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株式会社コロプラ|プロジェクトケーススタディ

コロプラ

スマホ向けゲームの開発・運営を行うコロプラは、2022年2月、本社を東京ミッドタウンに移転した。その最大の狙いは、科学的根拠に基づく最新の感染症対策オフィスの構築。一般的な施策に留まらず、専門家を巻き込んでまで感染症対策を徹底する理由を聞くと、そこには同社のオフィスに対する独自の考え方があった。コロナ禍で先行き不透明な状況で進められた本社移転の全貌をレポートする。

従業員に安心して出社してもらうため、
専門家とタッグを組み、科学的根拠に基づく感染症対策オフィスを実現。

エビデンスに基づく感染症対策による出社の推進
株式会社コロプラ

コロプラ

専門家を巻き込みつくった最新の感染症対策オフィス

世界初の位置情報ゲーム「コロニーな生活」から始まり、スマートフォン向けゲームを中心に“新しい体験”を生み出し続けているコロプラ。同社は今年2月、本社を恵比寿から六本木の東京ミッドタウンへ移転した。

この本社移転の最大の狙いは、「感染症対策特化型のオフィスをつくること」と話すのは、本社移転の責任者である原井義昭氏(取締役CFO兼CHRO)だ。コロナ禍で、どの企業も消毒液やパーテーションの設置、ソーシャルディスタンスなどオフィスの感染症対策には細心の注意を払っているが、コロプラの感染症対策は一般的にイメージするそれとは大きく異なる。暮らしや働く空間の専門家であるパナソニック ライフソリューションズ社の「くらし・空間コンセプト研究所」の協力を得て、「科学的な根拠をもとに最先端の感染症対策を施している」(原井氏)という点が最大の特徴である。

移転プロジェクトのリーダーを務めた森林太郎氏(コーポレート本部 経営管理部 部長)は、感染症対策の方針として、「基本である手洗いとマスクに加えて、接触感染、飛沫感染、空気感染の感染経路ごとに対策を講じていきました」と説明する。例えば、一般的な飛沫感染対策の一つにパーテーションの設置があるが、この点一つ取っても、「対策の優先順位としては、マスク>パーテーションであることが科学的根拠により明らかだったので、普段はマスク着用の執務室にはパーテーションは置かず、食事などマスクを外す場所に置こう、という議論をしました」。また、接触感染対策では、入退室箇所に手洗い機器や消毒ホルダーを増設したほか、床材や什器に抗ウイルス素材のリノリウムを採用。「CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が病院レベルでは絨毯を非推奨としていることを根拠に素材を探した結果、天然素材でESGも意識したリノリウムにたどり着いた」という。一方、接触感染対策を徹底するなら自動ドアが最適だが、「オフィスをすべて自動ドアにするとコストがかかりすぎるため、肘を使ってドアを開閉できるドアノブアタッチメントという現実的な判断に落ち着きました」(森氏)。

一般的には「感染症対策に良い」とされていることでも、「科学的根拠がない」という理由で取り止めた施策もいくつかあったという。信頼できる科学的根拠としては、「最終的には主に厚生労働省やCDCに行きつきました」と森氏は話す。

大勢のプロが関わるゲーム開発「安心して集まれる場所」は必須

コロプラ

同社はなぜ、科学的根拠を担保してまでオフィスの感染症対策を徹底したのか。その背景には、同社が従業員に期待する働き方とオフィスに対する独自の考え方がある。

コロナ禍で“密”を避ける動きが広がると、同社も従業員の安全を考慮して、早い段階で在宅勤務制度を導入した。コロナ前は、当時本社を構えていたビルで「フロアの空きが出たら押さえることもあった」(原井氏)というが、リモートワークへの移行に伴い、2020年5月にはオフィスを4割解約し、2,200坪に縮小した。

