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第6回 アジアにおける 不動産投資のグリーン化

不動産投資のグリーン化

不動産投資のグリーン化

「オフィスビルの環境対策 第3回」では、急速な経済発展がもたらす環境負荷の増大を抑制し、気候変動へ対処するために、アジア各国の政府・都市単位で行われている様々な取り組みを紹介した。

地球環境への負荷をできるだけ少なく、そして利用者に優しい形で建築・都市計画を進めていくグリーン・ビルディング(地球環境に優しい建物)という考え方が、現在アジア諸国に浸透しつつある。では、不動産投資マーケットの視点からは、サスティナブルな建物(環境負荷を低減させるため長寿命化および省エネ化を図った建物)は、どのように評価されているのだろうか。

※本稿は『Sustainability Asia issue2』CB RICHARD ELLIS(2010年7月発行)より抜粋・和訳したものです。

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長期的にはより高い投資収益を生む"グリーンな"不動産ポートフォリオ

現在の不動産投資セクターにおいては、環境問題が投資ポートフォリオに影響を及ぼす可能性があり、サステナビリティを不動産投資戦略に組み込むことは長期事業を健全で合理的なものにできると同時に、社会的責任を果たす選択肢でもあるという認識が高まっています。政府の規制とインセンティブ、ますます高価になる天然資源、法律上のリスク、企業の社会的責任の高まり、入居者の行動の変化やステークホルダーからの圧力などのすべてが相まって、環境問題を不動産投資のプロセスに組み込むことが余儀なくされています。

エネルギー効率が国々の建築基準法に導入され、エネルギー性能の評定システムが定められるにつれて、近年は不動産ポートフォリオの管理手法に環境への配慮を取り入れる機関投資家や個人投資家、または社会的関心をもつ高額資産保有者や年金基金、機関などの数が増えています。

グリーンな不動産投資戦略と投資収益の向上との間に、直接の関連がまだ立証されていないことは確かですが、「不動産の選定に対するグリーンなアプローチ」は、追随する機関を幅広く引き込み始めています。この場合の主な要因は、エネルギー効率の低い建物は陳腐化し、その価格が割引の対象になるため、グリーンな不動産ポートフォリオの方が、長期的にはより高い投資収益を生むことを、投資家が次第に確信するようになってきたということです。

アジアでもいまやこの考えが根付きつつあり、大手投資家が投資の判断基準の重要な一部としてサステナビリティの原則を徐々に採用するようになり、既存ポートフォリオにある建物の環境性能を改善し始めています。さらにアジアには、建物のエネルギー効率改善プロジェクトに投資する画期的なファンドを立ち上げている投資家もいるのです。

グリーン・ビルディングと財務実績の強化とを結びつける論拠は曖昧なままですが、その主な要因は、一般に合意されている計測基準と、一本化された建築情報がないことです。しかし現在、不動産投資セクターの中では、旧式になって持続不可能な建築物や設備の管理業務は、資産価値および財務実績の低下につながるというコンセンサスが高まりつつあります。同時に投資家は、エネルギー効率やグリーン・ビルディングに関係する政府の規制強化が、世界的にも、またアジアの中でも、様々な市場で急速に実施されるようになることをも予想しています。

欧州連合はすでに新築と改装の建築物に関して、建築物エネルギー性能基準(EPBD)を導入し、オーストラリアでは新築の建築物はグリーン・スター(同国の建築物環境評価システム)の持続可能性能基準を守らなければなりません。アジアでは、シンガポール政府が昨年発表したグリーン・ビルディング・マスタープランに基づいて、同市内の建物の80%は2030年までにグリーン・マーク認証を受ける必要があります。

このように、エネルギー効率向上の義務化へと向かう動きがアジア全域でも勢いを増しており、入居者の賃借決定にも影響を及ぼすため、グリーンでない建物は徐々に陳腐化し、その資本価値と賃貸料が割り引いて取引されるので、結果として投資収益が低下する可能性があります。こういった建物には、過剰なCO2排出とエネルギー使用に対する処罰とからめての追加税がかかる可能性もあります。これとは対照的に、グリーン・ビルディングは市場での賃貸料の割増が見込め、減価償却のペースは遅くなり、より長い寿命を認められて、結局はより高い資本価値を維持することになるでしょう。

