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YOSEIDO銀座店|プロジェクトケーススタディ

ケーススタディ

2021年5月11日

YOSEIDO銀座店

スキンケア化粧品を製造・販売する養生堂企画の旗艦店「YOSEIDO銀座店」が、2020年8月29日、東京・銀座四丁目にオープンした。店内には“白樺の森”が再現され、同社のスキンケアブランド「KOIVE」の世界観を表現している。オープンまでの道のりは決して平坦ではなく、コロナ禍による内装工事の遅れのみならず、フロアの使い方にも変更を迫られた。コロナ禍に対応しながらオープンにこぎつけた店舗づくりの一部始終を取材した。

世界の商業集積地、東京・銀座の中心に、
ブランドの世界観“白樺の森”を再現した、
スキンケアブランドの旗艦店オープン。

YOSEIDO銀座店

ブランドの世界観を体感できる場として“白樺の森”が東京・銀座に出現

東京・銀座の真ん中に、“白樺の森”があるのをご存知だろうか。通りに面した大きなガラス窓から中を覗くと、数えきれないほどの白樺の木が立ち並んでいる建物がある。中に足を踏み入れると、どこからか小鳥のさえずりやせせらぎの音、風の音が聞こえてきて、まるで北欧の森に迷い込んだような空間が広がっている。

 「ここは一体……?」。初めて訪れた人なら誰もが不思議に思うこの店舗は、化粧品の企画・製造・販売を中心に事業を展開する養生堂企画のフラッグシップショップ「YOSEIDO 銀座店」である。2020年8月29日にオープンした。

それにしても、なぜ白樺の森なのか。「私たちのスキンケアブランド『KOIVE(コイブ)』は、化粧品成分の大半を占める水の代わりに、フィンランド産の天然白樺樹液を使っています。白樺樹液は、ミネラルやアミノ酸など肌に必須の栄養成分を豊富に含み、北欧では1000年も前から美容と健康のために使われています。白樺樹液を使ったKOIVEの世界観をお客様に体感していただくために、白樺の森を銀座に再現しました」。そう語るのは、養生堂企画代表取締役の菊池茂利氏である。

養生堂のブランドは、2016年の創業から、フィンランド産の天然白樺樹液と「メイドインジャパン」の高品質を武器に、主に日本国外において営業展開を行っていた。その後、2018年からは、日本でもロフトなどのバラエティショップで販売を開始。ただし、すでに飽和状態の日本の化粧品市場を開拓するというより、「日本へ買い物に来る外国人旅行者に対するインバウンド対策だった」(菊池氏)という。それがやがて、「白樺樹液を使った商品特性を打ち出して、生産国である日本市場でも勝負しよう」と方針転換され、2019年6月、日本での拠点として養生堂企画が設立されたのである。

本格的な国内営業に向け、2020年7月には、ブランド名やパッケージを日本向けに刷新し、新ブランド「KOIVE」としてリニューアル。さらに8月29日には、国内1号店となるYOSEIDO銀座店をオープンした。これに伴い、販路も自社のオンラインショップと店舗に統一したのである。

化粧品売り場にカフェを併設し、トータルビューティケアを提供

YOSEIDO銀座店

日本での店舗オープンは、ブランドの世界観を伝える手段として早くから検討されていた。本格的に動き出したのは、養生堂企画が設立され、菊池氏が代表取締役に就任してからである。協力会社からCBREの担当者を紹介され、リアルタイムで物件情報の提供を受けるようになった。

候補地は初めから銀座か表参道に絞られていたという。「東京を代表する場所、かつブランドのイメージに合う場所、ターゲットである30~40代女性に向けて発信力のある場所となると、銀座か表参道だろうと考えていました」と菊池氏。物件探しを続けるうち、偶然にも空きが出たのが、現在店舗を構える銀座四丁目のビルの3階分(地下1階、1階、2階)だった。

