テクノロジーの進化もまた、オフィスの分散を促進
2030年には5Gの普及により、通信環境の更なる高速化・大容量化が実現する。これにより遠隔地間のコミュニケーションがよりスムーズになり、この事もまたオフィスの分散化を促進することになるだろう。
オフィスワーカーは、もはや席にしばられなくなる:オフィスの中においては、働く目的に応じて最適な場所を選ぶことができるABW(Activitybasedworking)の導入が一般化するだろう。
オフィスワーカーはもはやオフィスにしばられなくなる:コミュニケーションツールの進化が、サテライトオフィスやコワーキングオフィスの利用の障壁を低くし、従業員はその日その時の業務をこなすための最適な立地で業務を行うようになる。在宅勤務などのリモートワークの促進により、育児や介護などと業務との両立もより容易になるだろう。
AI、IoTのワークプレイスへの普及
AI、IoTの利用を通じ、ワーカーの快適性・利便性・安全性をサポートするさまざまな機能の自動化が進むだろう。例えば:
- 館内レストランやエレベータの混雑状況の可視化、最適な照度や空調の設定。
- 会議室予約や外出時のルート検索・出張手配などのコンシェルジュ機能。生体認証による入退室管理やデータベースへのアクセ ス制御によるセキュリティ強化。
さらに、オフィス内におけるワーカーの全ての活動履歴に関するデータをクラウドに蓄積し、 AIで解析することで、最適なオフィスレイアウト、グループやプロジェクトメンバーの編成における人材マッチングの選択肢が導き出される。事業環境に応じた柔軟なワークプレイスの創出、スキルやタレントの最適な組み合わせが可能となるだろう。
これらのテクノロジーの普及により、テナントニーズに対して柔軟に対応できるビル運営の体制が整備される。ビルオーナーにとっての第 一義的な顧客は、もはや企業ではなく、オフィスで働く一人ひとりの従業員となろう。
テクノロジーがもたらす働く場所の流動化
これまでにも高速ネットワーク、wifi環境、スマートフォン、ノートPCの普及などによって、デスクワーク自体が変化してきた。単純作業が減り、企画・調整・営業などの仕事のウエイトが増加している。また、1日中同じ作業をするのではなく、1人で何役も担うことが必要となり、これがフリーアドレスや、仕事の内容に応じて働く場所と時間を選べるABW(Activity Based Working)などのワークスタイルの導入を促してきた。
これからは、仕事の内容だけでなく、働く場所のDisruptionが起こる。従業員の働き方の志向やニーズ、そしてテクノロジーの進化により、オフィスは分散する。テレワーキングの普及、サテライトオフィスの増加、コワーキングスペースなどの利用がさらに広まるだろう。本社機能はもはや、全部門の所属部員が働く物理的な中心ではなく、ネットワークの中心となるだろう。