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株式会社神鋼環境ソリューション|事業拠点構築ケーススタディ

株式会社神鋼環境ソリューション

神戸製鋼グループの神鋼環境ソリューションは、2017年3月のIHI環境エンジニアリング(IKE)の廃棄物処理施設関連分野との業務提携を経て、2019年1月、IKEの同事業を統合した。それに伴い、人員が倍増する東京支社のオフィスを移転。同社がこだわったのは、統合シナジー効果を早期に発揮するため、事業統合と同じ日から同一オフィスで執務を開始することである。旧態依然とした日本型オフィスからの脱却を目指し、統合の正式決定・公表前から社外には極秘に進められた移転プロジェクトの全貌に密着した。

事業統合に伴い、東京の拠点を集約。
「統合日までに移転完了」の絶対的ゴールのもと、
社内融合・組織連携を生む最新オフィス構築を目指す。

株式会社神鋼環境ソリューション

統合の正式決定・公表前から極秘に始まった移転先探し

異なる企業同士が一つになるとき、統合のシナジー効果を発揮するための最も効果的な方法は、執務空間を共有することだろう。同じ空間で働いていれば、コミュニケーションの機会が増え、互いに連携しやすくなる。そのためには、できるだけ早期に拠点を集約することが望ましい。今年1月、他社の関連事業を統合した神戸製鋼グループの神鋼環境ソリューション(SKS)がこだわったのも、「統合と同時に同一オフィスで執務開始」という絶対的ゴールだった。ただし、それ自体が一大プロジェクトである拠点集約移転を、事業統合と並行して進めるのは容易ではない。

同社は、地方公共団体向けに上下水処理施設やごみ焼却施設など環境に関わる幅広い事業を展開し、神戸製鋼グループのエンジニアリング事業の一翼を担う企業である。また、化学・食品機械関連ではグラスライニング製機器のシェアが50%強とトップであり、ファインケミカル、医薬品、食品など幅広い分野で貢献している。今年1月1日、相互補完が期待できるIHI環境エンジニアリング(IKE)の廃棄物処理施設関連事業を統合した。日本の人口減少等に伴い大きく変化する事業環境のなか、両社の経営資源を結集して競争力を高めるのが狙いだ。それに伴い、神戸本社をはじめ全国各地の支社、支店等の拠点で両社の融合を目指したオフィス整備を行った。IKEからSKSグループに移った従業員は総勢約570名。一部の拠点ではテナントフロアを増床して対応したが、統合により人員が倍増する東京支社は、新しいオフィスへ移転することにしたのである。ここでは、統合に伴う東京支社のオフィス移転を詳しく見ていくことにする。

東京支社が新たな拠点探しに着手したのは、2018年3月、両社が統合に向けた協議を開始すると発表した時期と同じである。その後、翌年1月1日付での統合が決定したのが9月なので、統合が正式決定する前から動き始めていたことになる。この“先行着手” について、統合に伴うオフィス整備を統括した神鋼環境ソリューション総務部長の芳野真弘氏は、次のように話す。「統合による新東京支社の人数が不確定ではありましたが、物件探しが始まりました。IKEの総務部門と連携して情報を収集し、想定で動くしかありませんでした。統合効果を早期に発揮するために、統合日をゴールにした拠点集約は至上命令でしたから、そのためには早急に移転先を決めなければ間に合わないギリギリのタイミングだったのです」。

シナジー創出のための「ワンフロア」「統合日までに拠点集約」が絶対条件

株式会社神鋼環境ソリューション

ここで、統合前の両社のオフィスについて見ておこう。SKSの東京支社は、JR大崎駅近くの神戸製鋼所東京本社ビル(ONビル)と、隣接する大崎MTビルの2ヶ所に分かれており、営業部門を中心に約130名が勤務していた。一方の旧IKEは、江東区木場に本社オフィスを構えていて、本社・技術部門を中心に在籍。芳野氏によると、当初、東京支社の人員増は大崎MTビル増床による対応も候補として挙がったが、受け入れる空きスペースがなかったため、オフィスを新たに探すことにしたという。

当時、統合に向けた各分野の協議が両社合同の分科会で進められており、オフィス整備については総務分科会が担当していた。 2018年3月、総務分科会は移転先の仲介と移転プロジェクトマネジメント業務をCBREに依頼。「今回、移転完了まで9ヶ月という超短期日程だったことから、移転先仲介、移転プロジェクトマネジメントの両方を手がけられているCBREさんにまずは相談しました」(芳野氏)。

移転先の条件は、主に次の3つ。①統合シナジー創出のため、300人規模が同一空間で執務できるワンフロア1,000坪の広さ、 ②移転完了予定の12月末から逆算して、 10月から入居工事が可能であること、③神戸製鋼所東京本社ビルと連携しやすい立地。なかでも①と②が必須条件だったため、物件探しのハードルは非常に高くなった。SKS主導で候補を3物件に絞った後、4月には両社の役員とともに視察を行い、移転前と同じ大崎にある「住友不動産大崎ガーデンタワー」に決めたのである。同年1月に竣工したばかりの最新鋭オフィスビルであることが、決め手になったと芳野氏は話す。「このビルなら、統合後の融合・組織連携に向けた最先端のオフィスづくりが期待できる ――両社ともにそう判断し、移転先は住友不動産大崎ガーデンタワーへスムーズに決まりました」。

社内融合を促進するレイアウトとグループ最先端の執務環境を目指す

株式会社神鋼環境ソリューション

5月の連休明けから、いよいよ移転プロジェクトがスタートした。新東京支社の人数がある程度確定し、移転が社内でオープンになったのは7月に入ってからだったため、それまでは総務分科会内部で検討を進めていった。

