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オフィスは本当に要らなくなるのか? テナントアンケートから読み解くオフィストレンド

ケーススタディ

2022年3月22日

リモートワークの拡大とオフィス不要論

オフィスはこれからも必要?

コロナ禍のリモートワーク拡大を経て、「本当にオフィスは必要なのか」との声がささやかれているが、その答えを、ビルテナントに対して実施した「オフィスの利用状況に関する調査」から探ってみる。

まずは、シンプルに「オフィスはこれからも重要か?」という問い〔グラフ1〕。ご覧のように、「重要度は低くなる」との答えはわずかに1割強で、8割近くがオフィスの重要度は変わらないか、あるいはさらに高まるとなっている。またこの回答は、経営層だけ、一般社員だけで見ても、その傾向に変わりはない。ただここで、「リモートワークがこれだけ普及しているのに、なぜ?」という疑問は生じるだろう。ましてや、「今までよりもさらに重要になる」というのは、このような環境下にあって一体なぜなのか。

もちろん、リモートワークが普及していないわけではない〔グラフ2〕。コロナ禍になる前から導入していたとする企業でさえ26%。合わせて9割程度の企業が、現在、何らかの形でリモートワークを導入している。では、リモートワークにどんなメリットがあるのか。今回の調査では、主なメリットとして「通勤時間の短縮」や「通勤の負担軽減」「感染リスクの低減」「ワークライフバランスが可能」「育児や介護との両立」といった点が挙げられている。もちろんこれらは、社員にとって重要なファクターであることに間違いはないだろう。ただ、企業活動そのものへの効果というよりは、今までのオフィス、あるいは社内制度の不備・不具合を補うような効果であるように捉えられる。昨今よく耳にする、「リモートワークで実は生産性が上がった」「プロセスがむしろ良くなった」等のメリットは、少なくともこれら項目からは読み取ることはできない。一方で、リモートワークの課題・問題点はというと、「従業員同士のコミュニケーション」「労働時間の管理」あるいは「部下やチームのマネジメント」といった、比較的社員の生産性や業務効率に直接関連する項目が挙がってくる。

リモートワーク導入率と生産性の変化

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リモートワークと生産性、個人や組織間の連携が課題

従業員の生産性に変化はありましたか。(単一回答) 

リモートワークと生産性という点を、直接「リモートワークを導入したことで従業員の生産性に変化はありましたか」と質問したところ〔グラフ3〕、「非常に上がった」「非常に下がった」の回答はいずれもゼロ。「やや下がった」が2割、「やや上がった」が2割と、ほぼ拮抗する結果となった。また、生産性と一言で言っても、職種や業種、あるいは会社での立場や個々の認識によって、色々な捉え方があるだろう。そこで、生産性に関連する項目をいくつか分解し、それぞれについて増減を聞いた設問がある。リモートワーク導入により「増えた」との答えが最も多いのが「従業員のモチベーション」だ。ただし、それでも「増えた」と「減った」の割合は、ほぼ同じ。この「増えた」「減った」のギャップが大きく、最も「減った」に振れているのが「個人や組織間の連携」で、これが減ったと感じる割合は、半分以上を占めている。つまり、リモートワークの導入により、個人や組織間での連携、コラボレーションが減ったことで生産性が低下したのではないかと考える方が、相当数いるということである。

オフィスの弱点を補うか? メリットを強化するか?

ワークプレイスの形態 

では、今現在、どういうオフィスで働いているのか〔グラフ4-左〕。最も割合が高かったのは、全部が固定席のオフィスでほぼ6割を占める。そして、今後の予定はとの問いでは〔グラフ4-右〕、「全部固定席のまま」との回答は3割弱に減り、圧倒的多数が、何らかの形で自由席タイプにするとなっている。オフィスの座席をフレキシブルにしたいという強い要望のなか、そこで何をしようとしているのか。

働く場には、今、どういう役割が求められているのか。その答えは次の問いからうかがい知ることができる。〔グラフ5〕のレーダーチャートは、働く場所を、既存オフィスに代表されるリアルなオフィス、自宅、コワーキングスペースやシェアオフィスといったフレキシブルオフィス、そしてカフェや図書館の4種類に分け、それぞれの効率性を8個の業務スタイルで評価したものだ。より多くの項目でよりスコアが高ければ、円が大きくなるようなグラフになっている。

緑線のリアルオフィスが最も大きな円を描いているのは一目瞭然。なかでも、コミュニケーションやコラボレーション、そして組織・チームの一体感醸成の場といった項目では、他の働く場所を圧倒しているのが分かる。一方、集中するための場としては、オフィスは他の場所と比べて大差ない。アンケートで新設や増設するスペースを聞いた設問があるが、そこでは、一人で電話やWEB会議をする、一人で集中して作業するためのスペースとの回答が最も多かった。これは言ってみれば、「集中するための場所として必ずしもオフィスがベストではない」というオフィスの弱みを補うためのものだろう。もう一つ圧倒的に多かったのが、社内外のコラボレーション、あるいはコミュニケーションを促進するための場所づくりとなっている。

どこでどう働くか? 

イノベーションを生む協働の場、それこそがオフィスの役割

今、多くの社員がリモートワークを用いてオフィスから離れて働けるようになり、どこでも働ける自由さ、あるいは通勤しなくてもいい利便性を享受するようになった。一方で「やはりオフィスでなければできない」という点が、改めて認識されているのではないだろうか。それは一体なにか。それはまさに、社内外の人と集まり協働する、アイデアを出し合う、そういったところからイノベーションを生み出す、という点であることは明らかだ。と同時に、オフィスがワークプレイスのすべてではないということは、間違いなく大多数の人が感じている。今後、センターオフィスをどのような割合で運用されるかを聞いた問いでは、「100%オフィスです」「オフィスでしか働きません」との回答は、わずか1割にすぎなかった。

オフィスの進化とともにボーダーレスワークの構築

オフィスとともにそれ以外の場所、つまり在宅やコワーキングスペース・シェアオフィスを併用した働き方。これは、経営層を含め多くの社員に志向されている。そんななか、これからの働き方はどうなるのかは「ボーダーレスワーク」というコンセプトで表現できる。これまでの働き方は、すべての業務をオフィスという囲いの中で完結させてきた。その囲いを外す、まさにボーダーレスとなる。それぞれの業務、それぞれが働く人に応じて最も適した場所あるいは環境を選ぶことができるのが、これからのオフィスである。別な言い方をすれば、これまでは、オフィスに合わせて個人が働き方を合わせていくスタイルだったが、これからは、人や働き方に合わせてオフィスを変える、あるいは働く場所を変えていく。これが、これからのオフィスのあり方なのだと言い切っても、決して過言ではないだろう。

アンケート概要 

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上記内容は BZ空間誌 2022年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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