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GINZAグローバルスタイル|プロジェクトケーススタディ

ケーススタディ

2022年6月28日

銀座グローバルスタイル

東京を中心に全国に26店の都市型店舗を展開するオーダースーツ専門店「GINZAグローバルスタイル」(タンゴヤ株式会社)。高額で敷居が高いオーダースーツのイメージをガラリと変え、若者を含む全世代に利用者を増やして躍進してきた。環境の厳しいスーツ業界にありながら、成長を続ける理由に、長時間滞在型の店舗づくりや独自の出店戦略がある。同社代表取締役社長の田城弘志氏に店舗開発のこだわりとその狙いを聞いた。

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グーグル分析で出店地候補を決める、独自の戦略。
高級感あふれる長時間滞在型の店舗づくりが、お客様一人当たりの購入単価の向上にも貢献。
GINZAグローバルスタイル ―タンゴヤ株式会社―

銀座グローバルスタイル

オーダースーツの常識を覆し、若い客層を開拓して急成長

少子化による人口減に加え、コロナ禍で一気に広まったリモートワークによるスーツ離れによって、苦境に立たされているスーツ業界。矢野経済研究所の調査によると、既製スーツの国内消費額は、2000年の4000億円から、2020年には2000億円に半減した。一方、この厳しい環境においてもオーダースーツ市場は成長を続けており、統計の始まった2016年と2020年を比べると、消費額は450億円から500億円へと1割程度増えている。

そして、このオーダースーツ市場において躍進を続けているのが、老舗船場生地問屋のタンゴヤが運営するオーダースーツ専門店「GINZAグローバルスタイル」である。2009年12月、大阪に第1号店がオープンしてから、首都圏を中心に店舗を広げ、現在では全国で26店舗を構える。昨年10月には、神戸エリアで初となる「GINZA グローバルスタイル・コンフォート 神戸三宮店」を出店したほか、今年3月にはグランフロント大阪に「GINZAグローバルスタイル グランフロント大阪店」をオープン。売上高は毎年約3割近い伸びを示している(コロナ禍の2020年、2021年は除く)。

銀座グローバルスタイル

グローバルスタイルの人気の秘密は、高額でハードルが高そうなオーダースーツのイメージを覆し、本格的なオーダースーツを既製スーツと同程度のリーズナブルな価格で提供していることだ。ファッション性と品質を備えたオーダースーツを、2着で48,000円(税抜)から購入できる。これは、今や一式2万円や3万円程度のツープライスが一般的になった既製スーツと比べても、価格面で引けを取らない。また、世界的なブランド生地を使ったオーダースーツも、大手百貨店と比較して半額以下で提供するほか、業界最多の約5,000種類の生地バリエーションがあるのも他社にはない強み。若者が好みそうなファッション性の高いホワイトスーツも作れるほどの品揃えが自慢だ。

こうした独自路線により、グローバルスタイルはこれまでオーダースーツに縁のなかった若い客層を開拓することに成功している。田城弘志代表取締役社長は次のように話す。「昔からある老舗のオーダースーツ専門店は、50代以上の社長さんや歌舞伎役者の方々など一部の客層に偏っていました。それに対して、私どもは『全ての人にオーダーメイドを楽しんでいただく。ENJOY ORDER!』をコンセプトに、成人式や入社式のためのオーダースーツから社長様のオーダースーツまで、全世代に向けて商品を展開しています。ですから、当社では20~30代のお客様が多く、全体の6割を占めています」。

服地卸から始まったタンゴヤがオーダースーツに参入したのは、祖業の業績が悪化する中、創業家出身の前社長が、当時既製スーツ専門店の役員だった田城氏に新規事業を相談したことがきっかけだった。服地卸ならではのネットワーク力と生地の購買力、それに既製スーツの手軽さや合理性を掛け合わせて、田城氏が立ち上げたのがGINZAグローバルスタイルである。この新規事業が成功し、今では同社の主力事業となっている。

