グレードA空室率は3期ぶり上昇するも、引き続き需給はタイトに推移。
オールグレード空室率は横ばい
当社の調査によると、2016年9月期の名古屋オールグレードの空室率は、前期(同年6月期)から横ばいの4.1%であった。今期は、6月に竣工した「シンフォニー豊田ビル」へ移転した企業の二次空室が、名古屋のオフィスマーケットに影響を与えた。また、老朽化による建て替えを発表したビルからの一時移転事例や、郊外エリアからの移転事例も多く見られ、まとまった空室が消化された。
今期の名古屋グレードAビルの空室率は、前期に比べ0.3ポイント上昇した。これは、前述したように、「シンフォニー豊田ビル」へ移転した企業の空室や、「名古屋プライムセントラルタワー」の空室が顕在化したことによるものであると考えられる。
主要エリアのマーケット状況
エリア別に見ると、「名駅」エリアの空室率は引き続き低水準で推移しており、「シンフォニー豊田ビル」への移転後の二次空室が注視されていたが、引き合いが見られ、予想よりも早く空室が消化されている。
「伏見・丸の内」エリアでは、前期に空室を多く抱えていたビルのうち、築浅ビルでは、郊外からの移転や新規出店等で、空室を順調に消化している。一方で、築年数の経ったビルでは、大型の空室を抱えているものもあり、二極化が進んでいる。
「栄」エリアは、「名駅」エリアに比べると移転ニーズが少ない状況であり、建て替えを控えて空室を長期間抱えているビルも散見される。今期は「栄」エリアから「名駅」エリアへの大型移転も見られた。
「名古屋東」エリアは依然空室率が高く、大型空室を抱えるビルもあり、比較的まとまった面積を確保できるエリアである。ただし駐車場の空き状況は、「名駅」「伏見」「丸の内」エリアほどではないが、逼迫しつつある。
名古屋駅南で再開発が進行する「ささしまライブ24」では、2017年3月末に竣工を予定している「グローバルゲート」のテナント募集が徐々に進んできている。名古屋オフィスマーケット全体としては、「グローバルゲート」「JRゲートタワー」を除き、当面は大規模開発が予定されていない。そのため、既存の各ビルがどのように価値を付加し、テナント誘致戦略を展開していくかに注目が集まっている。
名古屋支店 立松 誠二
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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名駅 | 14,000~27,000 円/坪 |
大型ビルの稼働率は、立地改善、集約等の移転により引き続き堅調だが、二次空室の顕在化によって空室率は若干上昇。
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名駅西 | 9,000~12,000 円/坪 | 人材派遣等、土日入館可能な物件の需要は強いが、対応物件は少ない。今期は駅前にホテルが竣工し、その一部にオフィス床の供給が見られた。 | |
伏見 | 9,500~14,000 円/坪 | 伏見駅近くの利便性の高い既存物件や、コスト圧縮が可能な物件を中心に、空室消化傾向が続く。小分割対応が可能な物件は、空室消化が早い。 | |
栄 | 9,000~13,500 円/坪 | 近年、新築物件の供給は無いが、二次空室が発生しており、選択肢が広がっている。分割対応を柔軟にしている物件から成約する傾向にある。 | |
丸の内 | 8,500~13,000 円/坪 | 築浅物件が比較的多いことから、郊外からの移転事例が多いことが特徴である。館内縮小や、名駅エリアへ移転した企業の空室が若干出ている。 | |
周辺都市(岐阜) | 7,000~10,000 円/坪 |
岐阜駅前物件では、依然大型空室が枯渇状態。駅周辺の物件で空室の消化は進んでいるものの、駅から少し離れると空室が目立つ。
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周辺都市(三河) | 8,000~12,000 円/坪 |
刈谷市では来年に新規供給予定があるも、需給逼迫状況は変わらず。まとまった面積を要するニーズが具体化している。
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周辺都市(三重) | 8,000~11,000 円/坪 |
近鉄四日市駅周辺、津駅周辺の築浅物件に需要が集中する中、拠点統廃合に伴い空室が発生する物件も出てきている。
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周辺都市(静岡) | 8,500~11,500 円/坪 |
新規供給「ニッセイ静岡ビル」竣工に伴い、2017年は空室増加が予測される。
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倉庫・配送センター | 2,800~3,500 円/坪 |
大きさやエリアを問わず、引き続き供給不足により、需要はあるが市場は硬直状態。来年から続々竣工する大型供給による市場の活性化に注目。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。