こういったことをすべて考え合わせれば、アジアではやがてグリーンな不動産がより高い価値と入居率を享受し、ひいては投資収益もより高いという二重構造市場の出現が示唆されます。

環境目標実現へ向け行動する企業、ING REIMの取り組み

アジアの機関投資家の中で、不動産関連事業においてサステナビリティへの取り組みで他を明確にリードしている企業の一つが、2008年にこの目標への積極的取り組みを企業方針に正式に定めたINGリアル・エステート・インベストメント・マネジメント(INGREIM)です。この方針は同社のビジョン、志と原則を定めており、サステナビリティの枠組づくりに役割を果たしています。同社は様々な業務分野の間での協力をサポートし、ベストプラクティスを共有し、持続可能な不動産プロジェクトに対するクライアントからの需要の高まりを予想して、標準的な業務慣行にサステナビリティを組み込むために、世界のすべての地域からの代表を集めて基盤を確立しました。

「この2年で、アジアにおけるわが社の投資クライアントの多くは、環境目標を投資判断の材料とし始めました。わが社の大手クライアント数社、特に大型の年金基金は、透明性とサステナビリティを一層強く求めるようになっています」とING REIMアジアのリチャード・プライスCEOは述べています。「わが社のグループ内にも、環境と企業の社会責任についてのきわめて前向きな取り組みがあります。つまり、社内でのトップダウンと、社外のクライアントの双方から二重の推進力が働いているのです」とも言い添えました。INGREIMアジアには、APGアセット・マネジメント、PGGMインベストメンツと大学年金基金(USS)の委託で、マーストリヒト大学が実施した世界的調査で対象となったファンドが2件ありますが、そのいずれも、アジアにおける持続可能な投資をリードする未公開不動産ファンドのトップ10にランク入りしました。

機関投資家は様々な方法で、サステナビリティについての懸念をポートフォリオの管理方法に直接反映させ始めています。ほとんどは自らのポートフォリオの中で、エネルギー効率やその他のグリーン基準に関係する現行または将来の法的要求事項に違反する可能性のある既存のビルを特定し、分類することから始めます。次に、こういった建物をより環境にやさしいものにする方法を検証します。採用される措置には、省エネ照明機器の取り付けといった比較的簡単で小規模な取り組みの実施から、建物全体に対して全面的に持続可能な改修を行う大がかりなプロジェクトまで幅があります。また、テナントや他のステークホルダーへ、エネルギーその他の省資源に関係する措置や目標について説明し、合意しています。

ING REIMアジアも同じようなモデルに従いました。「我々はまず、既存のポートフォリオを検査し、サステナビリティを向上させる上で我々にどの程度のコントロール力があるかによって、資産を様々なカテゴリーに分類しました」と、同社の上級副社長でグループの世界的なサステナビリティプラットフォームについてアジアでのコーディネーターを務めているアリエン・セッケル氏はコメントしています。「我々はLEED認証※を獲得できる建物を特定し、次にはコスト、行うべきこと、こうした措置から得ることの可能な利益について調査を実施しました。また、エネルギー利用を計測して、節減できる部分を探すことも始めました」

この方法で同社が遭遇した大きな課題は、既存ポートフォリオの所有権構造です。INGREIMアジアの自社資産に対するコントロールの度合は様々で、変更を受け入れないマスターリース会社が存在したり、またジョイントベンチャーのパートナーを説得したり奨励したりしなければならない場合もあります。ポートフォリオの中で、同社が全面的なコントロールを握っている建物の件数はごく限られています。もっとマクロなレベルで見ると、アジア全域の様々な国々で環境に関する認証規定や基準が異なっており、不動産市場における規格化の欠如は、サステナビリティへの取り組みの障害になり得る場合が多いのです。

ING REIMアジアの全面的なコントロールのもとにあるポートフォリオの中で最大の資産は、東京郊外にあるショッピングセンターです。同社はこのショッピングセンターで建物のエネルギー消費量を積極的に削減しており、数々の対策を導入した結果、ガス、水、電気の使用量が年ごとに大幅に減少しました。導入された措置は、エスカレーターの稼働時間の短縮、非常階段へのセンサーの設置、井戸の利用、エアコンの稼働時間の短縮、建物の裏手照明の利用削減、インバータ・コントローラーの組み込みなどです。

