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賃貸オフィス・事務所の記事

都市再生機構の開発

都市再生プロデューサーとして
社会ニーズに則した工場跡地開発を手がけ

独立行政法人都市再生機構
業務企画部都市再生プロデュースチーム チームリーダー 海岸 茂美
業務第二部市街地整備チーム チームリーダー 瀧 一三

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民間活力の誘導を前提とした都市再生プロデュース事業

私ども行政法人都市再生機構は、都市基盤整備公団と地域振興整備公団の地方都市開発整備部門が統合するかたちで、2004年7月に発足いたしました。その主な業務としては、「都市再生の推進」、都市基盤整備公団から受け継がれる約77万戸の「賃貸住宅の管理等の業務」、研究学園都市の建設促進や地方公共団体の委託に基づく震災復興事業などの「国家的プロジェクト等への対応」、過去に行ってきた施設整備などの「計画的に事業を完了すべき業務(経過措置業務)」などがあります。中でも、都市の活力を取り戻し、その魅力と国際競争力を高める「都市再生の推進」は、我が国が抱える緊急課題であり、最も大きなウエイトを占める業務であると言えます。そして、当機構の事業の大きな特徴となっているのが、以前の公団のように自ら事業を推進するのではなく、民間に存在する資金やノウハウを引き出すべく誘導し、その下支えをしながらプロデュースしていくことにあるのです。

具体的な切り口としては、まず、(1)工場跡地など「大規模な産業構造の転換に伴う大規模な土地利用再編」です。これは従来から行ってきたことであり、今後も京浜や京葉の臨海部を中心に活発になると期待されている部分です。その他、(2)駅前や内陸部の高度利用されていない既成市街地における「生活・交流・経済の拠点の形成」、(3)「都市の防災性の向上と密集市街地の改善」、(4)民間事業者に定期借地権で土地を貸与してのファミリー向けを中心とした「民間賃貸住宅の供給促進」、(5)すでに持っている賃貸ストックを活用した建て替えの実施や、福祉施設・子育て支援施設の併設を含めた「周辺生活拠点の整備」などを、民間活力を誘導しながら推進していくことが我々の事業方針となっています。

多様なスキームを駆使して初動期からコーディネート

では、どのように都市再生をプロデュースしていくのか。我々がキーワードにしているのが「コーディネート」です。工場跡地でも、所有したまま活用したい企業もあれば、すぐに売ってキャッシュにしたい企業もあります。単純に土地を買い上げたり、貸与したりするのではなく、こうしたニーズを満たすために、構想・計画作りの初動期段階から事業について先まで見越した計画を立案し、調整を進めるといったコーディネートが重要になっています。

以前までは、当機構(旧公団)が敷地をすべて買い上げ、自ら開発することが多かったのですが、今日では、自社開発を望む地権者に対し、必要に応じて工業専用や工業地域を住宅・商業系の用途地域に変える用途転換に関するノウハウを提供したり、手続きを進めるため、実際に行政との調整も行っています。また、売買の際の仲介や立地誘導を図るなど、様々な手法を駆使して、都市再生の実現に向けて業務を推進しているのです。

一例を挙げて説明しましょう。例えば工場を廃業した後に土地を有効利用したくとも、資金がなくてできないといった場合、我々がまず、その一部を買い取ることで基盤施設の投資のための費用を提供し、企業はそれを原資に土地の付加価値を高めることができる。つまり再生の第一歩を始めるための、お手伝いをするといったことでしょうか。さらに、工場用地を宅地などに転換する際には、基盤整備として道路計画を立てたり、土地の地形が悪い時には周辺の土地を含めた一体的整備を提案して敷地の形状を変えたり、公共施設を整備するため土地区画整理事業を推進することもあります。どのような手法が最適かを初期段階で提案し、最終的には民間企業が実施するビルや住宅建設をサポートするのです。

こうしたコーディネートを進める上で、当機構の大きな優位性となるのが、道路、公園などの公共施設の直接施行や受託、さらには区画整理事業等ができるという権能を利用して、都市開発事業の付加価値を高めることができることでしょう。また、地方自治体と調整して都市計画を変更したり、土地利用計画を作ったりというノウハウがあるため、それが一般のデベロッパーと比較しても、工場跡地などの大規模開発を実施しやすくしているポイントだと思います。

環境共生の街づくり住宅系整備事業の「新田」開発

一口に大規模な工場跡地開発事業と言っても、先に述べたとおり目的によって様々な手法があります。その具体例を、最近の案件を通してご説明しましょう。

一つは、東京の足立区で実施している新田三丁目地区(ハートアイランド新田)事業です。ここは平成8年にトーアスチール(株)より約19.7haの工場跡地を一括取得し、住宅の建設、公共施設の整備などを総合的に推進する住宅市街地総合整備事業という手法を活用して開発を進めてきました。同地は荒川と隅田川に挟まれた島状の地域で、道路や橋などの都市計画道路や都市計画公園の整備など、大規模な基盤整備が必要でした。それらの公共施設を、機構による直接施行で整備しています。また、国及び東京都によるスーパー堤防事業との連携により、災害に強い街づくりを行っています。

