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Sanrio 新宿店|店舗出店ケーススタディ

※ 本内容は「BZ空間誌 2023年秋季号」掲載記事です。

インバウンド需要の復活・拡大を視野に入れ、ウィズコロナ時代の新直営店を新宿にオープン。次なる一手は、グローバル旗艦店の構築へ。

Sanrio 新宿店
株式会社サンリオ

株式会社サンリオ

1960年に誕生した、日本におけるキャラクタービジネスのパイオニアである株式会社サンリオ。1971年には初めての直営店を新宿にオープンさせ、多方面への事業展開につながる繁栄の礎を築いた。その同社のいわば聖地ともいえる新宿に、2023年の4月1日、新店舗を開設した。コロナ禍に翻弄され、 ECに力を注ぐ小売業が多い中、実店舗にこだわる思いと、今後の出店戦略をレポートする。

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株式会社サンリオ

キャラクタービジネスにおける日本の草分け的存在「サンリオ」

「ハローキティ」といえば、子供はもちろん中高年の男性までもが知る、日本を代表するキャラクターである。だが、その生みの親が山梨県の外郭団体だったことを知る人は少ないだろう。1960年、県庁職員だった辻信太郎氏が、山梨県の特産品である絹製品を販売する「山梨シルクセンター」を株式会社化したのが前身で、以降は小物雑貨などの販売に手を広げるとともに、キャラクター製品の開発に乗り出した。さらに1969年からは、現在も続くグリーティングカードの企画・販売を開始し、73年には株式会社サンリオに商号変更。翌74年に誕生した自社キャラクター「ハローキティ」を筆頭に、キキ&ララでお馴染みの「リトルツインスターズ」や「マイメロディ」などの本格的なキャラクター商品の開発・販売をスタートさせた。まさに我が国におけるキャラクタービジネスの草分け的存在なのである。

その後、「サンリオピューロランド」や「ハーモニーランド」といったテーマパーク事業に加え、教育や飲食、映画や出版、音楽といった分野に事業を拡大するとともに、海外進出も果たし、2023年3月現在、従業員数630名(アルバイト・嘱託を除く)、売上高726億2400万円の企業に成長している。

株式会社サンリオ

事業の柱である二つの部門を統合、骨太の構造改革を推し進める

同社のビジネスには二つの大きな柱がある。一つは自社で著作権を持つ450を超えるキャラクターを冠したグッズの企画・製造・販売の物販事業。もう一つは、キャラクターの使用権を提供し、その対価としてフィーをもらうライセンス事業である。

物販事業の店舗数は全国で約150。そのうち直営店が約100店で、百貨店の売り場がおおむね50店ということだ。店舗の規模はまちまちで、最小はルミネエスト新宿店の6坪。最大は銀座にある「サンリオワールド ギンザ」で、1階60坪、2階120坪の計180坪となっている。直営店に最適なサイズは、オリジナル商品がほぼ全て陳列できる30坪前後ということで、郊外型店舗の基本になっている。これより大きければ、ライセンスしている商品を買い戻して、商品構成を追加。また、出店エリアの特性に応じて商品構成のセグメントも行われ、例えばZ世代から上の年代が多いようなら子供向けのリュックなどは置かず、その分ライセンス商品を含めた大人向けグッズにシフトするといった具合である。

サンリオに限らずこうしたキャラクターは、国内はもとよりジャパンカルチャーとして海外での人気も高く、コロナ以前はインバウンドの需要拡大から順調に売上を伸ばしてきた。しかし、商品はさほど単価が高いものではなく、加えて、商品の企画・製造・販売から物流までを自社で行うため、売上に対する経費の比率が高い。そのため、コロナ禍では赤字が続く状態だったという。特にインバウンドの販売比率が5割を超える東京や大阪、福岡などの直営店では、この2年半に大打撃を被った。逆に郊外店では、地元で買い物をする顧客が増え下支えしたものの、インバウンド需要を補うには遠く及ばなかった。

そこで同社が打ち出したのが骨太の構造改革である。例えば、創業以来、別々に運営されていた物販とライセンスの二つの事業を国内営業本部として統一。自社製品を作る企画の段階からメスを入れ、無駄をそぎ落とした効率的なモノづくりを進めるとともに、適切な在庫コントロールを行った。