今後の導入予定には、LED照明やゴミから発電を行うシステムなどがあります。「次のステップは目標を定めることです」とアリエン・セッケル氏は語っています。「将来的には、世界や地域のグリーン・ビルディング基準に照らしてわが社のポートフォリオを評価し、それを基本にして地域内での比較を行いたいと考えています。

ただし現時点では、何ができるかを判定できるように、わが社の現在の立ち位置を測ることに限っています」。ING REIMヨーロッパは最近、GE、AXAおよびAEWと共に、ポートフォリオの環境性能を評価し、ベンチマーキングを行うために「グリーン評定」と呼ばれるテストシステムを導入しました。同社はパイロット・プロジェクトに12の異なるファンドから30の建物を提供し、ING RE ヨーロピアン・オフィス・ファンドはその全不動産について、エネルギーや水の伝送性能を調査中です。この新たな評定システムは、成功すればやがてアジアにも展開されます。

不動産のエネルギーコスト削減により、投資収益を得る新たなビジネスモデルも

アジアの機関投資家の間で持続可能な不動産に対する関心が高まっているのと共に、アジア全域の建物のエネルギー効率向上への取り組みに投資するという画期的な投資家もいます。サスティナブル・ディベロップメント・キャピタルLLP(SDCL)は、エネルギーを大量に消費する中国の工業用地で開発中のエネルギー効率向上プロジェクトや、官民のビルや設備に投資するチャイナ・エネルギー・エフィシェンシー・パートナーズL.P.ファンドのために資金を調達しています。

このファンドはこの種のものとしては初めてペイド・フロム・セイビングズ(コスト節減分で賄われる)モデルを基本にするファンドで、省エネのソリューションや機器の設置、運用、保守を行っている中国本土のプロジェクトに投資を行い、かなり高水準の予想収益を上げることを目的とするものです。用地、建物、または設備のオーナーが結果的に得るエネルギーコストの削減を共有して、投資収益を得ることを目指しています。

「技術的な裏付けがあり、経済学から見ても合理的です」と香港にあるSDCLのディレクター、グレン・プラムブリッジ氏は語ります。「今後5年間で、アジア全域にわたって既存ビルのエネルギー効率を厳しく縛る多くの法律が制定され、人々はサステナビリティのための改修を強いられるようになるでしょう。それと同時に、改修工事はこれまでほど複雑なものではなくなっています。技術、測定、検証のすべてが、高度化しつつありますから」

資源高騰でエネルギー効率化は不可欠、サスティナブルな改修は最も安価な解決策に

CEEP(欧州公共企業体センター)モデルでは、資源の制約が高まっている世界経済と、諸国間で高まっているエネルギーに関する課題に直面しているという意識を活用しようとしています。「エネルギーが尽きかけているのですから、各国はもっとエネルギー効率を高める必要があります」とグレン・プラムブリッジ氏は語ります。「気候変動の問題や炭素の排出削減とは異なり、我々の産業の成長は結局、ソブリン・リスク(政府債務の信用危機)と自給自足によって推進されるということになるのかもしれません」と氏は言い添えています。

国連環境計画、クリントン気候イニシアチブ、世界最大手の年金基金のP8グループに関わっているSDCLでは、天然資源の高騰により、エネルギー効率向上はビジネス上非常に合理的なことになり、建物のサスティナブルな改修はこの問題に対して第一に取るべき、最も安価な解決策であることを確信しています。CEEPモデルにとっての最大の課題は、拡張の可能性と、ほとんどのプロジェクトが小規模過ぎるために銀行やその他の投資家の多くが関心を示さないことです。SDCLは、プロジェクトは規模が大きいほど価値があると考えていて、現在、大手デベロッパーと提携して、ポートフォリオ全般にわたってエネルギー効率向上のための改修資金を調達する機会を模索しています。

これ以外にも、世界中でグリーンな資金調達や投資手段にはずみがつきつつあり、それが徐々にアジアへと広がっています。近年では、2007年に欧州連合が発行したクライメート・アウェアネス(気候変動意識向上)債券などのように、低所得者向け住宅を持続可能にする改修プロジェクトを賄うために地方政府の発行するグリーン債を購入する、社会的責任感の強い投資家の数が増えています。商業銀行のグリーン・ローンや投資商品も提供されています。