一方、同社のゲーム開発の進め方を考えると、「すべてリモートワークで成り立たせることは難しい」。原井氏によると、今、一つのゲーム開発にかかる年数は数年、開発費用総額は10億円超にも上り、「大作映画を作るようなもの」だという。「映画に俳優、監督、カメラマン、メイクアップアーティストなど大勢の人が関わるのと同じように、ゲーム開発にもプランナー、エンジニア、デザイナー、サウンドクリエイターなど様々な職種のプロフェッショナルが加わります。もちろん、それぞれがパソコンに向き合って作業する時間もありますが、みんなが取り組んだことを一つの総合芸術作品として作り上げていくところが、ゲーム開発の本質的な部分であり、最も難易度の高いところです。クリエイティブなものを作るには、顔を合わせたコミュニケーションが重要だと考えています」(原井氏)。

ゲーム会社によっては、大部分のクリエイティブを協力会社に委託するケースもあるが、同社は「自分たちで新しいものを作り上げたい」という気持ちが強いため、社内のクリエイターやエンジニアたちによる自社開発にこだわっている。コロナ禍では安全面からリモートワークの選択肢も必要としながらも、「会社として目指す姿は、出社してコミュニケーションを取ってもらいたい。そのために『従業員の安全を考慮したオフィスをつくろう』という議論が取締役会で必然的に生まれてきました」と原井氏は話す。

「全員出社の時代は完全に終わった」認識の共有で腹が据わった

移転を検討し始めたのは、コロナ感染症が蔓延してきた2020年夏頃のことだ。築年数を経た入居ビルでは「万全な感染症対策を講じるには換気機能が弱い」という課題があり、換気対策ををしながら工事を行ったうえで既存のオフィスに留まる選択肢もあったが、「オフィスで働きながら、大規模な感染症対策を進めるのは現実的に不可能」(原井氏)と判断し、新しい環境で感染症対策特化型オフィスをつくるという決断に至った。

加えて、旧オフィスは3フロア、全部で五つのエリアに分割されていたため、社内でコミュニケーションがとりづらいという課題もあった。そこで、ワンフロア面積が広いことを条件に移転先を探した結果、複数の候補の中から東京ミッドタウンに決定。2020年11月、ミッドタウン・イーストの5~6階、合わせて2,240坪を契約した。

2020年11月といえば、東京はコロナ感染の第3波に見舞われ、先行き不透明な時期。アフターコロナの状況や働き方がどうなるのかも分からず、オフィスに必要な面積を見極められずに、移転に踏み切れなかった企業も多かったはずだ。そのような状況にもかかわらず、同社が移転を決断できたことには驚きを禁じ得ない。それについて原井氏に尋ねると、「コロナの影響で一部解約した時の議論で、『もう全員が出社する時代は完全に終わった。これは不可逆的な変化だ』という認識を経営陣が共有できたことが大きかったかもしれません」と振り返った。

その際、大いに参考になったのが、取締役会で過半数を占める社外取締役の意見だったという。「社内だけの議論では見方が偏りますが、いろんな会社の取り組み状況を聞けたことで、自分たちの進むべき方向に確信を持つことができました。たとえ、結果的にコロナが収まったとしても、シンプルに『風邪をひかないオフィス、社員の健康を考えたオフィスでもいいじゃないか』と腹を括れたのはよかったと思います」(原井氏)。

コロナ禍で、すでにオフィス面積を4割減らしている。会社としては、万全な安全対策を施したうえで、社員にできるだけ出社してもらいたい。オフィス面積はこれ以上減らす必要はない――。新本社オフィスの2,240坪という数字は、これからの働き方を見据えた経営陣の意思から導き出されたものだった。

ウイルス専門家ではなく科学的データを集める専門機関に依頼

コロプラ

ここからは、具体的なオフィスづくりのプロセスを追っていこう。

移転プロジェクトは、「科学的根拠に基づく最先端の感染症対策特化型オフィス」への思い入れの強かった当時の社長、馬場功淳氏(現代表取締役会長兼チーフクリエイター)のトップダウンで進められた。コンセプトが明確だったため、プロジェクトチームは総務部門を中心に、情報システム部門のメンバーを加えて構成された。トップダウンで進められたことについて、プロジェクトリーダーの森氏は、「2020年春の段階で、馬場は専門家を除く他の誰よりもコロナに詳しいだろう、と思うくらいコロナに詳しかったですし、コロナ対策を経営の最重要課題と認識していました。そんな経営陣が決めたことに対して、我々社員は信頼を置いていました」と当時の状況を語る。

