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地域再生のポイントとは?

内からの活性化を図るために"選択と集中"で魅力ある地域を創生

株式会社産業立地研究所
代表取締役社長 真野 博司

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人口推移、所得ともに厳しい地方

大都市圏に比べ、地方圏は非常に厳しい状況です。経済産業省などの調査でも、東京、名古屋、大阪の大都市圏の経済指標(人口、所得、出荷額、雇用など)が活況を呈している半面、地方圏は横ばいから伸び悩んでいる状況です。地方圏でも、札幌、仙台、広島、福岡などの地方の中枢都市は元気ですが、それ以外は元気がありません。

こうした東京など大都市圏への一極集中・一人勝ちといった問題は今に始まったことではなく、高度経済成長の時代から長きにわたって取り沙汰されてきたものです。

大都市圏の過密を防止し、地方圏の過疎を解消するため、工場の地方分散などの政策はとられたものの、企業はいつの時代も市場原理で動くもの、必ずしも功を奏したとはいえません。

また、せっかく誘致した工場がさらに安価な労働力と土地を求め、中国などに移転してしまった例も少なくありません。これは地方にとって痛手です。

一方、技術、ノウハウの流出防止などを理由に、ものづくりの国内回帰、すなわち先端技術産業を中心に国内での大型工場建設が活発になっていますが、これも既に産業集積のある地域が中心です。国内立地は今後も増えるでしょうが、これはコストの安さというよりは国際競争力を高めることができる事業環境を求めてのもので、コストの安さは、これからも中国、ベトナム、インドなどに求めていくでしよう。

いずれにしろ、地域活性、地域再生という課題は、大都市圏、地方都市圏ともども、実現しなければならない大きなテーマです。

産業クラスター計画発進地域の魅力を発揮するために

では、地域活性、地域再生のポイントとはなんでしょう。ズバリいえば、地域の産業資源を最大限に活用することに尽きます。産業資源とは、地域に顕在、潜在する産業、企業、技術、大学、国公立研究機関、人材、農林水産資源、天然資源などを指します。

幸い、産業については、経済産業省による「産業クラスター計画」、文部科学省による「知的クラスター創成事業」が始まっています。いずれも地域の産学官連携による、新産業、新事業、新企業の創出を目指す中核プロジェクトです。

産業クラスター計画は、2001年にスタート。全国の8地域経済産業局と内閣府沖縄総合事務局が拠点となり、全国19プロジェクトが展開中で、約6,100の中堅・中小企業、約250の大学、多数の産業支援機関が参加しています。バイオ、IT、環境などのテーマを設定し、地域の企業、大学、公設試験研究機関、サポーター(産業支援センターやインキュベーターなど)が連携し実現させてくという試みは、これまで見られなかったものです。

知的クラスター創成事業は、01年に調査が実施され、02年度から開始されたもので、37の大学など中核研究機関、84の関連研究機関、260の研究開発型企業が連携して、研究開発に取り組んでおり、その成果を新産業、新事業、新企業の創出に繋げるとしています。

二つの計画とも新産業創出などの目的は同じであり、両省が協調して推進していますので、地域にとっても、心強い地域活性、地域再生のプロジェクトになるでしょう。これらのプロジェクトが成功すれば、地域の創造と革新の基盤が強まり、それ自体が国際競争力の強い事業環境になるため、外からの企業誘致にも大きな効果をもたらすことになります。

両プロジェクトは国主導で進められていますが、これからは、地域でこれに相乗りしたり、これに倣って、地域独自のクラスターづくりに取り組むことも必要でしよう。

これまで自治体は、外から工場を誘致すれば地域が活性化するとし、企業誘致に力を入れてきました。正しい行為です。今後も、基盤整備、補助金制度の充実などにより、誘致活動に力を入れていくことが必要ですが、これに並行して、独自のクラスターにより地元のすばらしい技術やノウハウを持つ中堅・中小企業を発見し、産学官連携などにより、育成していくことが、地域力を強めるために必要なのです。

地域が活性、再生していくためには、産業を域外から導入することと、産業を域内から内発していくことの両輪が不可欠です。これまで、企業誘致などの域外に政策の光が当たっていましたが、これからは域内にも、もっと光を当てることが必要になります。県版クラスターは、良いきっかけになるでしょう。