実はこの物件は、当初予算の賃料のなんと3倍だったそうである。それでもこの物件に決めたのは、「自分たちのブランドコンセプトを表現するのにぴったりハマる物件を、銀座の真ん中に見つけたから」と菊池氏は話す。「白樺の森を作るアイデアは最初からあったので、通りからもそれがよく見えるよう、間口が広く、大きなガラス面の建物を探していました。また、化粧品のフロアだけでなく、カフェの併設も考えていたので、最低でも2層は必要でした。白樺樹液は肌を整えるのはもちろん、飲めば健康にもいいんです。肌と内側の両方を健康にするトータルビューティケアを提供するために、カフェは絶対にやりたかったですね」。

2019年11月末に賃貸契約を締結すると、引き渡しは翌2020年4月と決まり、店舗づくりがスタートした。菊池氏にとっては初めての経験だったが、ファッション業界出身で建築デザインも好きだという菊池氏自らが店内の簡単なスケッチを描き、デザイナーと話し合いながら詳細を詰めていったということだ。「1号店なので、自分が思い描く店をつくりたいと思いました。最初は著名なデザイナーの方にお願いすることも考えましたが、私の中ですでにやりたいことが決まっていたので、こちらの意見を聞きながら、それを形にしてくれる人がいいと思い、施工会社の社内デザイナーの方にお願いすることにしたんです」(菊池氏)。

当初、オリンピック開催前の6月末オープンを目標に進めていたが、2020年に入ると想定外の事態が起きた。新型コロナウイルスの感染拡大である。4月から予定していた内装工事は遅れ、オリンピックも翌年に延期された。そして8月29日、YOSEIDO銀座店は予定より2ヶ月遅れてようやくオープンにこぎつけたのである。

117本の天然白樺で森を再現。あえて「化粧品売り場に見えない」店づくり

YOSEIDO銀座店

さて、ここからは、白樺にこだわった1号店の店内を詳しく紹介しよう。

1階は、すでに述べたとおり、白樺の森である。1階と2階を合わせて117本もの天然白樺が立ち並ぶ森は、フロアの実に3分の2を占める。耳を澄ますと聞こえてくる小鳥のさえずりや小川のせせらぎの音は、実際に屋久島や日光で録音された自然音である。「最先端のハイレゾリューションで、人間の耳には聞こえない自然界の周波数まで再現しているので、自律神経が整えられて、体にもいいんですよ」と菊池氏。

メイン通り(松屋通り)からは白樺の木立しか見えず、何の店かすぐにはわからない。それも意図したものだという。「自然を銀座の真ん中で再現したかったので、あえて化粧品の店だとわからないようにしています。『店に入りにくい』というお客様もいらっしゃるほどです(笑)」(菊池氏)。ただし、裏のガス灯通りからは奥の化粧品売り場が見えるようにし、また、メイン通りに面した正面入り口の横には、フィンランドのサウナ小屋をイメージしたポップアップスペースを設けている。ここでは新商品の紹介や催し物、ビューティコンシェルジュがお客様に化粧を施すタッチアップなどに使う予定だ。コロナ禍の現在はタッチアップができないため、このスペースを使ってインスタライブを行っている。

店内を奥へと進むと、視界が開けて、化粧品売り場にたどり着く。ここではスキンケアを体験できるほか、インスタ撮影用のフォトスポットとして、スペシャルメイクアップアーティストKENJI氏が手掛けたトリックアートや、白樺樹皮で作ったオリジナルベンチも設置されている。

2階は居心地のよい北欧風カフェ。地下1階はライブコマースのウェブ配信スタジオ

YOSEIDO銀座店

2階は、北欧風カフェの「KOIVE CAFE」である。フィンランド風のフードや白樺の100%樹液ドリンクなど、ここでしか味わえないオリジナルメニューを提供している。4人掛けテーブルのほか、ソファの2人席、暖炉のまわりの1人掛け椅子など、合計46席が用意されている。

菊池氏がこだわったのは、「見た目の雰囲気もよく、自宅のように落ちつける空間」である。その想いは店内の隅々に表現されていて、例えば壁面に設けられた2人席に関しては、「カップルや友人同士が周りを気にせずくつろげるよう、狭くて居心地のいい空間を壁面に作りたいとデザイナーの方に相談しました。そこにお客様が座って写真を撮れば、額縁の中の絵のように見えるのも、当初の狙い通りです」と菊池氏。また、カフェのテーブルや椅子、壁にはすべて白樺材が使用されていて、温かな木のぬくもりに包まれる空間となっている。

