成熟と進化が融合し、正に日本一のビジネス街と言える丸の内・大手町。
2002年の丸ビルの建替オープン以降も大規模ビル開発が着々と進行し、リーマンショック当時、最も高額賃料のエリアでありながら空室率も1%以下と活況を呈していた。これらビル群には、当然、国内外の優良企業が入居していたわけだが、昨今の大企業は昔と違い経済変化への反応が敏感。
すぐにドラスティックな動きを見せ、2009年に入ると空室率は4%台まで一気に上昇し、賃料水準も元が高額だっただけに大きく低下する。
2009年の後半には賃料に値ごろ感が出始めてきたが、他エリアに比べまだ高額なものであった。
移転を考える企業には既存ビルでの引き止めが強く、また移転費用捻出の問題もあり、2009年いっぱいは一度発生した空室へ埋め戻しが効かない状況が続いた。
風向きが変わり始めたのは2010年に入ってのこと。
1,000坪クラスの大型の引き合いが見られ、実際に契約に至るケースも出始める。また、そのような他社の移転動向に、企業が注意し出した感がある。ただ、今後の開発で大型供給が見込まれており、今が移転のチャンスなのか否かの捉え方には企業毎にばらつきが見られる。
いずれにしろ丸の内・大手町が日本一のビジネス街であることに揺るぎはなく、これまでの市況回復期でも、相場は高水準物件が牽引していくのが常。"底打ちの兆し"から"確実な上昇"への転換は、思いのほか早いかもしれない。