自治体独自の産業政策が必要"選択と集中"で勝ち組へ

地域が自律的発展を遂げていくためには、少なくとも都道府県、政令指定都市ともなれば、しっかりとした産業政策を持っていなければなりません。産業政策というからには、当然、政策資源の配分を伴ったものであることは言うまでもありません。そうでないものは産業政策と称していても、それはビジョンであり、政策ではありません。

産業政策を作るためには、行政がまず地域の産業資源をよく知る必要があります。地域の企業、大学、技術、人材などの集積をよく見極め、目利きし、それによって何ができるかを判断し、プロジェクトと主体を決め、政策資源を的確に配分する。途中で政策評価を実施し、続行、中止に躊躇することがないようにするべきです。自治体が自らの地域の強みと弱みを正確に把握していなければ、どこの地域も同じ、何をやっても同じ金太郎飴の施策を打ち出すことになり、これでは成果があがりません。

例えば、「バイオ」。全国の大学の多くが研究に取り組んでいます。行政の中には、地域にバイオに取り組んでいる大学があることから戦略産業をバイオと決め、新産業の創出などを計画することが少なくありません。これは短絡的すぎます。

その前に、大学の研究水準、事業化の熟度、市場性などを概略ででもいいから把握し、強み、弱みを明確にし、世界的に通用するものか、国内的なものかといったことを見極めることが必要でしょう。

強みについては、政策資源を重点配分し、強みをますます強め、弱みについては、弱みを強みに変えるための方策を検討し、うまく行きそうになければ、戦略産業としての位置づけを諦めることも必要です。

"選択と集中"をするべきなのです。自治体も大競争時代ですから、他の自治体との差別化を行い、生き抜いていく"武器"が必要となっています。

三重県、島根県、大分県、沖縄県、横浜市など、最近、企業誘致に成功しているところは、いずれも誘致する業種や補助金交付などについて、明確な戦略を持っています。また、今、京浜臨海工業地帯が日本最大のリサーチパークへ変わろうとしており、大企業の研究所の新設、増設が始まっています。これは、神奈川県、横浜市、川崎市が京浜をリサーチパークにしようとのビジョンを掲げ、誘致活動を展開し、優遇措置を講じているからです。

国際競争力を高める事業環境の整備と人材育成

製造業では、海外工場の撤退も含め、国内回帰の現象が起こっています。工場や研究所の立地は適地適産がベストですから、国内立地するものもあれば、国外立地するものもあります。いずれも、企業にとって都合の良いところに立地するもので、その自然の流れは変えられません。

このうち、国内で地球規模の大競争に挑戦する企業は、国益、地域益に叶う企業です。この国内に居を構え、世界に挑戦する企業に対して、国や自治体は国際競争力を高めることができる事業環境を整備し、積極的に支援するべきです。

かつて我が国が加工貿易立国を目指していた時代、その主役である鉄鋼、石油、石油化学などが求める工場のスケールメリットに対して、国は臨海部に広大な用地、大水深の港湾、大量の工業用水からなる工業地帯を整備しました。これら基盤整備が鉄鋼などの国際競争力を高めたことは記憶に新しいところです。

今、主役となる産業は変わってきましたが、企業が国際競争力を高められる基盤整備を必要としていることは変わりません。その一例が、クラスターづくり、大学・国公立研究機関の知的資源の有効活用、総合的事業支援機能であるプラットフォームの整備、ベンチャーなどを孵化させるインキュベーターの整備、外国の研究者や技術者が定住・滞在できる拠点の整備、グローバルスタンダードのリサーチパークの整備、補助金、税制の特典、規制緩和などです。自治体が企業のニーズを的確にキャッチし、国際競争力を高められる事業環境づくりができるかが、ポイントになってきています。

地域の産業振興で目指すべきは、「世界で一番」、「日本で一番」という産業のメッカをつくることです。「地域で一番」、「県で一番」でもいいでしよう。個性ある産業の振興を図るというのも一つの手。逆に「そこまでなれないよ」というのであれば、一つずつは小さなものづくりでも、これを束ねて大きくしていく方法もあります。

最後に一言。地域活性、地域再生のために必要なことの一つは、首長のフィロソフィーとリーダーシップ、自治体の職員の熱意と行動力と責任感です。03年夏に内閣府と経済産業省が自治体の職員やベンチャー企業、NPOの中から選んだ「地域産業おこしに燃える人」のような人たちの存在です。自治体などの中に、地域に愛情を持って、地域力を強めるために、一汗も二汗もかく燃える人が多くなってきたことはすばらしいことです。

人材が育ってきている地域は、必ずや内からの活性、再生によって、輝くことになります。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2005年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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