韓国政府は2010年1月に「低炭素、グリーン成長」法案を正式に可決して、経済成長と温室効果ガスの排出削減をもたらすようなエコフレンドリーな企業とプロジェクトの開発に、年間の国内総生産の2%を支出することを約束しました。同時に、韓国大手銀行の多くが、グリーンな住宅や商業ビル向けのローンを含めて、新規のグリーンな金融商品やサービスをいくつも発売しました。

中国は、グリーン不動産に投資するのに最も望ましいと投資家が見なしたアジア市場のリストの最上位にあります。「過去数年間で、中国における建築基準と建築物の質の向上は目覚ましく、現在同国の建築技術は先進欧米市場の多くにおけるよりも高度になっています」とリチャード・プライス氏は述べています。「中国は急速な都市化が続くにつれて何世代分もの建築基準と非効率な技術を飛び越えて向上するでしょうし、そのことは、グリーン・ビルディングへの投資家に対し多くの機会を提供するでしょう」。省エネ効率の面では、中国はこの6年間でESCO事業の件数と、毎年のエネルギー効率向上プロジェクトの対価を倍増させてきました。

「中国にはアジアでも拘束力の強い法律がいくつかあり、エネルギーの課題を切実に認識しています」とグレン・プラムブリッジ氏は語っています。実際、中国はこの数年間で強力なトップダウン政策を実施してきました。この政策には全国的な省エネ目標やクリーン・エネルギー目標が含まれ、グリーン・プロジェクトやエネルギー効率向上プロジェクトに携わっているデベロッパーに対して、地方自治体レベルで提供されるインセンティブによって補完されています。

アジア全域では政府支援の拡大が必要、一部では財務上のインセンティブも必要

アジアの他の地域を見ると、シンガポールは優れたインフラと、省エネおよびグリーン・ビルディングに関係する強力な法規や規制を有していますが、市場としては小規模です。香港では、細分化された所有権、政府のリーダーシップ不足など、古くからの問題によって前進が遅れています。「一般的にアジア全域では政府支援の拡大が必要とされており、一部の市場には財務上のインセンティブが欠けています」とリチャード・プライス氏は述べています。「オーストラリアなどの市場では政府がとても積極的で、そのことが実際にグリーン投資を促進しているのです」

持続可能な不動産へ投資が徐々にシフトされているにもかかわらず課題はいくつも残っており、中でも特に顕著なのが、グリーン・ビルディングの開発が本当にコスト増に見合う価値をもつかどうかがまだ立証されていないということです。

「我々はサスティナビリティへの投資が重要であることを確信していますが、冷静な目で、常に費用と便益のバランスを心掛けなければなりません」とリチャード・プライス氏は語ります。「ただし投資家として見ると、グリーン・ビルディングが機能的に陳腐化することは考えにくいため、グリーン・ビルディングへの投資の価値が現れるのは売却時となるでしょう」。長期的には、改良されたデータと調査で、新たな規制や需要の増加が実際にグリーン不動産の価格上昇をもたらすかどうかが実証されるでしょう。

いずれにしても、現在、社会的責任感のある不動産投資家が、ポートフォリオ資産の陳腐化を防ぎ、二酸化炭素排出やエネルギー利用に絡んで今後に課税や罰則の対象となる恐れを回避するために、資産の環境性能の評価と改善を行っています。そのため、世界やアジア地域でグリーン・ビルディングを支持する勢いは徐々に高まっているのです。

アジア各都市のグリーン・ビルディング関連ニュース

中国

アジア各都市のグリーン・ビルディング関連ニュース:中国

中央政府、全国的なグリーン・シティの実証プロジェクトに着手

中央政府は、中国全土にグリーン・ビルディングのモデル都市を開発するための補助金申請の受付を終了しました。このプログラムは財政部と住宅・都市農村建設部が策定したもので、再生可能なエネルギー源を使用するサスティナブルな設計がなされ、効率的でモダンな交通システムをもつグリーン・シティを創り出すことで、全国的に再生可能なエネルギーの利用拡大を促進することを目指しています。中央政府が開発の建設総費用の60%を負担し、3年間の分割で支払うことになっています。この申請が認められるのは、各州で2市および3郡までです。開発者はエコシティ内での建設に際して、建物一体型太陽光発電、太陽熱温水システム、地熱ヒートポンプ、断熱や照明を含めて、エネルギー率の高い建築技術を利用することを義務付けられます。