11月に移転先が決まってすぐ、PM会社を(株)ディー・サイン社に決めた。次に取りかかったのが、感染症対策に科学的根拠を担保するために、協力してくれる専門家を探すことだった。「最初は大学の教授に依頼できないかと考えていましたが、彼らはオフィスづくりに関しては素人ですし、当時(2021年1月)は第3波が猛威を振るっていて、ウイルスの専門家は猛烈に忙しかった。逆に言えば、そんな状況で、オフィス移転の感染症対策に付き合ってくれる専門家って大丈夫なの?という懸念がありました(笑)」(森氏)。

そのとき、「ウイルスの専門家ではなく、それら科学的データを集めている専門機関を当たったらどうか」というディー・サイン社の提案が突破口となって、パナソニックのくらし・空間コンセプト研究所にたどり着いたという。2ヶ月ほどかけて、冒頭で紹介したような新オフィスに必要な感染症対策の具体案を固め、その案をデザインに落とし込むことを条件にコンペを行い、4月にデザイン設計事務所がSIGNAL社に決定した。

計画した感染症対策の中で、最も難易度の高かったのが、換気機能の強化だったという。厚生労働省の基準では、1時間で部屋の空気を2回転させること、1時間一人当たり30㎥を確保すること、が定められている。「B工事で換気機能増強を目一杯やってもらいましたが、それでも計算上どうしても基準に達しない部屋が出てきてしまいました。そこでパナソニックさんとも相談し、原則は換気で外気(フレッシュエアー)を入れ、それがどうしても間に合わない場所には、HEPAフィルター付空気清浄機を設置して、空気をきれいにしようと(クリーンエアー)。このフレッシュエアーとクリーンエアーを合わせると、30㎥/(h・人)の基準を満たせます。B工事で満たせない部分はこうやって補っていきました」(森氏)

旧オフィスでバンクがわかれていたため課題だった社内コミュニケーションの断絶は、「新オフィスを見晴らしのいい2フロアに集約したことで改善できる見込み」(森氏)だという。同社には旧オフィス時代から、「コロパーク」と名づけられた大きなコミュニケーションエリアがあり、新オフィスでも200坪ほど確保されている。ここでは人が集まってランチを食べたり、休憩したり、自由に時間を過ごすことができる。コロナ禍では人が集まることが難しいが、新オフィスではマスクを外すことが想定される場所にはパーテーションを設置するなどして、「人が集まることのリスクを低減できるような感染対策を施しました」と森氏は話す。

挑戦を尊重する企業文化が前例のないプロジェクトを実現させた

コロプラ

科学的根拠に基づく感染症対策の徹底という、前例のないオフィスづくりに挑戦したコロプラ。このプロジェクトを実現できたのは、挑戦する企業文化であることも大きいようだ。同社には、「Try(新しいことへの挑戦)、Value(価値あるものづくり)、Believe(自分とチームの力を信じて乗り越える)」という行動指針がある。プロジェクトチームの活躍について原井氏は、「まさにこれらの行動指針を体現してくれました。こういう文化があるからこそ、難しいお題が降りてきたときに、『大変だけどやってみるか』と頑張ってくれたのだと思います」と評価する。

一方、社員側からみても、経営層の意思決定の透明性が高いため、挑戦しやすい環境だという。森氏は、「論理的に正しいとか、コストパフォーマンス的にどうかを明示すれば、それに対してフラットな判断がなされます。『やったことないから』とか『それはやり過ぎじゃない?』と反対されることがないので、非常にやりやすいです」と話す。

まだしばらくは、コロナは予断を許さない状況が続きそうだ。森氏は、「会社の財産である人を大切にしていくためには、オフィスが安全であることが大前提です。新オフィスは、今考え得る最高の安全対策を施したと自負しています。従業員の皆さんには、安心してオフィスに来ていただきたいと思います」と話す。

企業名 株式会社コロプラ
施設 本社オフィス
所在地 東京都港区赤坂9-7-2 東京ミッドタウン・イースト 5・6F
稼働開始日 2022年2月
人員 単体:890名(グループ全体:1,454名) ※2021年9月末時点
規模 2,240坪
定休日 火曜(第5週・祝日を除く)・水曜(祝日を除く)
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上記内容は BZ空間誌 2022年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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