長時間滞在しても心地よい空間は他社が絶対に真似できない強み

銀座グローバルスタイル

グローバルスタイルの快進撃は、本格オーダースーツでありながらリーズナブルな価格設定や、豊富な品揃えだけが理由ではない。おしゃれで高級感のある店舗づくりも、他社との大きな差別化要因である。「オーダースーツは、生地選びや採寸などに少なくとも1時間はかかるため、店内の滞在時間が長くなります。オーダーメイドを楽しんでいただくためには、店内が居心地のよい空間であることが重要だと考えています」と田城氏は話す。

店舗の特徴の一つに挙げられるのは、一緒に来店した家族や会社の同僚たちと、貸し切りで利用できる「プライベートフィッティングルーム」。高級感のある個室で、くつろぎながら採寸や試着ができるため、来店客には好評だという。2013年にオープンした銀座本店に設置されたのが最初。この貸し切り専用個室が併設された店舗は、「GINZAグローバルスタイル」のブランドで展開されている。

2019年からは、より待ち時間を快適に過ごしてもらうため「ウェイティングカフェ」を設置する店舗も誕生した。このカフェには、フリードリンクサービスやテレビが付いていて、混雑時などは接客されるまでの待ち時間に生地やスーツモデルを選んだり、同伴者が待ちながら時間を過ごしたりする場所として利用できる。このカフェが併設された業態を「GINZAグローバルスタイル・コンフォート」と呼んでいて、最近の出店はこのタイプが多いという。

こうしてみると、坪単価の高い都市型店舗にしては、かなり贅沢な空間の使い方と言える。だからこそ、「他社には絶対に真似できない店舗づくり」との自負が田城氏にはある。実際、他社のオーダースーツ店は20坪程度から構築できるのに対し、グローバルスタイルの店舗は60~80坪が目安だという。神戸三宮店に至っては、120坪という大きさだ。

銀座グローバルスタイル

また、商品の見せ方にもこだわりがある。例えば、スーツの生地選びに必要な生地見本。一般的には、生地見本帳といって、小さく裁断された生地見本が束ねられたものが使われるが、グローバルスタイルでは、3メートルの長さの生地を40センチ四方に折ったものが生地見本として専用什器に並べられている。「特に柄物の場合、小さな生地見本ではスーツの仕上がりがイメージしにくい。3メートルの長さがあれば、肩に当てて仕上がりのイメージや派手さ加減を確認することができます」と田城氏は大きな生地見本を用意する理由を説明する。

グローバルスタイルでは、モダンクラシックやモダンブリティッシュなど10種類以上のスーツモデルから形を選べるが、どんな形かが分かるように、スーツモデルの仕上がり見本も多めに用意している。上半身の仕上がり見本と、使用されている生地の見本をセットで見せるための専用什器も開発した。

こうした店舗づくりのこだわりが、販売にどれだけ貢献するのかは関心のあるところだろう。田城氏によると、ネット広告ではお手頃価格の商品が最もよくクリックされるが、実際に店舗で購入される数量は全体の2割程度。残りの8割はイタリアやイギリスなど高級生地メーカーの生地を使ったオーダースーツだという。それは客単価にも表れていて、「既製スーツの専門店の客単価は23,000円程度なのに対し、グローバルスタイルの客単価は7万円。これはスーツ以外の購入も含んでいますから、スーツ単体に限れば客単価は10万円を超えます」と田城氏は話す。生地やスーツモデルを選びやすく、快適に過ごせる店舗空間は、来店客の購買意欲を確実に刺激しているようだ。

ホワイトカラーの多い都市に出店。グーグル分析で次の出店地を選ぶ

銀座グローバルスタイル

店舗の立地戦略にも、勢いのあるオーダースーツ専門店ならではの特徴がある。それは、関東を中心とする都市に集中していること。現在、関東では東京に10店舗、横浜に1店舗を出店している。「企業の本社や証券取引所のある場所は、スーツをお求めになるホワイトカラーが多い」(田城氏)ことが東京に集中する理由だ。中でも銀座には目と鼻の先に3つの路面店が集まっている。「全国的な一大商業集積である銀座には、何代も続く個人経営のビルオーナーが多く、路面店を開発しやすい」と田城氏は話す。