中国と米国のグリーン・ビルディング協会、覚書に調印

米国グリーン・ビルディング協会(USGBC)と中国グリーン・ビルディング協会(CGBC)は今年春、協力強化を進め、両国における環境に配慮した建築慣行を支援するための覚書に調印しました。USGBCは声明で、両組織は建築セクターにおいてグリーン・ビルディングと二酸化炭素の排出削減を促進するために協力していくと述べています。協力の内容には、この2つの組織が開催するグリーン・ビルディング会議、共通の関心分野である一連の問題に関する共同研究や教育プロジェクトへの支援が含まれます。

上海の高層ビルがLEED-CSゴールドの事前認証を獲得

上海で建設中の26階建て高層商業ビルが、建物の構造と設備を対象とするLEED-コア・アンド・シェル(LEED-CS)プログラムに基づくLEEDゴールドの事前認証を与えられ、上海で当評定を受けた初めての高層ビルとなりました。イースト・ドンダミン1080にあるこのビルは、上海のかつてのユダヤ人街にあって、黄浦江から2ブロック離れた場所に位置しています。LEED-CSの評定では、テナントの内部スペースを除いたプロジェクト全体を評価します。建物の持続可能な特性には、内部スペース全般にわたってのエネルギー使用の低減、地熱ヒートポンプ、個々のエリアの管理強化を可能にする部屋単位のセンサー、地産材料の使用、建物の水使用量の削減、水効率の良い造園などがあります。

香港

アジア各都市のグリーン・ビルディング関連ニュース:香港

環境に配慮した啓徳空港跡地再開発プロジェクト

九龍の啓徳国際空港跡地の再開発には、環境に配慮した機能が数多く取り入れられると報じられています。公営の住宅団地、ショッピングモール、客船ターミナルや数棟の官公庁ビルを含むことになっているこの巨大プロジェクトには、16億7000万香港ドルの地域冷房システムが採用される予定ですが、これによって従来の空調システムに比べて35%の電力消費量が削減されると予測されています。30~40階建てのビルを冷房する能力をもつこのシステムは、年間で最大8億5000万キロワット時の電力を節約することになり、59,500トンの二酸化炭素排出量を削減することができます。跡地に建設される公営の住宅団地にも太陽光発電を利用するなど、様々な省エネ技術が採用されることになっています。住宅団地の敷地面積は9.17ヘクタール(その30%が緑地帯となります)。これ以外にもプロジェクトに盛り込まれる予定の環境対策としては、LED照明、節水システム、リサイクル材料から作られる舗道や花壇、電気自動車のために指定される充電エリアなどがあります。

HKGBC、産業用建物のためのグリーン・インセンティブを提案

香港グリーン・ビルディング協会(HKGBC)は、古い産業用建物を他の用途に転用するーナーに対して、省エネ技術を取り入れることを条件として、総床面積の上乗せを認めるという案を発表しました。ガイドラインの素案で扱われているのは、エネルギーと水の利用、ゴミ処理と緑化です。計画案では、建物は義務化される建物エネルギー規則(来年施行予定)によって定められる最低限のエネルギー性能を達成し、建物で消費されるエネルギーの最低0.5%は、再生可能エネルギーから生産されたものでなければなりません。通常の水消費量を最低でも5%削減するために、洗浄洗濯排水をリサイクルしなければならないとともに、年間の上水道消費量を20%削減するために節水装置を取り付ける必要があります。解体廃棄物は最小化し、転用の過程で出た廃棄物の最低30%はリサイクルすることになっています。さらに、建物の外部面積の最低20%は、壁面緑化を含めて植物で覆わなければなりません。

