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みずほ証券石澤氏が語る、オフィス市況は底を打ったのか?

オフィス系REITに投資家の人気が集中。賃料底打ちや稼働率上昇の事例が増加。
ただし、REIT価格上昇には期待先行の部分も。

みずほ証券株式会社 リサーチグループ 金融市場調査部 チーフ不動産アナリスト 石澤 卓志

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不動産市況の回復により、オフィス賃料に上昇期待

オフィスビルは、J-REITの運用対象不動産の51.5%を占め、最も重要な投資対象となっています(取得価格ベース、2013年4月30日時点)。J-REITの投資対象としてオフィスビルが重視される要因としては、住宅など他用途の不動産と比較して、①市況次第で高い収益性を確保できること、②空室率や賃料についての市場データが整備されており、運用成績の評価や、市場動向の予測が比較的容易であること、③施設・設備の内容やテナント属性に特徴が多く、他のJ-REITとの差別化が図りやすいこと、などが挙げられます。このうち①の収益性は、特に最近、多くの投資家に注目されています。

一般財団法人日本不動産研究所が半年毎にまとめている「不動産投資家調査」によれば、オフィスビルの期待利回り(Expected Cap Rate)は、同一エリアの住宅に比べて、0.3〜1.0ポイント程度低くなっています。例えば、2012年10月時点で、港区・赤坂エリアの優良オフィスビルの期待利回りは4.9%、3A地区(麻布・赤坂・青山)の外国人向け高級賃貸マンションの期待利回りは5.9%です。期待利回りが低いということは、投資家が「投資リスクが低い」と判断していることを示します。住宅は、テナント(居住者)候補の数は多いものの、テナントの入退出が頻繁であるため、稼働率を安定させることが難しいといえます。また、住宅には、築年数が経過すると入居者の募集に難点が多くなり、資産価値の低下が比較的早いなどの問題点もあります。

オフィスビルは、一般的に、同一エリアの住宅に比して賃料水準が高く、賃料の変動幅も大きい傾向が見られます。このため、不動産市況が悪化している時期には賃料水準が大きく低下する一方で、市況の回復期には賃料の値上げによる増収が期待できます。

オフィスビル特化型のJ-REITである日本ビルファンド投資法人(NBF)の1口当たり分配金(配当)の推移を見ると、2008年6月期の22,549円をピークに6期(3年間)連続で減配となり、2011年6月期には15,138円まで減少しました。減配が続いた要因は複数存在しますが、賃料水準の低下が続いたことも一因です。NBFが保有するビルには優良企業が多く入居していますが、不動産市況が悪化する中で賃料相場が下落し、テナントからの賃料減額要求に対応せざるを得ない状況が続いていました。しかし、2011年後半から賃料が下げ止まってきたため、NBFの2011年12月期〜2012年12月期の1口当たり分配金(実績値)は、15,000円台で安定した水準を維持し、2013年6月期以降は不動産取得の効果もあって16,000円台に増加する見込みとなっています。

オフィスの収益向上を示すデータが増加

J-REITは、決算期ごとに保有不動産の時価評価を鑑定会社に依頼しています。鑑定評価の前提となったキャップレート(直接還元利回り)の推移を見ると、東京都心部のオフィスビルについては、2011年後半に0.1〜0.3ポイント程度低下した例が多く、2012年前半には、都心周辺部の物件に低下傾向が広がりました。キャップレートの低下は、鑑定会社が、オフィスビル事業の経営環境が好転したと判断したことを示しています。なお、J-REITが保有する住宅については、2011年前半からキャップレートの低下事例が増加し、その後も低下傾向が強まっているので、オフィスビルよりも早期に市況が改善したといえます。また、2012年以降は、商業施設にもキャップレートが低下した例が増えきました。

2012年頃までは、J-REITが保有するオフィスビルから、コスト削減を目的としてテナントが退出した例や、賃借面積を縮小した例が多く見られました。例えば、東急リアル・エステート投資法人(TRI)が保有するオフィスビルの稼働率は、2011年9月末には97.5%の高水準を維持していましたが、同年12月頃からテナントの退出が目立つようになり、2012年6月末には87.0%に低下しました。しかし、TRIがテナント誘致に尽力した結果、2013年2月末時点の稼働率は93.3%まで回復しました。現状では、一部のJ-REITにまとまった空室を抱えている例が見られるものの、オフィス系REITの多くは、ポートフォリオ全体で90%以上の稼働率を確保しています。

これまでは、空室を新規テナントで埋め戻しても、フリーレント(入居後の一定期間の賃料の支払いを減免する措置)が導入されているため、J-REITの賃料収入にはなかなか貢献しない例が多く見られました。しかし最近では、フリーレント期間も短縮傾向にあり、2012年初めには6ヶ月間程度が一般的だったものが、2012年末以降は3〜4ヶ月程度の例が増えています。

オフィス系REITは有望な投資商品

図表1:東証REIT指数(用途別指数)の推移

図表1:東証REIT指数(用途別指数)の推移

図表2:
東証REIT指数(総合指数)とJ-REITの平均配当利回りの推移

図表2:東証REIT指数(総合指数)とJ-REITの平均配当利回りの推移

今後の業績予想について、多くのJ-REITは慎重な見方を変えていませんが、投資家の多くは、J-REITが予想値を上回る運用成績を上げると見ています。このような投資家の期待は、J-REITの値動きにも反映されています。2012年1月4日を1,000として、東証REIT指数(用途別指数)の動きを指数化すると、2013年4月30日時点で、オフィス系REITの指数は2,021となり、住宅系REITの1,675や、商業・物流系REITの1,818を大きく上回っています(図表1)。多くの投資家は、オフィスビル市況が底打ちしたことから、今後は、オフィス系REITの運用成績が、住宅系や商業・物流系よりも大きく伸びると予想しているようです。

ただし、今後、J-REITの収益がどの程度改善するかについては、不明な点もあります。不動産専門誌によれば、J-REIT市場の関係者の中には、強気の予想を示す例が増えており、現在は1,600ポイント程度で推移している東証REIT指数(総合指数)が、2014年4月頃には2,000ポイント以上に上昇するとの見方も出ています。この中には、「2013年後半からオフィス賃料が上昇する」見込みであることを、東証REIT指数の上昇要因とする見解も見られます。しかし、2014年前半までの賃料上昇による増収は、各J-REITについては10%程度にとどまると予想されます。

J-REITの「本業」ともいえる不動産賃貸事業は、景気動向にあまり左右されずに、安定した分配金(配当)を投資家に還元できる点が大きな特徴です。このため、株価(投資口価格)が上昇すれば、配当利回りは低下します。2012年6月以降、東証REIT指数はほぼ一貫して上昇が続いており、J-REITの平均配当利回りは、2012年初めには6%以上に達していたものが、現在は約3.3%に低下しています(図表2)。仮に今後、東証REIT指数が2,000ポイントに達すると、主要なJ-REITの配当利回りが2%台となり、一部には配当利回りが1%台の例も出てきます。その一方で、長期金利は徐々に上昇してくると予想されるため、J-REITの「利回り重視の金融商品」としての魅力は薄れてしまいます。東証REIT指数が2,000ポイントまで上昇した場合には、不動産運用の実情に基づかない上昇部分が多いと考えられ、投機的な資金によって上昇した可能性を疑うべきでしょう。

このように、今後のJ-REIT市場の動きについては注意すべき点もありますが、オフィス市況がすでに底打ちし、オフィス系REITが有望な投資対象となったことは確かと言えるでしょう。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2013年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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