の新設や移転を、何度も経験したという方は多くありません。それが、どのビルにでも、すぐにテナントとして入居できるといった誤解を生む原因です。R&D拠点設立には、設備と建物の両方に詳しい人材の存在が、特に重要な要素になります。とは言え、既存施設内には扱っているファシリティに詳しいスペシャリストの方は必ずいらっしゃいます。その方には早期からプロジェクトに加わっていただき、必要な機器や持ち込む機材をリストアップしてもらうことが不可欠です。そのうえで、新設であれ移転であれ、クライアントのスペシャリストとプロジェクトマネージャーがコラボレーションをする体制を築くことが、最大の成功要因となると感じています。

―― ありがとうございました

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上記内容は BZ空間誌 2016年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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