西新宿は、景気の影響を受けやすい業種(具体的にはサービス業や人材派遣業等)が集積しており、また、リーマンショック当時は西新宿のステータスを求めて居を構えていた不動産ファンド、金融サービスが大打撃を受け、そのため以降の空室率は、都内の他のビジネス街より大きく上昇に振れた。
賃料水準も、2009年6月まで期を追うごとに減額率が大きくなり、日に日にマーケットが悪くなるといった状況が続いていたと言える。
ただ、この状況は昨年末までで、昨今、マーケットには明らかな変化が感じられる。
2009年12月から2010年3月にかけて空室率が大きく上昇しているが、これは、大きく退去した単体の企業の事例が数値に表れただけで、マーケット全体では昨年末で空室率の上昇は落ち着いたと見ていいだろう。
今年に入り、新宿のターミナル性、集客力に起因したニーズが復活。
今までコスト面から西新宿を移転候補先に上げられなかった企業の新規参入ニーズが出始め、値ごろ感が出始めた駅近の高層ビル群が決まり出している。
目立つ企業の動きとしては、各種学校の新規出店や同エリア内での立地改善などが挙げられ、各ビルで入居テナントの増床の動きも出てきている。
特に駅近の空室はなくなりつつあり、その空室もフロア毎にまばら状態で、大面積の空きはすでに希少。
ただし、駅から距離のあるビルの空室については、市況が底上げされてから決まり始めるため、消化に時間がかかると思われる。