旧公団時代からの長期にわたる大規模開発事業であり、機構になってからは、建替団地等を除いて自ら賃貸住宅の建設・供給を行わないため、民間供給支援型賃貸住宅制度により賃貸住宅を供給しています。この制度は、都心居住の推進、良質な賃貸住宅の供給を促進するため、機構が整備した敷地を50年間以上定期借地し、民間の事業者がファミリー向けの賃貸住宅を建設・供給するものです。建設の基準としては、住戸規模は55㎡~91㎡の住宅が過半で、ワンルームタイプ等でも最小37m2以上。さらに用途別容積配分に自由度がある場合、つまり商業やオフィスが作れる場合でも半分以上は賃貸住宅とし、性能水準は国や機構の住宅と同様の性能を確保することを条件としています。また川沿いの街ということで、魅力的な川の手景観の形成についても力を入れ、デザインコンセプトを元にし、さらに住宅系らしい環境共生に力を入れた街づくりを進めています。

機構の直接施行による道路や都市計画公園などの整備と、こうした条件を踏まえた開発を実施することで、住宅を中心とした、美しく安全で快適な街づくりを実現していきます。

これからの開発モデルとなる複合型開発を実現した「川口並木元町」

サッポロビール埼玉工場跡地「リボンシティ」

大規模な工場跡地の場合、一般的には土地を全部買ってほしいと望む所有者が多く、新田はその典型的な例といえます。これに対し、リターンだけでなく自らリスクも持ち、共同開発を実施するケースもあります。それが二つ目の埼玉県川口市並木元町(リボンシティ)の開発計画です。ここは11.8haに及ぶサッポロビール(株)の工場跡地ですが、同社とは旧公団時代にも恵比寿ガーデンプレイスを開発した経験があることから、共同開発を希望していました。その中で、初動期の計画づくりの段階から機構に計画策定が委託され、道路付けなどの基盤整備、どんな施設を導入すべきかといった土地利用等のコーディネートをはじめたのです。そして初期の提案から協議を進め、最終的な土地処分の方法やその際の条件整理などを行いました。

開発計画としては、民間事業者による分譲住宅、戸建住宅、商業施設の展開及び、サッポロビール(株)によるレストラン・フィットネスクラブの運営です。そして、機構は一部敷地(2.3ha)を取得し、新田と同様の民間供給支援型賃貸住宅を実施。メインストリートとなる道路や公園は、機構が整備し、川口市に移管するというものでした。

川口市にとってこの工場は、税収面や雇用面も含めて重要な位置づけにあったはずですが、道路・公園用地などをサッポロビール(株)が負担することで地域に還元し、一方サッポロビール(株)としては、工場跡地の付加価値を高めて早期かつ好条件での売却等ができました。こうした地方自治体や地権者、事業者間の開発利益を応分にバランスよく享受できるように調整することが、プロデュースのもっとも重要なポイントであり、その意味で川口は、今後のビジネスモデルとなる案件だったと言えるでしょう。

地域のポテンシャルとニーズ見極めが必須条件

東京都心部の大規模な工場跡地開発は、すでにピークを過ぎたと言えるでしょう。京浜・京葉臨海部等については、産業構造の変化等による工場跡地等大規模低未利用地の土地利用転換における都市構造再編が望まれています。

当機構としては、工場跡地が出ればどこでも開発するというわけではありません。東京、大阪、名古屋、福岡の4大都市圏ならまだしも、それ以外の地方都市については、なかなか難しいというのが本音のところです。特に地方都市においては、中心市街地の活性化が重要なテーマであり、大規模工場跡地の土地利用転換は実態として厳しいものがあります。

大規模開発における施設等の建築物整備は、民間企業がその開発主体である以上、用途が住宅であれ、商業やオフィスであれ、それによってエンドユーザーに喜んでもらえる街が形成できるかどうか。言い換えれば、潜在力も含め、それだけのポテンシャルを持った地域かどうかが重要なのです。つまり、出口戦略が明確であることが大切であり、ニーズはあるのか、利用するユーザーがいるのか、あるいは公共団体の意向はどうかといった点を、案件が上がった時点で調査して決定していくことになります。その意味でも、川口のようなケースは、当機構が得意とする基盤整備や住宅系の開発と、商業やオフィスを得意とする民間企業が共同で進めた複合型都市開発の成功事例です。こうした実績を一つ一つ積み上げていくことが、民間による都市再生の推進をプロデュースする当機構の社会的に重要な役割だと認識しております。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2006年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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