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株式会社サンゲツ

ケーススタディ

2015年12月7日

商品の見やすさ・選びやすさを追求しライフスタイル提案型へと進化した、
旗艦ショールームの移転プロジェクト。

エントランス

インテリア業界の最大手であるサンゲツは、今年7月、東京・六本木にあった東京ショールームを品川に移転し、リニューアルオープンした。従来の約1.5倍にスケールアップした新ショールームは、商品を見やすく選びやすくするための配慮が至るところに施されている。消費者のニーズに対応すべく進化させた旗艦ショールームの移転プロジェクトを取材した。

消費者ニーズの変化に応える コンテンツ拡充が課題

サンゲツ

サンゲツは、主に壁紙、床材、カーテンを扱うインテリア専門商社である。同社は今年7月、東京・六本木の東京ショールームを品川に移転し、「東京品川ショールーム」としてリニューアルオープンした。東京品川ショールームは、全国6ヶ所にあるショールーム(東京、名古屋、大阪、岡山、広島、福岡)のうち旗艦ショールームとして、同社が取り扱う商品約13,000点のほぼすべてを展示している。

サンゲツの商品は、インテリア専門店や百貨店、ホームセンターなどで販売されるほか、多くは、住宅メーカーや建設会社が施工する建物の内装材として使用される。そのため、PR活動は主に設計事務所やデザイナーなどビジネスユーザー向けに行われている。そのような中で、ショールームは唯一、エンドユーザー向けにも商品をPRする場となる。同社マーケティング部プロモーション課長の髙木史緒氏は、「エンドユーザーの皆様がサンゲツの商品を総合的にご覧いただける場を設けることで、ハウスメーカーや施工業者などの皆様が、お客様をショールームへご案内することができれば、付加価値の提供につながります。また、デザイナーや設計士にとっても、通常は見本帳をもとに商品を検討していただいていますが、ショールームでは現物を手に取って色や感触を大きなサイズでご確認いただけるなどのメリットがあります」とショールームを構える意義について話す。

東京ショールームは、過去29年間六本木を拠点にしていた。近年の消費者ニーズの変化に伴い、同拠点の364坪というスペースでは表現しにくいことも増え、より広い場所への移転が以前から検討されていたという。「10年以上前は、ショールームの一般来場者の約7割が新築を検討されるお客様でしたが、今は約6割がリフォームを検討されるお客様となっています。従って、リフォーム需要にも応えられるコンテンツ拡充が課題でした。また、新築需要だけを見ても、従来は壁紙の展示スペースに十分な広さがなく、常時混雑が問題になっていました。さらに、住宅分野だけでなく、病院や商業施設、オフィスなどの非住宅分野に対応するコンテンツや、シミュレーションなどのITコンテンツ拡充も検討課題でした」(髙木氏)

内装材を魅力的に展示できる 天井高が決め手

サンゲツ

移転計画が具体的に動き始めたのは、2014年7月、社長交代による新体制の発足がきっかけだった。「人事制度や組織の見直しが行われると同時に、各部署の“あるべき姿”が議論されました。その中には、エンドユーザーへの最大のタッチポイントであるショールームの改革も含まれており、東京ショールームの移転計画が実施されることになったのです」と髙木氏は話す。

同年夏、移転先の物件探しが本格的に始まった。新宿や銀座などブランド力のある土地を中心に、住宅系ショールームを訪れた人が立ち寄りやすい場所なども考慮しながら検討を重ねた。最終的に「品川グランドセントラルタワー」に決めたのは、天井高が決め手だった。「内装材のショールームにおいて、商材がどのように見えるのかは重要な要素です。オフィス仕様の高層ビルの天井高は通常2,800~3,000mmですが、このスペースは元々自動車のショールーム用に設計されたこともあり、中央部分の天井の抜け感が大きな魅力でした」(髙木氏)。加えて、品川駅から徒歩5分というアクセスの良さ、2020年に開業が予定されている品川新駅を目玉とする地域開発への期待感も決断を後押しした。また、東品川にある東京支社から程近い立地は、営業活動の効率化という面でもメリットがあった。

2014年11月には移転先が決定。その8ヶ月後の2015年7月30日を新ショールームオープンの日と決め、移転が急ピッチで進められることになった。移転日を決めるにあたっては、旧ショールームが入居する建物との契約終了期日や、移転先の建物との契約開始期日を踏まえ、ショールームの閉鎖期間が最短になるスケジュールを探った。

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その後、コンペにより設計施工会社を選定。物件を紹介したCBREが、引き続きプロジェクトマネジメントでも参画することが決まった。「これだけ大規模なプロジェクトを我々だけで管理するのは難しいと判断し、CBREに移転のマネジメントをお願いすることにしました」と髙木氏。社内では、全国のショールームを統括するマーケティング部と現場スタッフ、東京支社総務部のスタッフを合わせた計10名が中心となり、2015年2月、移転プロジェクトがスタートしたのである。

