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日本イーライリリー株式会社

既存資産のバリューアップ。
“人が訪れる”ことを意識したブランディングと企業の一体感を醸成する、
研修センター設立プロジェクト。

研修センターエントランス

医薬品のリーディングカンパニーである米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人、日本イーライリリー社は、2013年1月、神戸市西区高塚台の西神工場と一体化した研修センターを設立した。ただ単に施設をつくるだけでなく、これまで製造に特化し無機的であった工場にブランディングを構築し、つくるだけの工場から、見せる工場、さらに魅せる工場へと進化。既存拠点の新たな可能性の拡大に取り組み、人が来て、見て、楽しめる拠点づくりを取材した。

MRの採用人数の増加により 研修センターの設立へ

イーライリリー ロゴ

日本イーライリリー社は、米国インディアナ州インディアナポリスに本拠地を置き、世界125ヶ国以上で事業を展開する、イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人である。イーライリリー・アンド・カンパニーは1876年に創業。1923年に糖尿病治療のためのインスリン製剤の実用化に世界で初めて成功して以来、数々の革新的新薬を開発・提供することを理念とする、研究主導型グローバル企業として医薬品業界をリードしてきた。日本との関わりも古く、国内でも100年以上前に、イーライリリー製品のマーケティングがスタートしている。

米国本社の理念を受け継ぎ、日本イーライリリー社が設立されたのは1975年。現在社員数2,400名(営業担当MR1,500名)、本社、工場のほか、国内に支店6ヶ所、営業所23ヶ所と、米国に次ぐ規模を持つ組織で事業展開している。

今回のプロジェクトのメインである、研修センター設立の発端となったのは1981年に設立された西神ラボラトリーズと呼ばれる製造施設の再構築である。プロジェクトの発案者であり責任者の同社製造部統括部長高橋孝一郎氏は、その経緯を次のように話す。

「工場敷地内の3階建研究施設の1階部分が数年前の事業整理統合によりクローズされ、その後、全く使用されていないといった状態が続いていました。これはあまりにもったいないということで、ここを社員の研修センターに利用してはと提案したのです。私どもでは毎年一定数の新入社員(営業担当MR)の採用があり、3~4ヶ月の長期間にわたり研修を行います。中途採用のMRの研修ほか、さまざまな研修時に外部の研修施設やホテルを使うため経費もかさむ一方でした。そこで将来的なコストを計算したところ、自前の施設に投資した方が安いという結果が出たのです」。

研修センター外観

研修センター設立に向けてさらなる追い風となったのは、MRの採用人数の増加である。日本イーライリリー社では、2010年から大型主力製品の発売が続き、それに伴いMRのニーズが高まり、ここ数年でMRの人数はほぼ倍増となっていた。それだけに、いかに早く新入社員が自社の価値観や“リリーカルチャー”に馴染み、イーライリリーの一員になっていくかは、組織上大きなポイントとなる。同社社長アルフォンソ・G・ズルエッタ氏自らも、重要な懸案事項だと語っているほどだ。外部の施設で研修を行うより、自社の文化が感じられる施設で学ぶ方がブランドイメージが伝わりやすく、しかも吸収しやすい。そこで新入社員のためにも“リリーカルチャー”、つまりブランディングされた環境を整える必要性が生まれたのである。

ブランディングとコストに考慮した 設立プロジェクト

ラウンジ

プロジェクトにゴーサインが出たきっかけは、2011年11月に開催された西神ラボラトリーズ開設30周年の記念イベントである。高橋氏はこう振り返る。「イベントに臨席した米国本社のメンバーに実際に数年間使用されていない現場を見てもらい、ここを遊ばせておくのはもったいないと直に訴えたのです。この時、私どもの社長のサポートもあって、研修センター設立の合意を米国本社から得ることができました」。

ズルエッタ社長と米国本社の承認を得てブランディングとコストセービングをめざすプロジェクトが動き出したのは、2012年6月。建設する施設は、研修センター、守衛棟、カフェテリアである。研修センターに関しては、社内的にMRを総括する教育研修担当者とのやりとりから始まり、採用人数の確認、必要ならびに要求事項など、まずはベースとなるラフスケッチから取り組んだ。空間デザイン並びに建築設備設計については30数年前に当社工場を手掛けた元施工者の設計部に依頼し、ラフスケッチを参考にレイアウトの作成からスタートした。