株式会社サンリオ

また、キャラクターのあり方にも変化を持たせた。従来、キャラクターにはそれぞれの世界観があるため、例えばハローキティの世界にはマイメロディは登場しないといった不文律があった。だが、「はぴだんぶい」という男の子キャラクターのユニットを組み一つのパッケージとしてライセンス化することで、新たなファンの獲得に成功。その世界観をさらに広げる施策を行った。商品企画においても同社のキャラクターがメインではない「推し」を楽しく応援するためのグッズ「エンジョイアイドルシリーズ」を企画するなど、様々なヒット商品が誕生した。子供の頃から親しんだキャラクターたちの新たな展開により、かつてのファンだった大人にも親しまれる存在に変貌したのだ。

折しも2022年10月に渡航制限が解除されたことを受け、インバウンド需要は急速に回復。政府観光局の発表によると、今年6月のインバウンド数の推計値は207万人で、2019年同月の約7割に達している。「特に韓国からの訪日客が目立つようになり、博多から関西、東京へと順に売上が回復し、対前年比で200~300%まで数字が戻ってきました。物販としては3カ年計画で黒字化をめざしていたのですが、1年前倒しで実現することができました」と、同社国内営業本部店舗開発課の棚橋昌也氏は、急速に回復したマーケットの変貌ぶりを語る。

株式会社サンリオ

サンリオショップの聖地である新宿に、そのマインドを継承する新店舗を出店

今回の構造改革の中で、同社はEC強化を重要な営業戦略の一つに掲げており、事実、実店舗を減らしてECに力を入れるリテーラーは多い。ただし「サンリオは、もともとは感謝の気持ちを伝えるグリーティングカードを主体に、世界で唯一のソーシャルコミュニケーションギフトビジネスを展開する企業として成長してきました。その実現の場としてショップが存在しています。つまりショップは、優しさや思いやりの気持ちを伝える、リアルな体験を提案・提供していく場であるということ。その意味で、お客様にヒントをいただきながら、どんな新しい価値を提供できる店舗を作るかが、最大の課題なのです」(棚橋氏)。

その思いを背負って、2023年4月1日に新規オープンしたのが「Sanrio 新宿店」である。新宿と言えば世界一のターミナル駅であり、アジアでも有数の商業エリアであるとともに、1971年にサンリオの直営第1号店「ギフトゲート」が誕生した、いわば聖地でもある。そして今回の「Sanrio 新宿店」出店は、その「ギフトゲート」が長く入居していたアドホックビルの取り壊しに端を発する。オーナーチェンジにより取り壊しが決まり、その話が聞こえてきたのはコロナ禍真っ最中の2022年1月のこと。サンリオとしては退去期限である同年12月までに新たな出店先を見つけようとした。コロナ禍で先が見えない、将来の見通しが立たない中での船出となったのである。

主に新宿中央通り沿いを希望していたが、空きビルはあるものの、建替予定があったり、サイズ的に大きかったり小さかったり、長年入居していたアドホックビルと比較すると、家賃相場も大幅に高額となっていた。2ヶ月間で20物件以上を巡った中、最終候補として残ったのが、老舗書店の紀伊國屋書店新宿本店ビル1階 名店街の空室である。アドホックビルの目の前であり、新宿駅に近く、地下道を使えば雨の日にも濡れずに移動できる。誰もが知るビルだけに移転の案内も容易だ。店舗サイズも旧店とほぼ同じ60坪で、賃料水準も妥当。隣にキャラクターショップが立地しているところも、相乗効果が期待できる。

株式会社サンリオ

しかし問題もあった。ご存じの方も多いだろうが、同ビル1階店舗エリアは、書店スペースの脇の通路の奥にある。つまり、路面店でありながら、通りからの視認性が見込めないのだ。「ですが、コロナ禍にあっても通行量はある程度ありました。今後、コロナ禍が一段落しインバウンドが戻ってくれば、なんとかなるのでは…。新宿には他にサンリオのショップは2店舗ありますが、どちらも小規模。『ギフトゲート』閉店の売上をカバーできる店舗が、どうしても欲しく必死でした」(棚橋氏)。

