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賃貸オフィス・事務所の記事

トランスコスモス株式会社

コンタクトセンター激戦区の札幌で、最大規模の新センターを設立。
人材確保に向け、オペレーターの働きやすさを徹底的に追及。

昨今、コンタクトセンターは、BCP対策のための複数センターでの業務分割や、コスト最適化のためのニアショア化などの要望が高く、それらに対応するための地方型コンタクトセンターの重要性がますます高まっている。全国に13,000席を超える国内最大規模の席数を有するトランスコスモスも、2013年11月、コンタクトセンター集積地として名高い札幌に、「MCMセンター札幌北口」を設立した。これまでの同社の取り組みを集約した、「女性の視点から働きやすさを追求したセンター」の詳細を紹介しよう。

IT活用で多彩なビジネスを展開する有数のグローバル企業

東京都渋谷区に本社を置くトランスコスモスは、1966年、主にデータエントリーなどを行う企業として創業した。その後、1970年代には各地に支社を広げ、1989年のサンフランシスコ事務所開設を皮切りに、現在は米国、中国、韓国、シンガポール、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン、ヨーロッパ各国にも拠点を展開するグローバル企業となっている。

今日の同社のビジネス領域は主に4つ。1つ目は商品・サービスの問い合わせ、通販受注窓口をはじめ、技術的な問い合わせなど幅広い業務に対応したインバウンドサービスや、商談機会の創出や顧客との関係醸成を実現させるアウトバウンドサービス、ビッグデータ分析と活用を行うアナリティクスサービスなどを行う「コンタクトセンターサービス」。2つ目は、企業内間接業務のプロセスを改善し、運用コストを最適化するバックオフィスのほか、SCM、アプリケーション開発などを行う「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービス」。 3つ目は、インターネット広告やWebサイトの構築・運用などを行う「デジタルマーケティングサービス」。そして4つ目は、お客様企業のEC事業戦略およびブランド戦略に基づき、ECサイト構築・運用からフルフィルメント(入荷・ピッキング・梱包・出荷)、カスタマーケア、Webプロモーション、分析までEC事業に必要な機能をワンストップで提供する「グローバルECワンストップサービス」である。この4つのサービスを中心に、それぞれを複合的に融合させた幅広いビジネスをグローバルに展開し、2014年3月期決算では1865億円の売上高にまで成長している。

また、トランスコスモスは、米ガートナーが2014年4月25日に発刊したBPO市場に関するレポート「“Market Share Analysis: Business Process Outsourcing, Worldwide, 2013” Cathy Tornbohm, Dean Blackmore, 25 April 2014」において、世界の地域別BPOプレーヤーとしてアジア/太平洋および日本(2013年売上高) で第1位となっている。

部門決裁でスピーディに人材確保を最優先した拠点展開

トランスコスモスのビジネス展開を見て驚くのがその拠点の多さだ。2014年7月時点で国内に45拠点。加えて海外にも14ヶ国・69拠点がある。これは、同業他社のベンダーがコンタクトセンター事業に特化しているのに対し、同社は前述した通り、総合的なビジネスを展開していることに起因している。

特筆すべきは、こうした拠点を各部門主導で随時開設しているところ。一般的な企業であれば、全社的な検討や調整、役員承認といった段階を踏むため時間がかかることが多い。部門主導で拠点を展開する同社は、圧倒的にスピーディだ。「もちろん、拠点展開に際して部門のみの個別最適ではなく、全体最適を図るため横の連携を重視していますが、お客様のニーズに合わせた地域や優れた人材がいる地域に受け入れるスペースがなければ、新たな仕事は受注できなくなります。そのロスを防ぐためには、必要に応じていかに対応していくかが重要なのです」。そう語るのは、同社サービス推進本部インフラマネジメント部部長の大瀧智氏である。

これまでの出店エリアを見ると、まずは首都圏から始まり、次いで沖縄それから札幌、さらには仙台、大阪、和歌山、福岡、宮崎に展開するなど全国に拡大していった。札幌、仙台、福岡など政令指定都市への出店は、不動産仲介業者の紹介で拠点となるビルの候補を選ぶケースが多いが、それ以外の地域では、地方自治体からの働きかけにより拠点を決定することが多いのも特徴だ。例えば沖縄のある拠点は、もともとスーパーだった建物を市が買い取り、その後コンタクトセンター仕様にフルリニューアルした施設を借りている。また、宮崎では約400坪のコンベンションセンターが、和歌山では第三セクターの運営する展示場だった物件が同社のコンタクトセンターに生まれ変わった。このように、注視しているエリアには、日頃からアンテナを張り、様々なチャネルを駆使して情報を集めていることが、スピーディかつ合理的な拠点開設を実現できる鍵となっている。