前述したように、このプロジェクトは単に建物のリニューアルではない。ポイントは、イーライリリーのブランドを醸成する施設にすることである。これまでの無機的な工場にブランディングを構築した研修センターを設けることで、新たな可能性を見つける。ただ作るだけでない、人が来て、見て、楽しめる、人が集まる拠点にする、それがズルエッタ社長がめざした施設であり、プロジェクトのコンセプトとなったのである。2012年6月からプロジェクトがスタートしたものの、まず大きな課題となったのがスケジュールとコストマネジメントであった。そうしたニーズに応えるために、プロフェッショナルなパートナーとしてCBREにマネジメントが委託された。

「プロジェクトは2012年度予算で承認されたので、研修センターは年度内に完成しなくてはなりませんでした。建築期間が半年と切迫したスケジュールはきつかったです。コスト面も、もしCBREさんにお願いしていなかったらきっと青天井で跳ね上がりっぱなしになっていたでしょう。スケジュールもコストも非常に厳しい制約があるなか、双方をバランスよくきちんと管理していただきました」と高橋氏。

また、研修センター建設は稼働中のラボラトリーと同じ建物内のため、工事の振動や騒音などで試験や検査に影響を与えることが危惧されていた。いくら工程を調整しても避けられない工事もあり、実際、社員から若干の苦情が寄せられたものの、その影響は最小限にコントロールされた。これなども、数多く困難なプロジェクト管理を手がけてきたCBREの経験値のなせる業と、高橋氏は評価している。

一度に150人の研修が可能 300人収容の大ホール

最大300人収容の大ホール

さまざまな制約のもとに進められた研修センター。施設レイアウトに関しても試行錯誤が繰り返され、ベストなデザインのためのミーティングを重ねた結果、限られたキャパシティ(140m×140m)を最大限に活かす案を選択できた。それは1部屋に6人分の机や椅子を配置した島を5つ、つまり30人収容の部屋を5部屋作り、一度に150人の研修を可能とするもの。各部屋のスライディングウォールを格納すれば大きなホールとして最大300人収容できる。このほか小会議室やキッチン、休憩や展示もできるホワイエも併設された。

もちろん、研修センター自体の機能確保についても抜かりはない、施設利用者が容易にネット環境にアクセスできるIT設備の充実や、研修をスムーズに進行させるAVシステムの導入など、専門家の手により十分な配慮がなされた。また、使用中止状態であった設備類の見直しや整備、ガスヒーポン導入によるランニングコストの圧縮等、リニューアルの実施により適切に対応した点なども見逃せない。研修センターの運営・管理面では、本社セキュリティー担当者の指導のもと、施設の建設を機に警備の守衛が常駐するなど抜本的な見直しが行われた。

社員に評判の研修センター 会社施設の中でナンバーワン

カフェテリア

2012年の年末、研修センターが完成。イーライリリーのブランドイメージが埋め込まれた研修センターで、今年もたくさんの新入社員MRが製品知識を習得している。すぐそばでその製品をつくっている工場がある。自分が売る製品がどのようにつくられているか、知ると知らないとではMRの営業スタイルは大きく異なるだろう。高橋氏は「製品を知って工場を好きになってもらい、あそこでつくっているなら自信を持って売ることができる、というふうにしたい」と話す。

また、施設としても研修センターは快適だと社内の評判は高い。「会社の施設の中で一番いい」という声も聞かれるほどだ。実際、これまでの工場は外部の人を招くようにはデザインされていなかった。それが研修センターの完成によって、工場全体がブランディングを目的としたマーケティングツールになったのである。ズルエッタ社長はこのブランディング構築を社内だけに留めておくのではなく、対外的にも広げていきたいと考え、同社の顧客である医師対象の会議をここで開催することを提案している。

カフェテリア

このように構築したブランディングをこれからどのように活かしていくか。それこそブランディングの活用をPR戦略の一つとすれば、企業としてのイメージづくりに役立ち、ひいては利益にもつながるであろう。ズルエッタ社長が掲げた決意は、2020年までに医薬品業界国内トップ10に入る企業になることであり、それまでに知名度も向上させ、それにふさわしい会社になることである。同プロジェクトはそんな社長の思いを後押しするに違いない。工場に研修センターが加わり、ブランディングを施すことで、つくる工場が、MRや外部の方が訪れる“見せる”工場になった。さらにもう一歩進めて、魅力のある“魅せる”工場へ。新しい製品開発と同時に製品の特許切れとの戦い。製品の価格に対するプレッシャーなど、医薬品業界の厳しい環境のなか、この取り組みを通じて、新たなビジネスの可能性が追求されている。

開所式の様子

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上記内容は オフィスジャパン誌 2013年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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