経済産業省の電力需給に関する検討会合によれば、今冬の電力需給の見通しは、厳冬となることを想定したうえで、いずれの電力管内でも瞬間的な需要変動に対応するために必要とされる予備率3%以上を確保できる見通しですが、火力発電所等の計画外停止が発生するリスクがあり、予断を許さない状況であることに留意すべきとしています。
また、電力の安定供給が議論されるなか、電力各社は電気料金の値上げを実行または申請し、産業界では厳しい対応を迫られています。
本マニュアルでは、オフィスビルワーカーの皆様の立場から、日常において無理なく取り組みが可能で、かつ効果が期待される節電方法の一例をご案内いたしますので、ぜひ貴社の節電対策へお役立てください。
時間帯によるエネルギー消費のトレンド
日照時間が短く、外気温度が低い冬期の電力需要は、夏期と違い朝・夕を中心に長時間となる傾向にあり、9時~21時(九州は8時~21時)の時間帯に電力使用を控える必要があります。
1.始業前時間帯
業務の開始に向けた時間帯であるため、空調のウォーミングアップに伴うエネルギーを多く消費します。特に冬期はこの時間帯のエネルギー消費が最も多くなります。また始業時間に合わせて人の出勤に伴い、照明・コンセント負荷が急速に大きくなる時間帯です。
2.操業時間帯
この時間帯は、全日のうち最もエネルギー消費が大きくなります。このため、使用者自らの省エネの取り組みが消費量に大きく影響します。また、季節による空調負荷の変化に伴い、設備の運転効率の管理が重要な 省エネポイントとなります。
3.残業時間帯
業務開始の時間帯と比較して、エネルギー消費が緩やかに減少しますが、その一方で、一般家庭で電力需要が高まる夕食時とが重なる時間帯であり、帰宅ラッシュの時間帯ともぶつかるため、特に冬場では、社会全体のエネルギー消費が最も多くなります。この時間帯は、空調・照明コンセント共に部分負荷となるため、区画の限定及び設備の運転効率の管理が重要な省エネポイントとなります。
4.非使用時間帯
この時間帯は、就業時間外であるため一般空調が停止し、照明もほとんどが消灯していますので、昼間と比較してエネルギー消費が極端に少なくなります。但し、ベースロードといわれるように、ここで消費されるエネルギー量は、年間24時間を通して消費されるため、この時間帯の省エネ効果は大きいものとなります。