出店場所を選ぶ際、最も重視しているのが人材の採用しやすさだという。同社コンタクトセンターサービス統括IT推進統括部インフラユニット運用第一グループのグループ長代理の澁谷剛史氏は、「インバウンドであれアウトバウンドであれ、優秀な人材が数多く在籍していることが、競合他社との差別化につながります。それだけに優れた人材の採用のしやすさが、最優先の課題になるのです」と語る。どのような業種・業態の企業であっても、人材確保が経営上重要なファクターであることに違いはないが、先に大瀧氏が述べている通り、コンタクトセンターではコミュニケーターの質と人員数が、売り上げとサービス内容に直結する要素となる。一般的なオフィスに比べ、それがいかに切実であるかは想像に難くない。

コンタクトセンター激戦地・札幌でさらなる拠点設立に意欲

札幌は、競合他社も多く拠点を持つコンタクトセンター激戦地であり、それだけ優秀な人材が獲得できるエリアとして、業界内では知られた場所である。その中にあってトランスコスモスは、1980年に札幌に進出してから、これまで「札幌大通南(870席)」「札幌駅前(200席)」「札幌大通北(290席)」の拠点を運営してきた。あえて複数拠点としていたのは、札幌では数千席を一括して賃貸借できるビルがないことと、数千人規模のセンターではマネジメントが難しいといった点や、BCPの観点から災害時のダメージを抑えられるというメリットが挙げられる。しかし、なによりも重要なのが、人材採用における有効性なのだという。JRと地下鉄が通る「札幌駅」周辺と、地下鉄3路線が集中する「大通駅」周辺の2つのエリアに拠点を分けることで、JRを利用する周辺都市からの人材、地下鉄沿線の人材を、効率よく採用できるという。さらに、1つの都市にいくつもの拠点を展開することで、地域での存在感は当然大きくなる。No.1のコンタクトセンター企業として認知度を上げれば、採用のしやすさに直結するのだ。

これら札幌での、1,360席の規模のコンタクトセンターは100%近い稼働率を続けており、かねてからBPO、デジタルマーケティングサービスも含めた拠点拡大の必要性が切実なものとなっていた。札幌には、まだ優秀な人材が多くいるとの判断からの展開である。当然、常日頃から新たなセンターとなり得る物件情報を収集していたが、某有名予備校が移転し、旧校舎を賃貸に出すという情報がCBREから持ち込まれたのが2013年1月のこと。ここから、新たな拠点となる「MCMセンター札幌北口」設立のプロジェクトがスタートした。結果、同年11月に開設されたセンターは1,000席を有する同社最大級の拠点となり、札幌全体で2,360席の規模へと拡大した。

コンタクトセンターのあるべき姿を実現した「札幌北口センター」

「MCMセンター札幌北口」設立に当たっては、1月の物件紹介から3月にはすでに契約に至ったものの、内装工事に着手できたのは9月であった。通常は、契約から工事開始まで1ヶ月前後という同社の拠点開設としては異例の長さとなったが、これはビルオーナーが耐震化工事などのフルリニューアルを計画していたためだ。だが、結果的にはこの猶予期間が功を奏した。1つはいわゆるA工事と言われる初期の段階から、借り手である同社の意見をオーナに打診できたこと。通常のテナントビルでは対応できない、ビルの躯体に関わるような工事、ビル内の間仕切りはもちろん、電源の増強や人が多く入るために必要な空調や換気設備まで、思い通りの執務空間につくりあげることができた。これにより、BCPの観点から重要な安定的な電源供給システムや、自家発電設備の構築も可能になった。もう1つは、人材の採用や従業員満足度を高めるための、新しい取り組みを考える時間の余裕ができたことだ。「当社には、以前から現場の意見を尊重する、逆三角形ピラミッドと呼ばれる風土がありました。現場のコミュニケーターの頑張りが業績に結びつくのですから、当然のことと思います。その彼ら、彼女らが、ぜひ働きたいと思えるような環境やシステムづくり、いわゆる従業員満足度の向上を実現する、フラッグシップとなるコンタクトセンターをつくりたかったのです」(澁谷氏)。