インド

アジア各都市のグリーン・ビルディング関連ニュース:インド

ニューデリー市当局、建物の改修計画に着手

ニューデリー市当局は、エネルギー資源研究所(TERI)との覚書の調印後に、二酸化炭素排出量を削減することを約束した21棟の官公庁ビルの第1群について、改修作業を開始しました。現在、ニューデリーにある官公庁の建物はすべて、2007年5月にエネルギー効率局(BEE)が策定した省エネ建築規定(ECBC)を守ることを義務付けられています。これに関連するニュースとして、タミル・ナドゥ州の州都であるチェンナイに9500万米ドルをかけて新築された州の議事堂は、LEED認証制度に基づいてインド・グリーン・ビルディング協会(IGBC)がゴールドの格付けを与えた世界初の議会ビルとなりました。ドイツの設計事務所GMPの設計によるこのビルは、節電のために自然光を採り入れ、消費電力を削減するようになっています。見積もりによれば、このビルは同じ規模の他のビルに比べて、電力消費量をおよそ20%節減するということです。総合ビルである議事堂の内部には、34万平方フィートのグリーン・スペースがあり、水はすべて、敷地内にある下水処理プラントを利用してリサイクルされます。

グリーン・タウンシップの集合住宅に関するガイドライン案

政府は国内の大手不動産デベロッパーに対し、エネルギー消費量の少ないグリーン集合住宅に関して新・再生可能エネルギー省(MNRE)とエネルギー資源研究所(TERI)が立案した新たなガイドラインを、自主的に採用するよう呼びかけました。新ガイドラインには、開発プロジェクトはエネルギー需要の 5%を再生可能なエネルギー源から得たものにするという要件が含まれます。政府は最近アンサル・プロパティーズとの間で、今後3年間におよそ130億ルピー(2億7800万米ドル)を投資して、グルガオンに「エセンシア」と呼ばれる面積112エーカーのグリーン・タウンシップを開発するジョイントベンチャーを組成する契約を締結しました。これに関連するニュースとして、マハラシュトラ州当局は、同州における開発プロジェクトにグリーン技術を採用するようデベロッパーを説得するため、開発管理規則に修正を導入する計画を発表しました。新たなガイドラインを守るデベロッパーは、その開発プロジェクトに対してゼロ・エネルギー認証を取得すれば、容積率の追加を認められることになります。

インドネシア

アジア各都市のグリーン・ビルディング関連ニュース:インドネシア

GBCI、グリーンシップ評定ツールの運用を開始

インドネシア・グリーン・ビルディング協会(GBCI)は、新たなグリーン・ビルディングの評定システムである「グリーンシップ」の運用を正式に開始しました。新システムには、敷地・エネルギー・水と資源の使用状況、屋内の品質と環境管理から成る6つの評定基準が含まれています。ジャカルタにある10棟の建物がすでに、グリーン・ビルディングの認証登録を受けています。その内、市庁舎のブロックG、ジャカルタ市議会ビルと公共事業省ビルの3棟は官公庁の建物です。GBCIを創設したNaning Adiwoso氏は、この評定ツールは近々、スマトラやバリを含めた全国の他の地域にあるビルの認証に利用できるようになると語っています。グリーンシップがこれまでの評定ツールと大きく異なっているのは、認証の有効期間が新築のビルについても3年間だけで、その後は再認証が必要になり、そのためLEEDよりも厳格な制度となっている点です。

ジャカルタ市当局、全市にグリーン・ビルディングの評定システムを導入

ジャカルタ市当局は、今後の建設プロジェクトにエネルギー効率基準を満たすことを義務付ける建築許可の細則を、改訂して発表するもようです。ジャカルタ建築監督局(BuildingSupervisory Agency)は、設計が細則の基準を必ず満たすようにするため、デベロッパーが建築許可を取得してからその建設計画を詳しく調査することになります。ただし、市はグリーン・ビルディング認定証を出すのではなく、インドネシア・グリーン・ビルディング協会(GBCI)が定めた最低基準に沿ってベンチマーク評価を示します。2020年までに二酸化炭素排出量を現行レベルから26%削減するというインドネシアの目標の達成に、新条例が役立つことが期待されています。