通常の拠点集約とは違い、異なる企業文化を一つにするオフィス構築には難しさがあったと芳野氏は話す。特に新東京支社では、SKS側は営業職がメインであるのに対し、IKE側は技術職がメインだ。職種が違えば、オフィスに求める機能も異なる。「IKEからは、大量の図面を保管する図面庫や、工事道具を保管する倉庫などの要望がありました。双方にとって使いやすいオフィス条件の調整に時間がかかりました」(芳野氏)。

オフィスづくりで重視したのは、「統合するSKS・IKEのみならず、部門、世代を越えた交流」と「それぞれの仕事の内容に合わせた最適な執務場所の選択による生産性の向上」である。交流を狙った施策としては、打ち合わせスペースやリラックスエリアなどコミュニケーションスペースを充実させたほか、社員が必ず利用する更衣室とリラックスエリアをフロアの両端に配置し、他部門との交流が自然に生まれる動線を工夫した。また、役員室や会議室の壁をガラス張りにして、開放感のある空間を意識した。

日本の伝統的なオフィス環境が長かった両社にとって、今回の移転は先進的な執務空間を実現する絶好のチャンスでもあった。部長席のひな壇をなくし、一般席と連結テーブルを共有する形にするとともに、部長席のみだった肘掛付き椅子を全席に配置。また、営業部門をフリーアドレスとし、必要に応じて空席を活用できるようにした。芳野氏は、「新東京支社の今後の機能強化も想定し、フリーアドレスなら組織変更や配置変更に柔軟に対応しやすかったことも導入の理由です。総務分科会では当初、営業職のフリーアドレスと技術職の固定席をきっぱり分ける配置を想定していましたが、移転が社内に伝えられた7月以降に社員ヒアリングを行ったところ、事業部ごとに営業職と技術職が隣り合う配置の要望が多かったため、フリーアドレスと固定席が入り混じる配置に変更しました」と話す。

引っ越しに向けて問題になったのが、書類の多さだった。新オフィスに配置できる書架の数を考えると、「両社とも書類を50%削減する必要がありました」と話すのは、東京支社の移転プロジェクトを担当した総務部東京グループ長の横田慎氏。加えて、従来は各席に脇机2個が備え付けられていたが、固定席は脇机1個に、フリーアドレス席はパーソナルロッカー1個に減る。しかも、終業時には机の上を何もない状態にしなければならない。そのため、社員には「外部倉庫に保管」「電子化」「廃棄」のいずれかによる書類削減を促した。「言葉で説明するだけでは本腰を入れて取り組んでもらえないので、新オフィスのレイアウト図面を示して、『あなたの部門には書架がこれだけしかない』ことを認識してもらいました」と横田氏。社員をその気にさせるうえで、視覚に訴える方法は効果があったという。

プロジェクト全体を通して最も苦労したのは、スケジュール管理だった。最終段階になって、両社間の確認漏れから席数不足が判明し、島の間隔を狭めなければならないというトラブルも発生したという。それでも、当初は難しいと思われた9ヶ月での移転を成し遂げられたのは、CBREのノウハウと的確なアドバイスがあったからだと芳野氏は評価する。「CBREさんが我々のブレーンとなり、スケジュールを遅らせないという確固たる意志のもと、課題解決に向けて一緒に動いてくださったので助かりました」。

“器”だけでは融合は進まない ソフト面での取り組みも併せて強化

株式会社神鋼環境ソリューション

事業統合と同時に新オフィスに移転して半年以上が経つ。新築の建物で、しかも家具や什器が一新されたオフィスは、「気持ちがいい」と社員に好評のようだ。親会社をはじめとするグループ会社からは、先進的なオフィスを参考にしようと視察も訪れる。大阪支社が営業部門にフリーアドレスを導入するなど、働きやすいオフィス整備が社内にも広がりつつあるという。不満があるとすれば、「1,000坪のワンフロアは端から端まで130メートルあり、『遠い』という声も聞かれます。しかし、社内融合とシナジー創出のためのワンフロアであり、支社員が働きやすい環境整備の施策は最大限実施していきたい」と芳野氏。

ワンフロアに移ったことで、以前よりは他部門の存在を身近に感じることができるものの、「器を用意しただけでは融合は進みません。部門ごとに固まる傾向はまだまだ強いと思います」と横田氏は話す。一方、交流の兆しも見られ始めている。会社主催の交流ボウリング大会には100人、労働組合が主催した「東京ディズニーシー」へのツアーには、家族も含めて約300人が参加。また、先日行われた神戸製鋼ラグビー部の試合への応援を呼び掛けたところ、40人超が駆け付けた。こうしたソフト面での取り組みを今後も併せて行っていくという。

IKEとの統合を機に、新東京支社は組織連携や部門間交流によるシナジーを生みやすい環境を手に入れた。これを組織の成長につなげていけるかは、社員一人ひとりが新しいオフィスをどのように使っていくかにかかっている。同社のさらなる飛躍と発展に期待したい。

株式会社神鋼環境ソリューション
株式会社神鋼環境ソリューション

プロジェクト概要

企業名 株式会社神鋼環境ソリューション
施設 東京支社
所在地 東京都品川区西品川1丁目1-1 住友不動産大崎ガーデンタワー
開所日 2019年1月1日
人員 約300人
規模 ワンフロア約1,000坪
CBRE業務 事業統合に伴う東京支社移転に向けた物件紹介・仲介、移転プロジェクトマネジメント

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上記内容は BZ空間誌 2019年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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