ここで活躍したのが、同社内部組織「女性活躍推進プロジェクト」である。一般的に、コンタクトセンターは女性ワーカーの比率が高い。同社も例外ではなく、その比率はおよそ女性7:男性3といったところだそうだ。同プロジェクトは、もともと産休・育休からの復職など、女性ならではの悩みを解消して戦力化を実現し、将来的な女性マネジメント層を育成するために設けられていた。女性目線での働きたくなる拠点づくりを目指し「MCMセンター札幌北口」開設に当たっては、彼女たちの意見が大きく反映されることになる。具体的なセンターづくりに6月頃から参加した同プロジェクトのメンバーは、積極的に意見を出し、カフェを思わせるリフレッシュエリアの仕様や、パウダールーム内の設備、靴を脱いでくつろげる畳敷きの小上がりスペース、寒冷地ならではのロッカールーム内のブーツ置き場の設置や厚手のコートがかけやすいハンガー、さらには常時座って作業するのに重要な椅子の選択など、センターのファシリティ全般にわたり主導権を持って取り組んでいったという。MCMセンター札幌北口センター長代理の村上崇史氏は、「女性の多い職場だけに、オフィス内の飾りつけなど、職場がみんなにとって楽しい空間にしたいという雰囲気は他のセンター運営でも以前からありましたが、男性目線では分からない、こうしたファシリティへの意見が、数多く出てきたのには驚きました。言い換えれば、大層なことをしなくても、小さな要望でも疎かにせず不満をコツコツと解消していくことで、満足度は大きく変わるということを実感させられました。今後の運営においても、従業員へのヒアリングやアンケートで、継続的に要望を聞き、より良いセンターを実現していこうと考えています」と、その意気込みを語る。

 

地域貢献と従業員満足を目指した今後の新たな拠点展開の課題

「MCMセンター札幌北口」というフラッグシップ拠点の開発で、札幌での展開に1つの区切りを迎えたと思えるトランスコスモス。だが、全国的に見ると課題はまだまだ山積しているという。その1つが拠点の最適化。首都圏から地方都市への移行、初期に開設した拠点をリニューアルし従業員満足度をどのように向上させるか、遠隔拠点との連携向上、高齢化社会への対応など様々なコミュニケーターに合わせた施設・設備のあり方など、運用面での課題は多い。また、現在では札幌と沖縄に集中する拠点を全国に拡大し、雇用促進による地域貢献も目指しているが、それに関連して従業員の質、生産性を底上げするための教育にも時間がかかるだろう。「コンタクトセンターは、お客様の質問に答えるだけでなく、積極的にコミュニケーションを図ることで、顧客企業の価値を上げることができる素晴らしいビジネスです。良い人材を採用し、研修するとともに従業員の満足度を高めることにより高いサービスを提供できること、その結果として顧客企業の満足度向上とその地域に貢献できるよう、これからも積極的に拠点を開設していきたいと考えています」(大瀧氏)。

宮本 幹大

コールセンターマーケットの今



シービーアールイー株式会社
ビル営業本部 ビジネスデベロップメント室 スペシャリスト 宮本 幹大

東日本大震災を契機に、自社のみのコールセンターでは事業継続上のリスクが高いと考え、外部サービスを利用し、拠点や業務の分散を図る企業が増えています。そのため、業務を受託するコールセンター運営各社も、これまで以上に災害時のリスクやBCP、勤務者の安全確保などを考慮した拠点選定・構築が進められています。昨今のニーズで目立っているのは通販関連、中でもインターネットを利用したeコマース系需要でしょう。実店舗を持たない同業態は、対面のコミュニケーションがないデメリットをコールセンターで補填しようとしており、同業の拡大と並行してコールセンター業務も拡大し、その質、内容、果たす役割も変わってきています。そんな中、運営各社共通の課題は「優秀な人材の確保」で、いずれの企業も頭を悩ませているようです。拠点構築の傾向として、以前は飽和状態の札幌や九州・沖縄といったエリアから、さらに人件費や賃料が抑えられる競合他社の進出が少ないエリアを検討していた時期もありましたが、現在は人材確保の面から既存拠点の拡張や近隣での新設という動きが顕著と言えます。また、働きやすい環境の面から、賃借からオーダーリース、リノベーションといった、自社仕様での施設確保も目立っています。1拠点の新設が大きな雇用を生み出すこともあり、各自治体が誘致のために助成制度に力を入れていますが、運営会社は賃料・人件費などの各種コスト面、センターを維持・拡大していく上での人材の確保のしやすさなどを考慮して、エリア選定を行っていると言えます。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2014年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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