韓国

アジア各都市のグリーン・ビルディング関連ニュース:韓国

政府、グリーン・ビルディングの認証に関する規則を改正

政府は7月、グリーン・ビルディング認証に関する規則を改正して、認証を取得するまでの所要時間を短縮し、認証のレベルを2種から4種へと増やしました。現行制度のもとでは、韓国グリーン・ビルディング協会(KGBC)による認証の有効期間は5年間で、その時点で延長が認められることがありますが、建物の認証はすべて、10年が経過したら更新しなければなりません。

新しいコンベンション・センターがLEED-NCの認証を取得

ソンドに最近完成したコンベンション・センターの「ソンドコンベンシア」がLEED-NC(新築向けLEED)の認証を取得し、この認証を得たアジアで初めてのコンベンション・センターとなりました。一方、ヨンドのオフィス・プロジェクトである「パルク1」はLEEDのコア・アンド・シェルのゴールド・レベルの事前認証を得、またソウル中心部で2010年11月に開業するA級オフィスビル「センター1」は、LEEDのコア・アンド・シェルのシルバー・レベルの認証を獲得しています。

マレーシア

アジア各都市のグリーン・ビルディング関連ニュース:マレーシア

マレーシアGBI、既存建物の評定システムを開始

マレーシア・グリーン・ビルディング・インデックス( G B I )は既存の非住宅建築物(NREB)の新しい評定システムを打ち出しました。GBIの既存建築物認証制度は、新築に用いられる6つの主要基準をカバーしていますが、重点が若干異なります。過去3年間にエネルギーを節減したことを実証している建築物にもポイントが与えられるのです。新たなGBI制度はオフィスビルに適用され、倉庫や歴史的建築物などの建物にも適用されます。

Gタワー、グリーン・マーク・ゴールドの認証を取得

クアラルンプールの繁華街に新築されたオフィスビル「Gタワー」は、シンガポール建築・建設庁からグリーン・マーク・ゴールドの認証を取得しました。30階建てのタワービルはその効率的な空調と照明システムにより、規模と立地が同等の他のビルに比べて使用エネルギーが25%少なくなっています。屋上庭園と緑の壁を用いた造園がビルを冷やし、空気の質を向上させるのに一役買っており、また二重ガラスを用いて熱の伝導を抑えています。ビル全体に見られる植物や壁面の草木への水やりには、雨水貯留システムが使われています。ビルの室内装飾には、修復された古い家具が大量に再利用されていることが呼び物となっています。

フィリピン

アジア各都市のグリーン・ビルディング関連ニュース:フィリピン

UAP、フィリピン・グリーン・ビルディング・イニシアチブを開始

フィリピン・グリーン・ビルディング・イニシアチブ(PGBI)が、フィリピン建築家協会(UAP)によってスタートしました。PGBIは建物の設計、施工、性能とエネルギー効率に世界のベストプラクティスを組み込んだ建築物の調査と評価に、客観的なアプローチを提供することを目指しています。この取り組みは環境的、文化的に持続可能な建築術の利用を促進するもので、現在、温暖で湿潤なフィリピンの気候に適した独自のグリーン・ビルディング評定システムを開発中です。法令や、気候変動に関係する公共政策の策定を支援するために、サスティナブルな建築慣行を振興することも計画しています。

テキサス・インスツルメンツのテスト施設がLEEDゴールドを取得

テキサス・インスツルメンツ(TI)社がクラーク経済特別区に新築した78万平方フィートのテスト施設が、フィリピンではこの分野のものとして初めてLEEDゴールドの認証を取得する開発物件となりました。この建物は植物で覆われた反射性の高い屋根を用いて熱射を低減し、雨水の流出を遅らせます。可能な限り自然の昼光照明を利用し、デシカント(除湿)ホイールによる空気処理で除湿された爽やかな空気が供給されます。建築に使われた材料の20%以上が再生含有物から作られており、全建材の40%が地元で生産されたものです。トイレの洗浄には再生水が使用され、乾季には空気中の湿気を凝縮した水が植物の水やりに使用されます。低公害車には、優先駐車場が提供されます