地下1 階は、ウェブ配信スタジオ「AozoraTV」を常設した未来型情報配信スペース「FUTURE LABO」である。天井の真ん中には青空照明システムがあり、地下であっても太陽の陽差しを感じることができる。この場所は元々、トータルビューティケアの一環として、ヨガなどのフィットネスや美容に関するトークショーを行うスペースを想定していたが、緊急事態宣言が出たことで、“密”につながる活動は難しくなった。そこで考えたのが、Eコマースの強化を視野に入れたウェブ配信スタジオというわけだ。AozoraTVは、KOIVEのスキンケア商品の紹介動画を配信するだけでなく、コロナ禍の今だからできることとして、店を開けられずに商品の売り先に困っている人と、商品を欲しい人をつなげるショップチャンネルとしての活用も想定して作られた。

YOSEIDO銀座店

同階はまた、フィンランド発祥のスポーツである「モルック」を体験できる場としても活用されている。モルックは、白樺の樹で作られた12本のピンを倒すゲームで、最近バラエティ番組などでも取り上げられる注目のスポーツである。モルック体験を目当てに銀座店を訪れる人もいて、1階の化粧品売り場や2階のカフェへの集客にもつながっているようだ。

「パーフェクトホスピタリティ」を実現するため、社員がカフェを運営

12月に取材に訪れた時、2階のカフェはほぼ満席に近い客で賑わっていた。店の前には小さな看板が設置されているものの、2階にカフェがあることはわかりにくい。それにもかかわらず集客できているのは、何か秘訣があるのだろうか。

「カフェが認知されるまでは、コロナ禍もあって集客に苦労しましたが、一度来てくださった方の満足度は高く、リピートしてくださるお客様も増えています。また、インスタを見て来店される方もいます。実は、カフェ運営も社員が行っています。外部委託も考えましたが、まずは当社の理念である『パーフェクトホスピタリティ』をよく理解している社員で運営していきたいと考えたからです。ブランドを表現するのは、お客様と直に対峙する店舗スタッフです。自分たちがしっかり考えて、ブランドを作っていく感覚を持ってもらえるよう、教育に力を入れています。まだまだ十分ではありませんが、そうした取り組みがお客様の満足につながっているのかもしれません」(菊池氏)。

現在はスキンケア商品のみの展開だが、今後はワンランク上のエイジングケア商品や、プレミアム商品も展開していく予定だという。店舗については、東京以外の主要都市への出店も考えていたが、コロナ禍のため今は保留となっている。その代わり、まるで店舗で買い物をしているような体験ができるバーチャルストアを構築中だ。バーチャルストアでは、予約すればビューティコンシェルジュへの質問も可能になる。「銀座店に来たいけれど今は来られない地方のお客様に も、店舗の雰囲気をぜひ味わっていただきたい。私たちのブランドがどんなブランドなのか、私たちの会社がどんな会社なのか、それを理解していただけるのが実店舗だと考えています」(菊池氏)。

コロナ禍での店舗オープンには多くの困難があったものの、養生堂企画は状況に対応したフロアの使い方を模索しながら、ピンチをチャンスに変えてきた。ブランドの世界観を体感できる店舗と、コロナ禍でも多くの人にアプローチできるオンラインの両輪を駆使しながら、同社の日本市場開拓の挑戦は始まったばかりである。

YOSEIDO銀座店

プロジェクト概要

企業名 株式会社養生堂企画
施設 YOSEIDO銀座店
所在地 東京都中央区銀座4-5-1 聖書館ビル地下1階~地上2階
オープン 2020年8月29日
規模 1階「KOIVE FOREST」約45坪 / 2階「KOIVE CAFE」46席 / 地下1階「FUTURE LABO」約61坪
CBRE業務 施設賃貸借仲介業務

この記事に関するCBREのニュースリリースを下記よりご覧いただけます。

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上記内容は BZ空間誌 2021年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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