加えて、会社員が転勤先でもグローバルスタイルを利用しやすいよう、いくつかの政令指定都市にも出店している。今後は、まだ出店していない政令指定都市にも店舗を広げていく予定だ。「コロナ禍では越境を避けるなど行動範囲が狭まります。政令指定都市に出店していくことで、わざわざ遠方からお越しいただかなくても、地元で購入できるようにしたい」(田城氏)。

出店地の選び方もユニークだ。なんでも、次の候補地はグーグルが教えてくれるというのだ。「私どもは主にネット広告で認知度アップを図っていて、グーグルの分析ツールを使えば、ネット上のユーザーがどの地域からクリックしているかが分かります。店舗開発で優先するのは、ネット上のユーザーが多く、まだ店舗のない地域です。この選び方は、私が既製スーツ専門店にいた頃とは全然違います」と田城氏は話す。この基準で出店が決まった横浜店(2020年2月オープン)には、従来はわざわざ東京の店舗に足を運んでいた神奈川県や横浜市からの来店客が一気に押し寄せた。すでに出店が決まっている静岡のほか、埼玉、千葉にもネット上のユーザーが多いことから、有力候補となっている。

出店場所に関しては、「当社の場合は目的買いのお客様が多いので、アクセスがある程度よければ、一等地かどうかにはこだわりません」と田城氏。その代わり、重視するのは「グーグルマップでの位置表示が正確かどうか」だという。「お客様は、私どものホームページの店舗情報に掲載されたグーグルマップを見て来店されます。グーグルマップの表示は、たまに位置がズレていることがあります。グーグルに申請すれば直してもらえますが、時間がかかるので最初からグーグルマップで正しく表示されているかは必ずチェックするポイントです」と田城氏は話す。

他に、路面店か商業施設内の出店かにかかわらず、外観でブランドの世界観を表現できることも譲れない出店条件だという。

家族向け郊外型店舗も視野に。いずれ海外でも勝負したい

銀座グローバルスタイル

今後、国内の都市型店舗の出店は「60店舗までいけそう」と田城氏は見込む。そして、その先に見据えるのは郊外立地である。「コロナ禍では自宅近くで買い物する機会が増えますから、休日に家族と一緒に行ける場所へのテスト出店を考えています。営業は土日がメインになるため、都市型店舗より1店舗当たりの売上は小さくなりますが、出店できる場所は格段に増えます。そうなれば、店舗数も一気に増えていくでしょう」(田城氏)。

候補地の条件としては、「駅前の繁華街のすぐそばに住宅地が広がる場所なら、十分に可能だと見ています」という。東京都立川市や、千葉県松戸市・柏市、兵庫県西宮市、奈良県奈良市などが候補に挙がっている。
「郊外型の店舗に関しては、新しいストアブランドを立ち上げ、品揃えも若干変えるつもりです。家族で試着できるプライベートフィッティングルームには、お子さんが夢中になれるアンパンマンのDVDを流しておく。そうすれば、お父さんとお母さんが集中してオーダーできます。そして、郊外型の店舗で最も重要なことは、家計を握る奥様に気に入られる店舗づくりです。スーツ店とはいえ、女性に気に入っていただけるグレードやファッション性は必須だと考えています」(田城氏)。

実は、家族向け店舗のためのラインナップの拡充は着々と進んでいる。近年、レディースのオーダースーツを始めたほか、今年4月からはキッズ・ジュニア用のオーダースーツも始めている。

さらに、海外出店も視野に入れている。「スーツの本場であるニューヨークやヨーロッパでも十分戦えると思っています。グローバルスタイルという名前の通り、いずれ世界に展開したい」と田城氏は抱負を語った。
 

プロジェクト概要

企業名 タンゴヤ株式会社
施設 GINZA Global Style(GINZAグローバルスタイル)
展開 全国26店舗
札幌1、仙台1、東京10、横浜1、大阪4、京都2、神戸1、名古屋3、広島1、福岡2(内、GINZAグローバルスタイル・コンフォート9店舗)
CBRE業務 神戸三宮店、グランフロント大阪店の 賃貸借仲介業務務

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上記内容は BZ空間誌 2022年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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