シンガポール

アジア各都市のグリーン・ビルディング関連ニュース:シンガポール

プンゴル、シンガポール初のエコタウンとして正式指定

シンガポール住宅開発局(HDB)は、プンゴルを同国初の公式エコタウンに定めることを発表しました。同ニュータウンは、エネルギー、ゴミと水の管理の分野における新しいグリーン技術の実験台の役割を果たすことになります。プンゴルの町には、太陽光パネルと雨水リサイクルシステムを組み込んだ装置が評判となっているHDB初のグリーン公営住宅プロジェクトの「Treelodge@Punggol」もあります。HDBはタンパインズ、ブキ・パンジャン、タンジョン・パガールとマリン・パレードでも同様の太陽光発電システムを導入する予定です。このシステムは合計で600キロワットの発電能力をもち、町の消費エネルギーを相殺するために使用されます。

アジアのグリーン・シティ指数が明らかに

シーメンスとエコノミスト・インテリジェンス・ユニットの代表者は、シンガポールで7月に開かれた世界都市サミットでの講演で、アジア地域の11ヵ国の20の主要都市について、環境実績調査を実施する計画を発表しました。調査対象となる国々は中国、インド、インドネシア、日本、マレーシア、パキスタン、フィリピン、シンガポール、韓国、タイ、ベトナムです。調査では、エネルギー供給と二酸化炭素排出量、運輸、建築物と土地の利用、水、衛生、ゴミ、大気の質とグリーンガバナンスを含めた8つの環境カテゴリーに準じて、都市の計測と比較が行われます。調査結果は年内に公表の予定です。

台湾

アジア各都市のグリーン・ビルディング関連ニュース:台湾

台北郡、特定対象タウンシップにおいてグリーン・ビルディングを促進

台北郡は郡内の20のタウンシップと区域でグリーン・ビルディングを促進するための新規則を公布しました。新規則のもとでは、国内のグリーン・ビルディングの認証基準を満たす開発プロジェクトには、ボーナスの床面積が認められます。新たなインセンティブ制度では認証の等級に応じて、法定のGFA(総建築面積)の6%、8%、10%の面積をボーナスとして認めます。さらに郡当局は開発用地の透水性を上げて都市環境の質を改善するために、住宅用、商用、産業用の土地の建ぺい率を10%引き下げました。

台湾のプロジェクト、FIABCIの2010年度優秀賞を受賞

台湾の2件のプロジェクトが、世界不動産連盟(FIABCI)のサステナビリティ最優秀賞を獲得しました。台北郡当局が開発したインフラ・プロジェクトである台湾北部「ソーラー・シティ」が持続可能開発の部で2010年度の優秀賞を受賞し、さらに、台中市CMPが手掛けた店舗ビル「パーク・レーン」も店舗の部で優秀賞を受賞しました。台湾北部ソーラー・シティは太陽光発電システムを振興し、建物一体型太陽光発電(BIPV)の導入を一般化するために建設されました。駐車場の張出し屋根、バスの待合所や教育センターを含めた建造物のすべてにソーラーパネルが設置されて、合計で毎年20万キロワット時を上回る電力が生産されます。ソーラー・シティのインフラは年間およそ11万キロワット時を使用するため、このプロジェクトによって生み出される余剰電力は台湾電力に売り戻されます。また、CMPによるパーク・レーンは建物正面に緑の植物を植え付けるという方法により、1日当たり200kgの二酸化炭素を吸収し、150kgの酸素を放出することで、店舗の部で優秀賞を獲得しました。植物は、夏期に建物内の温度を維持して電力使用量を30%減らすのにも役立っています。

ベトナム

アジア各都市のグリーン・ビルディング関連ニュース:ベトナム

ベトナム・グリーン・ビルディング協会、LOTUSの認証を開始

ベトナム・グリーン・ビルディング協会(VGBC)は6月に初の大規模な大会を開催して、LOTUS非住宅グリーン・ビルディングの認証プログラムを正式に開始しました。2010年から2011年にかけてのパイロット・プログラムにより、LEED、グリーン・スター、BREEAM、GBIその他のガイドラインに基づき、ベトナムのマーケットに合わせたグリーン・ビルディングの認定が導入されます。パイロット・プログラムでは認定に3つのレベルを設けて、ベトナムが直面しているこの国ならではの課題のために考案される保守や運用の基準を策定することが期待されています。現在VGBCはパイロット・プログラムの対象として、3~4件の建物を有力候補として挙げています。

Sustainability Asia Issue2

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上記内容は オフィスジャパン誌 2010年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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