従来の1.5倍のスペースに ライフスタイル提案ブースを新設

サンゲツ

新ショールームは、「見る楽しさ」「選ぶ楽しさ」「組み合わせる楽しさ」を重視し、インテリアのクローゼットを連想させる空間づくりを目指して「GOOD LIFE CLOSET」というコンセプトを打ち出した。

旧ショールームとの大きな違いは、従来の約1.5倍というスケール感のみならず、来場者の個性や好みにフィットした空間アイデアを提供する「ライフスタイル提案型」のショールームであるということだ。それを象徴する展示として、ショールームの中央には、住まう人の様々なライフスタイルをイメージ別に表現したリアルサイズの「スタイリングブース」を新設。ライフスタイルの空気感を小物なども使って演出するため、プロジェクト全体監修デザイナーに加えて雑誌や広告分野で活躍する3人のスタイリストを起用した。

スタイリングブースの周辺に配置した商品展示コーナーでは、見やすさや選びやすさを追求した展示什器を新たに導入。例えば、床材のサンプルが収納されている引き出し型の什器は、引き出しを斜傾に配置することでサンプルをインデックスとして一覧できるようにし、視認性を高めた。また、壁紙、床材、カーテンのサンプルは展示什器から取り外し可能で、打ち合わせスペースに設置されたスタイリングテーブルでコーディネートを検討できるようにした。「従来の展示什器を細部まで検証、改善を加え、スムーズに商品を選定していただけるよう配慮しています」と髙木氏。

1LDKのマンション1戸(約80㎡規模)をリアルスケールで再現した「アイディアハウス」では、汚れ防止や消臭などリフォーム需要にも対応する機能性商品を展示している。また、病室のモデル提案など、非住宅分野の商品やコーディネートを検討するコーナーとして「インテリアラボ」を新設。ライティングシミュレーションやカーテン遮光性比較などの実験ができるほか、タッチパネルでは商品納入の事例検索もできるようにした。

サンゲツ サンゲツ サンゲツ

従来30名収容だったセミナールームは、個々の打ち合わせから最大100名のセミナーまで多目的に利用できるようスペースを広げた。オープンなスペースにすることで、カーテン販売会などビジネスユーザーのイベント利用も想定している。また、新ショールームでは来場者にiPadを貸し出し、壁紙や床材、カーテンのコーディネートシミュレーションをはじめ、商品検索やサンプル請求、プランシート作成のサポートサービスも始めている。

リニューアルオープン後は 従来の120%の来場者

サンゲツ

移転まで8ヶ月という短期間でのプロジェクト進行には苦労もあったようだ。「限られた時間で検討し、決断しなければならない苦労があったのはもちろん、新体制が始まってから並行して進められていたコーポレートブランディングの取り組みとのすり合わせにも気を使いました」(髙木氏)。新ショールームオープンの告知広告の打ち出し方や、ショールームスタッフの制服デザインなどは、コーポレートブランディングが密接に関わってくる。例えば今回、品川駅新幹線改札正面にかかる巨大バナー広告に初出稿するなど新たな取り組みを行った一方で、広告デザインは見本帳のデザインを手がけるデザイナーを起用するなど、コーポレートブランディングとの統一感も意識している。

テナントとして、広告の打ち出し方や、ビルの共有・専有部分の仕様変更については、入居先ビルとの調整も必要だった。「CBREのプロジェクトマネジメントに間に入ってもらったおかげで、ビルオーナーとの調整は非常にスムーズに進みました」と髙木氏は話す。

新ショールームがオープンして、来場者は従来の120%に増えた。休日は1日に600人が訪れることもあるという。「休日にはご家族で来場され、楽しみながら商品を選ばれています。私たちが想像した以上に、サンプルを展示什器から取り出して、スタイリングテーブルでコーディネートを検討されている様子が見受けられます。私たちが望む使い方がされており、非常にうれしいですね」と髙木氏。従来とは異なる新しいショールームを目指した結果、理想に近いショールームが実現できた手応えを感じている。

サンゲツ

今後は、東京品川ショールームでの実績をモデルケースとして、全国のショールームの改装計画に生かしていく予定だという。また、既存のショールーム以外にも、リフォーム需要を中心とした打ち合わせスペースとしても使える小型ショールームを展開していきたい考えだ。消費者ニーズの変化に対応したライフスタイル提案型ショールームが、新生サンゲツのさらなる飛躍にどのように貢献するのか期待される。

プロジェクト詳細
企業名 株式会社サンゲツ
拠点部門 東京品川ショールーム
所在地 東京都港区港南2-16-4
施設 品川グランドセントラルタワー
移転時期 2015年7月
CBRE業務 ショールーム移転に向けた物件紹介・仲介 プロジェクトマネジメント

 

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上記内容は BZ空間誌 2015年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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