こうした思惑の中、同年3月に出店意思を固め、経営陣を説得する材料を集め6月には企画書を上げ、それでも最終的に契約が締結したのは12月だった。その後、新宿に店舗がない期間をできるだけ短くするべく、2023年3月の開業を計画。本来なら設計だけでも最低3ヶ月はかかるところを短縮し、施工を含め何とか4月1日オープンにこぎつけることができた。資材不足が巷で騒がれている中、耐震用のコンクリートの躯体壁がむきだしのフルスケルトンの状態から、このスピード感で新店舗を仕上げられたのは、「なんとしても新宿に店舗が必要だ」という、同社の決意の表れといえるだろう。

店内の造作はシンプルで、オリジナルのものはなにも作らなかった。ポイントは二つで、一つはアドホック店のシンボルだった店頭の大きな「ハローキティ」のモニュメントを小型化して設置したこと。もう一つは、レジカウンターの後ろの壁紙に、初期のショップで使用していた包装紙のデザインを用いたことだ。若い社員は知らない昔のキャラクターがいるほか、カウンターの上部には田園調布にあった直営店「いちごのお家」にあった、イチゴの形をしたランプを施している。「デジタルサイネージは設置しましたが、基本的に内装はシンプルです。我々が売っている商品が世の中に認められているという自信はあるので、陳列している商品そのもののアピール力こそが、最良のディスプレイだと考えています」(棚橋氏)。

オープンから3ヶ月を経過し、売上は想定の2倍とコロナ禍からの脱却が急速に進んでいる。通常なら12月が単月での売上の絶対的なピークということだが、6月の実績が、回復傾向にあった去年の12月を超え、その勢いは7月も衰えず、売上予想が立たない嬉しい悲鳴をあげているという。

株式会社サンリオ
株式会社サンリオ

サンリオワールドを世界に発信する、旗艦店の開発が喫緊の課題

同社のECサイトへの、海外からのアクセスは減少傾向にある。だが一方で、国内からのアクセスは増加しており、しかもショップ数が多い関東圏の顧客の比率が高いという。また、サイトに入ってから出るまでの時間が非常に長いのが特徴で、キャラクターを見て癒され、それを求めて実店舗を訪れる顧客が多いのだろう。キャラクターグッズは、ほかの物販とは異なり、実物を見て買いたい典型的な商品だといえる。

その特性を踏まえて、今、実現に向けて進めているのが新たな旗艦店の出店である。欧米圏ではアジア圏ほどサンリオの知名度は高くなく、キャラクターの「ハローキティ」は知られていても社名の「サンリオ」は及ばないらしい。それを払拭するため進められているのが、「ギフトゲート」をはじめとするショップブランドの「Sanrio」への統合。そして、より発信力を高めるため重要な役割を担うのが「グローバルフラッグシップショップ」の構築である。

具体的には200~300坪の規模で、自社製品だけでなくライセンス商品のコーナーも拡充し、「サンリオピューロランド」で実施しているようなライブキャラクターが登場できるエンターテインメント要素のスペースや、今期より本格的にスタートさせたエデュテインメント事業として行っている幼児向けオールイングリッシュの英語教材「Sanrio English Master」の紹介をしたりといった、様々なサンリオの世界観を表現できるショップ。国内顧客はもちろん、海外のからの来訪者にも強烈にアピールできる店舗をめざしている。

旗艦店の構築をはじめ、同社最大の課題は販売員の確保だという。「新宿店の現状を見ても、これでインバウンドが本格的に戻ったらどのような状態となるか。キーワードは『販売員をどう守るか』だと考えています。そのためにはレジ周りをはじめ、品出しや陳列、はては新規アイテムの開発・供給スパンの見直しなど、オペレーション全般を変えていく必要があります。その意味で物販においては大きな変革の時が来ているといえるでしょう」(棚橋氏)。そのためにも、様々な施策を試せる新宿店の存在意義は大きい。フラッグシップショップの出店と、それにふさわしいオペレーションが完成した際には、サンリオの新たな成長が待っていることは間違いない。

株式会社サンリオ

プロジェクト概要

企業名 株式会社サンリオ
施設 Sanrio 新宿店
所在地 東京都新宿区新宿3-17-7 紀伊國屋書店新宿本店 1階名店街
アクセス JR新宿駅東口徒歩3分
営業時間 11:00~20:00
規模 約60坪
オープン 2023年4月1日
CBRE業務 施設賃貸借仲介業務

© 2023 SANRIO CO., LTD.   著作:株式会社サンリオ

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上記内容は BZ空間誌 2023年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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