ビジネスを変えるスマートフォン
テクノロジーの進化というと、AIやVR、 3Dプリンターなどが例として挙げられるが、本調査結果でみる限り、ビジネスに最も 影響を及ぼしているテクノロジーはスマートフォンである。これはAPAC全体でも、日本においても同じ調査結果であった。600万種類にものぼるアプリの存在こそが、スマートフォンの有用性を高めていると考えられる。
しかし、不動産業界について言えば、アプリの導入はまだ黎明期である。会議室の予約や食事の注文、空調の調整など、複数のオーナーやテナントで使われているアプリはまだ極めて少ない。
ビジネスに影響を及ぼしているテクノロジーは?
テクノロジーの導入で変わる働き方・働き手に関わる変化
モバイルな働き方が可能に
テクノロジーの進化が働く環境へ及ぼす影響では、「モビリティが高まる」との回答率が最も高く、働き方の自由度が高まることを大多数の企業が予想。実際、働く場所として多様な選択肢を提供するワークプレイス(ABW)も浸透しつつある。
テクノロジー導入による「人件費の削減」については、自動化できない業務を担う人材は市場価値も高く、一人当たりの人件費は増加するとのAPAC全体の見方に対し、日本では業務の効率化で残業代が減る可能性の方に焦点が傾斜しているようだ。
広がるテナントの選択肢
今後のオフィス需要に関する調査では、 50%のテナントが減少すると回答。従業員数の減少のほか、スペースの効率的な利用が理由として挙げられた。一方、ビルオーナーはやや楽観的で、減少すると回答した割合は32%。スタートアップ企業や新たな産業からの需要が期待されているようだ。
また、オフィス外でのモバイルな働き方が可能な現在、他社との情報共有・交換が推奨されるトレンドが、コワーキングスペースなどのシェアオフィスに対する需要の源となっており、約50%のテナントが今後利用を増やすと回答。2019年に施行予定のIFRS第16号の新リース会計基準もまた、それらの利用を後押しする可能性がある。 賃貸借期間12ヶ月以上のリースはすべて負債としてバランスシートに計上しなければならないが、コワーキングスペースのメンバーシップであれば経費として計上が可能である。
ビルオーナーは、オフィス需要の新たな源として、約70%がシェアオフィスを歓迎。所有物件に独自のコワーキングブランドを立ち上げるケースも出始めている。
モバイルワークでスペースの使い方はより効率的に
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日本語版制作・監修 | CBRE リサーチ